★この物語は、それは一枚の名刺から始まった (5/17/2024) の続編である。★
彼女が入社後最初に関わったのは、遥か遠くにある国の諜報機関から依頼を受けた業務であった。
その国のある作家の小説が何者かによって日本語に翻訳され、その翻訳本に暗号が隠されているという情報を、かの国の諜報部員が入手した。その内容が国家機密に関係する可能性が高いため、表向きは探偵事務所だが裏では諜報活動を行っている名刺の主に暗号解読を依頼してきた、というわけだ。
彼女は公式には日本語訳の出ていない海外の小説が読める上に、諜報活動にも関われると知り、血が騒ぐ。こんなスリリングな経験は一生に一度あるかないかであろう。
その小説は700ページもの大長編なので、彼女のほかに2人のスタッフがいて、3人で手分けをして読み進めていくことになった。暗号らしきものが見つかったらどんどんノートに書きだしていく。そして3人のノートを付け合わせ、完成した暗号文を解読する、という作業だ。
ここで彼女は思わぬ才能を発揮することになる。
もともと速読・多読が得意なうえ、映像記憶能力も備わっているので、他の2人がまだ半分も終えないうちに、彼女の担当ページを読破、暗号も見つけた。彼女の類まれな才能に名刺の主である社長も目を見張る。
彼女はこの業務に多大な貢献をし、社長からは特別手当(能力給)をたっぷり上乗せされた高額の報酬を受け取った。当の作家は身の危険を感じてどこかの国に亡命し、翻訳者は行方知れずという。それほど危険な業務だったのに、彼女は怖気づくどころか、暗号解読の魅力に取りつかれてしまった。
その後もこの会社は次々と依頼を受け、常に中心的役割を任されるようになった彼女は、非常勤の仕事を辞め、この仕事に専念するようになった。かつて節約生活を強いられていたことが嘘のように、彼女の暮らしは大変豊かになった。
もちろん、豊かさと引き換えに、彼女は自由を失うことになった。自分が関わっている業務については一切、誰にも明かしてはならないからだ。家族はもちろん、友人や知人に対しても、本当のことを言えないもどかしさはある。
それでも、彼女はこの仕事を天職だと感じていたし、社長の彼女への評価もどんどん上がっていく。自分の能力が非常に高い価値のあるものだと気づいた時、彼女はある野望を抱くようになった。それは、社長にも同僚にも悟られてはいけないものであった。
彼女は毎晩遅くまでパソコンに向かう。本業に支障が出ないよう気をつけながらも、睡眠時間を削って小説を書く。小説といってもただの読み物ではなく、随所に暗号を潜ませてある。自分は暗号解読のみでなく暗号作成においても秀でていると気づいた悦びは、格別であった。
数か月後、彼女は小説を完成させ、自費出版にこぎつける。小説が書店に並ぶ頃、彼女は日本を離れ、海の向こうの国に移住しているはずだ。そこでは、彼女が最初に暗号解読を手掛けた小説の翻訳者が待っている。
暗号の作成と解読において並外れた才能を発揮する2人が手を取り合い、史上最強のパートナーとして新しいビジネスに着手する。2人は自分たちのこれからの人生が前途洋々であると、信じて疑わない。
そう来ましたか。
得意なことって、気付いたら
拍車がかかってる~!ってことありますからね。
彼女はすっかりハマってしまったのね~(^w^)
全然比較にはなりませんが、
私がPCの勉強を始めたのは40歳の時。
根暗の私にピッタリだったようで
面白かったな~勉強すればするほど。
で、ある日データベースを立ち上げてみようと
やってみたら、それが上手くいって
楽しくて仕方なかったです(*^。^*)
でもね、彼女と違って、私は大金を手にすることは
なかったし、これからも日本でチマチマと
毎日を過ごすことになりそうですよ。笑
誰にも言ってはいけない仕事、といえば諜報活動だろう、という発想から
この展開になりましたが、なんか一捻り足りないなあ、と
不完全燃焼、もやもや。修業が足りません。
でも、物語を書くのってすごく楽しいので、これからも
いろいろ書いていきますので、良かったらまた読んでくださいね。
ポンままさんとPCは相性抜群なのですね。
まさに天職でしょう!
上手くいき、それが楽しくて仕方ないなんて!
天職に出会える人は多くないと思います。
この幸運を噛みしめながら、これからもお仕事に励んでくださいね♪