こんにちは。
先日のペンで描く水彩画教室で先生から紹介された本のご紹介です。
先生の師匠であった永沢まこと氏の【絵を描く、ちょっと人生を変えてみる】という本です。
22年前の本です。
アマゾンにて中古本で購入しました。
中古本でも状態は良く、手元に置いていつも読めることに感謝です。
ペン1本でいきなり描く魅力が伝わってきます。
絵を描くという手段こそ、人間に与えられた感性を解き放つカギだと。
表紙の裏には折りたたまれた素敵な絵も。
すごい本ですよね!
当時1,500円の定価のものを、中古本でしたので900円で手に入れました。
いい買い物をしました~♪
奄美大島でのスケッチ。
力強いペンの線が本当に素敵です。
最後章の『線は時空を超えて』が良かったです。
~以下抜粋~
ニュートンという人は万有引力の法則を見つけた人ですが、これによって近代の宇宙観を切り開いた人でもあります。彼によって、「この宇宙は、タテ、ヨコ、高さの三次元空間と、時間とによって成り立っている」ことが明らかにされました。また、宇宙のどこへ行こうと1メートルは1メートルであり、そこに流れる時間はどこであろうと1時間は1時間と不変であるということも明らかにされました。
ニュートン的な宇宙感が、それ以降、20世紀にいたるまでの科学文明の発展のもとになったのはご存じの通りです。
芸術の分野も、この科学の法則にのっとって発展することになりました。三次元立体である石膏の円錐形やらギリシャ彫刻などを置き、「科学的」に正しい石膏デッサンをおこなうようになったのです。
ところがです。
20世紀に入り、ニュートンの宇宙観は間違っている、ということが「ドッカーン」と証明されることになりました。
まず、ミンコフスキーの四次元宇宙説が現れ、つづいてアインシュタインの相対性理論が登場したのです。
「この宇宙は、三次元に時間軸を加えた四次元空間によって成り立っている。しかも、空間と時間も一定のものではなく、伸びたり、縮んだり、はたまた歪んだりする」ということです。
おまけに、ニュートンが絶対不変であるとした、モノの質と量だって、ほんとは相対的に変化するのだというのです。
三次元だと思っていたこの宇宙は、四次元連続体という「時空」だということになったというわけです。数百年の間、信じられてきた神聖な定義がひっくり返されてしまったのです。私はこのことを知ったとき、「やったぜ」と思いました。ついに「線」の出番がやってきたのだとも思いました。
そして、かねがね「もっともらしいけれど、好きになれない」と思っていた、石膏デッサンによる「光と影」の描き方が、もはや過去の方法論だということがこれで明らかになりそうだからです。
もともとあれは「感性」を無視した「知性」中心の描き方です。「知性」で描く方法は、所詮同じ「知性」が生み出したCGなどの科学的方法に、今後その地位を奪われていくことになるでしょう。
「線」の時代がやってくるとすれば、「知性」によって何世紀ものあいだ閉じ込められていた「感性」の出番がついにやってきたことを意味しています。
なんてったって、「線」は時空を超えて飛んでいくのです。人もロケットも行けないところまで私たちは行くことができるし、生きてたって死んだって関係なく私たちは飛びつづけることができるのです。~以上~
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永沢まこと氏は2022年1月8日に残念ながら85歳でお亡くなりになりました。
「線」は時空を超えて飛んでいくのです。生きてたって死んだって関係なく私たちは飛びつづけることができるのです。という最後の言葉が胸の響きました。
上手くなりたければ、とにかく何百枚も描くこと!という言葉には胸が痛い!私でした。