「おばあちゃん、今日は敬老の日だよ。これからも元気で、長生きしてね」
孫が言う。
「ああ~っ? なんか言ったかい?」
おばあちゃんは補聴器をいじくりまわしながら、大きな声で言う。
「えっ? おばあちゃん、なんか言った?」
孫も補聴器をいじくりまわしながら、大きな声で言う。
孫八十六歳、祖母百三十七歳――少子高齢化の進んだ近未来の敬老の日。
「おじいちゃん、今日は、敬老の日」
「ああ、そうかい、そうだったかい」
「ずっと元気でいてね」
「うんうん、ありがとうなぁ」
「おじいちゃん、今日は、敬老の日」
「ああ、そうかい、そうだったかい・・・」
「ずっと元気でいてね」
「うんうん、ありがとうなぁ・・・ やれやれ、インコに教えてみれば(「おじいちゃん、今日は、敬老の日」)、少しは良い気分になれるかと思ったが(「ずっと元気でいてね」)、虚しいだけだ・・・」
四畳半、溜め息一つ――独居老人の敬老の日。
「おじい様たち、おばあ様たち。末永う、あらっしゃいませ」
厳かな口調で、何体もの包帯巻きのミイラの前で、祝いを述べる若きファラオ――古代エジプトの敬老の日(んなもの無いか・・・)。
web拍手を送る
孫が言う。
「ああ~っ? なんか言ったかい?」
おばあちゃんは補聴器をいじくりまわしながら、大きな声で言う。
「えっ? おばあちゃん、なんか言った?」
孫も補聴器をいじくりまわしながら、大きな声で言う。
孫八十六歳、祖母百三十七歳――少子高齢化の進んだ近未来の敬老の日。
「おじいちゃん、今日は、敬老の日」
「ああ、そうかい、そうだったかい」
「ずっと元気でいてね」
「うんうん、ありがとうなぁ」
「おじいちゃん、今日は、敬老の日」
「ああ、そうかい、そうだったかい・・・」
「ずっと元気でいてね」
「うんうん、ありがとうなぁ・・・ やれやれ、インコに教えてみれば(「おじいちゃん、今日は、敬老の日」)、少しは良い気分になれるかと思ったが(「ずっと元気でいてね」)、虚しいだけだ・・・」
四畳半、溜め息一つ――独居老人の敬老の日。
「おじい様たち、おばあ様たち。末永う、あらっしゃいませ」
厳かな口調で、何体もの包帯巻きのミイラの前で、祝いを述べる若きファラオ――古代エジプトの敬老の日(んなもの無いか・・・)。
web拍手を送る
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます