妖介は構わずに続けた。
「お前を肩に担いでここまで連れて来る間に、何度も反吐を吐き、また小便も垂れやがった。おかげでオレの服は、汚れるは、臭くなるはで、ひどい状態になったんだぞ」
葉子は全く覚えていなかった。とても恥ずかしかった。でも、この人がアパートまで連れて来てくれたんだ・・・
「そう・・・ ごめんなさい。それと、ありがとう・・・」
「何をしおらしい事を言っている。そのせいで、オレは体も服も洗わなければならなくなった。これはオレにとっては大誤算だ。行動が取れなくなったんだからな!」
妖介は葉子を睨みつけた。見えたあの変なものより恐ろしい感じがした。
「オレの鼻は並の奴らより鋭い。どうしてもお前の臭さがたまらない。だから、お前の服を破り脱がし、シャワーだけは当ててやった。後はそのままベッドに放り出した」妖介はにやりと笑った。残忍な笑顔だった。「散々小便や反吐を垂れ流しやがったくせに、重かったな」
どうしてこの人、こんなに乱暴で恥ずかしくなるような言い方をするの・・・
「こんな言い方をするのは、お前がオレに迷惑をかけやがったからだ。俺は腹を立てているんだ」
この人、私の思っていることが分かるのかしら、葉子は不安な面持ちで妖介を見た。
「オレは触れた相手の全てが瞬時に分かる能力がある。お前が産まれてから今までの全ての記憶がオレの中のある。お前の楽しい想い出も、悲しい想い出も、それと、つい最近の彼氏との・・・」
「もう、言わないで!」
葉子は耳をふさいだ。妖介は太く鋭い犬歯を覗かせて笑った。
「だから、お前がどこに住んでいるか、鍵がどこにあるか、風呂はトイレは洗濯機は・・・ 全てお見通しって訳だ。当然、考え方も分かってしまう。もう、お前はオレに逆らえないんだ」
妖介は言って、勝手にクロークを開けた。迷う事無くピンク色のロングTシャツを取り出すと、葉子の前へ放り投げた。・・・このTシャツは。
「そうだ、これはかつての恋人がお前に買ってやったものだ。よく風呂上りにこれだけ着て、恋人の徹也と時を過ごした。しかし、ほとんどすぐに脱ぐ事になったがな」
「もう、やめて!」
葉子は涙を流した。
つづく
「お前を肩に担いでここまで連れて来る間に、何度も反吐を吐き、また小便も垂れやがった。おかげでオレの服は、汚れるは、臭くなるはで、ひどい状態になったんだぞ」
葉子は全く覚えていなかった。とても恥ずかしかった。でも、この人がアパートまで連れて来てくれたんだ・・・
「そう・・・ ごめんなさい。それと、ありがとう・・・」
「何をしおらしい事を言っている。そのせいで、オレは体も服も洗わなければならなくなった。これはオレにとっては大誤算だ。行動が取れなくなったんだからな!」
妖介は葉子を睨みつけた。見えたあの変なものより恐ろしい感じがした。
「オレの鼻は並の奴らより鋭い。どうしてもお前の臭さがたまらない。だから、お前の服を破り脱がし、シャワーだけは当ててやった。後はそのままベッドに放り出した」妖介はにやりと笑った。残忍な笑顔だった。「散々小便や反吐を垂れ流しやがったくせに、重かったな」
どうしてこの人、こんなに乱暴で恥ずかしくなるような言い方をするの・・・
「こんな言い方をするのは、お前がオレに迷惑をかけやがったからだ。俺は腹を立てているんだ」
この人、私の思っていることが分かるのかしら、葉子は不安な面持ちで妖介を見た。
「オレは触れた相手の全てが瞬時に分かる能力がある。お前が産まれてから今までの全ての記憶がオレの中のある。お前の楽しい想い出も、悲しい想い出も、それと、つい最近の彼氏との・・・」
「もう、言わないで!」
葉子は耳をふさいだ。妖介は太く鋭い犬歯を覗かせて笑った。
「だから、お前がどこに住んでいるか、鍵がどこにあるか、風呂はトイレは洗濯機は・・・ 全てお見通しって訳だ。当然、考え方も分かってしまう。もう、お前はオレに逆らえないんだ」
妖介は言って、勝手にクロークを開けた。迷う事無くピンク色のロングTシャツを取り出すと、葉子の前へ放り投げた。・・・このTシャツは。
「そうだ、これはかつての恋人がお前に買ってやったものだ。よく風呂上りにこれだけ着て、恋人の徹也と時を過ごした。しかし、ほとんどすぐに脱ぐ事になったがな」
「もう、やめて!」
葉子は涙を流した。
つづく
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