思い出の小川町を歩く

埼玉県小川町にまつわる思い出。

それは、遠い遠いむかしに遡る。

大学時代、わたしは同じ部（体育会）の人と付き合っていた。彼は苦学生で、わたしもそれほど経済的に余裕がなく、デートといえば大学（都内）の近くが多かった。四谷、代々木、新宿、渋谷、たまに気取って銀座（笑）。

それがある日、郊外へ足を延ばしてみたいね、田園風景を見たいね、なんて話になり、2人とも行ったことのない小川町に決まったのだ。

もう40年以上も前なのに、今でもあのとき歩いた山の麓の道、のどかな田園風景と黄色い花、駅の近くの喫茶店でコーヒーを飲んだことなど、断片的に記憶が蘇る。

都内から電車で1時間ちょっとだったが、ずいぶん遠くまで来たような、旅をしたような満足感が得られた一日だった。彼も覚えているだろうか、あの日のことを・・・。

今住んでいるところからも電車を乗り継いで約1時間なので、ちょっと出かけてみることにした。

東武東上線の小川町駅で降りると、観光案内処がある。趣のある建物だ。

中に入ると、雑貨屋さん？と思うような雰囲気が漂う。

案内処（案内所、ではないところが面白い）のスタッフさんはとても親切で、いろいろと教えてくれた。

小川町駅起点のハイキングコースはたくさんあるが、あまり時間がないので仙元山見晴らしの丘公園を目指して歩き始める。

古い造りの家が目につく。いいなあ、こういうの。旅をしているという実感がわく。

こちらは食堂。どんな料理が出されるのだろう。

槻川は浅く、よく見ると大小の魚が泳いでいる。何人か釣り人が糸を垂れていた。

平坦な道が途中から登り坂になり、息を切らしながら歩いて仙元山見晴らしの丘公園に着く。

右上のイラスト、小川町PRキャラクター「星夢（すたむ）」ちゃんが可愛い。（でもどうして星夢と書いて「すたむ」と読むのだろう？としばらく考えて、あそうか、starかと気づく。）

展望台からの眺めが爽快だ。

いろいろな山が見えるはずだが、この日は雲が多く、隠れてしまって見えないのが多かった。

でも、官ノ倉山は見えたよ。手前に見える低い山、ズームアップして撮った。

↓は今年の5月官ノ倉山に登った時の写真。標高は344メートルと低いけれど、鎖場があったり変化に富んだ面白い山歩きだった。見晴らしは頂上の少し手前のほうが良い。

山道沿いに見つけた花。こちらはハギ。可愛い。

わたしの好きなシュウカイドウがあった。嬉しい。

西光寺（さいこうじ）。室町時代の後期に開創されたそうだ。山門に鐘があるというのは珍しい。

途中道に迷いながらも約3時間のハイキングを堪能した。9月も半ばだというのに残暑が厳しく、汗びっしょりで疲れたけれども、また一つ思い出が増えて嬉しい。こんなふうに思い立って電車でぶらりと出かける小さな旅も良いな。