お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

ブラック・ジョーク『名医ハリー・17』

2009年02月16日 | 名医ハリー(ショートショート)
81
「アリス先生、ハリー先生が手術室に来て欲しいっておっしゃっています」
「あら、めずらしいわね」
「今とても難しい手術中なんだそうです。是非来て頂きたいそうです」
「わたしのお手伝いで大丈夫かしら?」
「どうせ失敗する手術なので、責任の所在を折半したいんだそうです」
 

82
「アリス先生から患者さんに手作りクッキーがプレゼントされたの」
「あら、アリス先生、素敵ね」
「『患者さんの皆さんへ思いを込めて』ってメモまで添えて渡しているのよ」
「優しいのね。じゃあ当然、ハート型のクッキーね」
「いいえ、ドクロの形だったわ・・・」


83
「アリス先生が担当の日は人が多いわね」
「そうね、ほとんど男性の患者さんだけどね」
「アリス先生が執刀の日も人が多いわね」
「そうね、ほとんどが葬儀会社の関係者だけどね」


84
「アリス先生、不思議そうな顔をなさって、何かあったんですか?」
「ある患者さんが『僕の胸の内を見てください』なんて言うのよ」
「それって、愛の告白なんじゃないですか?」
「そうだったの! 道理で、開胸して全部抜き出してみても、何も変わったものが無いはずよねぇ・・・」



85
「ハリー先生、アリス先生が手術室まで来て欲しいとおっしゃっています」
「おや、難しい手術なのかな?」
「いいえ、とても簡単な手術だそうですわ」
「じゃあ、どうしてだろう・・・」
「上手く行った手術を、見せびらかして、口惜しがらせたいんだそうです」



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