特別扱い議案
表題の「特別扱い」の英語はprivilegeで、特権というような意味です。つまり、特別扱い議案とは他の議案とは別に特別の配慮をして処理する議案であることを意味します。このため、ここでは特別扱いという語を用います。「民主主義の文法」では、privilegeに優先という語を充てていますが、補助議案で優先順位を使っていますので、ここではこの語を用いません。
なお、補助議案の「優先順位」の英語はrankです。「民主主義の文法」では、この語に序列を充てています。しかし、rankは補助議案のどれを優先して審議するかを示すものですので、この資料では優先順位という語を充てています。
特別扱い議案は、構成員や団体の権利、構成員の福利に関する議案です。このため、最優先に処理されなければならない議案であり、討議することはできません。
特別扱い議案にも優先順位があります。それを以下に示します。優先順位の番号が小さいほど高い優先順位が与えられています。
優先順位 議案の種類
1 閉会
2 休憩
3 特別扱い事項の申し立て
以下で優先順位の低い順に説明します。
(ア)特別扱い事項の申し立て
特別扱い事項の申し立ては、組織または構成員個人の権利に関するものです。この議案は緊急性があるため、審議を中断して申し立てることができます。ただし、止むを得ない場合を除いて、他の構成員の発言を遮って発言することはできません。この申し立ては、組織またはその構成員の安寧や威厳・安全・評判などを脅かす恐れがあると思われる場合に限られます。
特別扱い事項の申し立てには次の2種類があります。
i) 一般的な特別扱い事項の申し立て
ii) 個人的な特別扱い事項の申し立て
抽象的であるため、例示します。
<<一般的な特別扱い事項の申し立ての例>>
・発言者の言うことがよく聞こえません
・会議室の後方にいる構成には今配布された資料が配布されていません
<<個人的な特別扱い事項の申し立ての例>>
・発言者は私の意見について間違ったことを述べています
以下に特別扱い事項の申し立てに関する議事規則を示します。
i) 特別扱い事項が現在の審議を中断するほど重要であるかどうかは議長が判断する。構成員は特別扱い事項であることを主張したり、議論を展開したりすることはできない。そのような行為は議事規則違反である。
ii) 特別扱い事項の申し立てが提出された時点で処理中の議案がなければ、特別扱い事項について討議や修正が可能である。
iii) 発言を中断された構成員は、特別扱い事項が処理された後で発言を継続することができる。
(イ)休憩
読んで字のごとくであり、会議の小休止をとる提案の議案です。休憩(小休止)によって中断した審議は休憩の後で再開されます。
休憩の特別扱い議案の提案では、休憩の長さ、あるいは会議の再開時間に言及しなければなりません。
この議案は、しばしば、昼食をとることや、表決によって投じられた票数を勘定する目的で提案されます。
休憩の議事規則を以下に示します。
i) 支持(セカンド)が必要である
ii) 討議不可能である
iii) 休憩時間の長さや休憩の開始、再開時間等は修正可能である
iv) 過半数の表決が必要である
(ウ)閉会
開催中の会議を終了することを提案する議案です。規則や表決などによって次の会合が決められている場合は、議案が審議中であっても閉会の議案を提出できます。
閉会に関する議事規則を以下に示します。
i) 支持(セカンド)が必要である
ii) 他の構成員の発言を遮って提案できない
iii) 討議不可能である
iv) 修正不可能である
v) 過半数の表決が必要である