#みんなのブログ #オムライス #ステンドグラスの照明灯 #レストラン #44
それは霧雨が降る日
くすの木が横並びに
駐車場の奥に
立ち並ぶ。
私は雨垂れの落ちるコンクリートのタタキに小さな水溜まりをみていた。
まだ幼い女の子を連れた若い夫婦がそこへ入ってきた。
天井のステンドグラスの照明灯。
それは黒塗りの天井に映えている。
壁は小さな花柄の壁紙に包まれた中の
小さなレストラン。
小さな女の子は
お父さんを見ている。
気遣っているのだ。
お父さんは
テーブルを前に
椅子に腰を掛けて
ひたすら自分の携帯に夢中。
子供の目が
お父さんに語り掛けている。
お父さんの左腕に優しく触れて。
今日は霧雨が心にも降っているのだろうか。
音も立てることなく。
ただ、シトシトと小さな水溜まりに
小さな雫が滴り落ちて。
あなた、何にする?
うーん。何でも良いよ。
・・・。
じゃ、いつものにする。
うん。
母親と女の子は席を立ち
バイキング料理を採りに行った。
霧雨は、人の心に重い空気をもたらすのだろうか?
お父さんは連休の最終日。
疲れているのだろうか。
もう1つのテーブルには
お父さん抜きで来ていた。
女の子と若いお母さんは
ばあばを後に、食べるものを採りに行った。
女の子はしばらくすると
自分の食べるものを皿に載せて
一足先にテーブルに戻った。
パスタと野菜の二種類だけ
そこにあった。
先程の、別の家族の女の子が
観ている。
同い年くらいの似たもの同士。
関心の眼がその子を何気なく観ている。
見ながら、小さなフォークで
器用に両手でクルクルとパスタを回すと
小さな口に頬張った。
その子の目の先の女の子は
パスタを箸でぎこちなく丸めて
口へと運んだ。
どう?美味しい?
ばあばがニコニコしながら
女の子に尋ねた。
孫は祖母に笑顔で頭を縦に振って
大人しく答えた。
スデンドガラスの照明灯を
見上げた。
シックで華やか。
そこには、
明るさと
暗さが
黒縁にちりばめられている。
人間模様を包み込んでいる。
オムライスの味。
玉子で包む。
思えば、ロシアのピロシキ、ベトナムのライスペーパー、中国の包、日本の餃子
すべては皮に包まれている。
目のずっと先に
子供が2人と
夫婦と祖母がいる。
男の子は父親の肩を
小さくツンツンして
お父さんに何か
訊いている。
お父さんは優しく
返事をした。
大きな体のお父さん
そして既に健康優良児と言われそうな
小さな男の子。
そう言えば、かつて二種類のピロシキを作る為に
私はロシアン料理の講習会で
手分けして私が包む皮を何枚も何枚も焼いたことを
思い出した。
1テーブルの人数、10人分に
二種類だから20枚。
それで、別の拵えたおかずモノと
デザートの果物を中に入れて
包むのだ。
ボルシチ用のキャベツも
サクサクと切って
大きなキャベツ球なのに
鍋に入れて
煮たら
それは有るか無いか
分からないほど
鍋の中で小さくなっていた。
いろんな人間模様の中から
実は人は生きていくために
ステンドグラスと
命の糧
様々な料理を
産み出して行ったのかも
知れない。
上に載せられた蟹クリームコロッケ。
その上にケチャップ
そして、ソースが
掛けられると
オムライスの両端に
流れ出す。
名前の知らない
ハーブが上に載せられて。
このオムライスも
ステンドグラスの照明灯と
コラボしていた。
小さなレストランの
そこにいる
様々な家族と
その為に笑顔で接する
スタッフたちを
優しい霧雨が
包み込んでいた。
それは、7月15日。
霧雨に包まれた
海の日のことでした。
#みんなのブログ #オムライス #ステンドグラスの照明灯 #レストラン #44
Photo/Story/Belong to Shanxi394の物語。©️15 July 2019.