こんにちは!公認会計士の青山です

パブリックセクターを中心に会計その他のお手伝いをしています。徒然なるままに仕事やプライベートについて紹介します。

国公私立大学の再編

2016-05-07 | 公会計

 以前、国立大学を対象に「三つの枠組み」を設け、各大学が選んだ枠組みに沿って活動を評価する仕組みを設けたと話しました。その後平成28年3月に、早速、「三つの枠組み」、つまり「世界最高水準の教育研究」、「特定の分野で世界的な教育研究」、「地域活性化の中核」の3分類ごとに特色を競わせた上での配分が決定しました。

 具体的な、「世界最高水準の教育研究」に分類された大学では、京都大学等の110.3%から金沢大学の80.2%まで、「特定の分野で世界的な教育研究」では、東京芸術大学の113.2%から筑波技術大学の82.3%まで、「地域活性化の中核」では、小樽商科大学等の118.6%から京都教育大学の75.5%までとなっています。ただし、これは、運営費交付金の1%(100億円程度)を減額し再配分するものなので、運営費交付金全体としては影響額は小さいものとなっています。しかし、これは大学を競争させ、差別化を図る試みのスタートに過ぎないと思われます。

 その後文部科学省から、国公私立大学の枠を超えた総合も含めた再編を検討しているとの報道がなされています。つまり、文部科学省としては再編の前提として、今以上に大学ごとに差別化を図ることが想定されるのです。いわゆる「国立文系」廃止議論については、文部科学省は文系軽視は誤解であるとして火消しに躍起になっています。しかしながら、今後18歳人口が急速に減少していく中においては、廃止するしないは別として、少なくとも今後地方大学の教育力や財務基盤を強化しなければならないのは事実であると思われます。

 今後、特に教員養成系の地方国立大学と私立大学の動向に注視が必要です。

 


指定国立大学

2016-02-20 | 公会計

 このたび、文科省が国立大学を対象に「三つの枠組み」を設け、各大学が選んだ枠組みに沿って活動を評価する仕組みを設けたことをご存知でしょうか。

 「三つの枠組み」に関する各大学の選択結果は、「世界最高水準の教育研究」が東京大学など16大学、「特定の分野で世界的な教育研究」が東京藝術大学など15大学、「地域活性化の中核」が55大学となっています。今後、タイプの似た大学を集めて成果を競わせる仕組みにより、今以上の大学の生き残りをかけた競争が行われます。

 さらに、昨年文部科学省に設置された有識者会議が平成28年1月の審議結果を取りまとめましたが、その中では新たに「指定国立大学」構想を打ち出しています。これは、世界の有力大学と伍して国際競争力をもち、我が国の高等教育をリードする国立大学を文部科学大臣が指定するというもので、おそらく、「指定国立大学」は、「三つの枠組み」の内、「世界最高水準の教育研究」の15大学の中から選ばれるのではないでしょうか。

 取りまとめでは、「指定国立大学」に備えるべき要素として、1)人材育成・獲得、2)研究力強化、3)国際協働、4)社会との連携、5)ガバナンスの強化、6)財務基盤の強化をあげています。

 他の大学との差別化の考え方は、以前ブログで記載した独立行政法人の「特定研究開発法人」にも通じるものがありますが、私は職業柄、上記要素に加え「指定国立大学」にふさわしいコンプライアンスの構築が求められるのではないかと考えています。


特定国立研究開発法人

2016-02-20 | 公会計

 政府は、平成27年12月21日までに「特定国立研究開発法人(仮称)」を新たに設置し、理化学研究所(理研)、産業技術総合研究所(産総研)と物質・材料研究機構(物材研)の3研究機関を指定する法案を、来年1月からの通常国会に提出する方針を決めました。

 以前、このプログで、安陪政権が独立行政法人の内、世界トップレベルになり得る法人を選び出し「特定国立研究開発法人」なるものを設立しようとしていると言いましたが、紆余曲折の末、ようやく実現が見えてきたということです。今後、3研究機関は、優秀な研究者を集めるために高額給与を支払うことなど他の独立行政法人との差別化が計られる見込みです。

 また、契約事務においても他法人と区別される見込みです。独立行政法人では、契約に係る予定価格が少額の場合、入札ではなく随意契約によることができます。これを少額随意契約と言いますが、現在、少額随意契約にできる金額は、全ての独立行政法人で国と同額か又はこれを下回る金額基準となっています。たとえば、工事又は製造をさせるときは予定価格が250万円を超えない場合随意契約を締結することができるといった具合です。特定国立研究開発法人に指定されることによって金額基準を引き上げ、その結果契約事務の迅速さを増すことが期待できるのです。但し、法人の裁量が増やことは、一方で不正等のリスクが増すことも意味しています。これらの法人は、今一層のガバナンス体制の強化が求められることになります。


少しあたたかい話

2015-02-08 | 日記

ここ数年、自治体の仕事で青森県や秋田県によく行きます。

以下は、12月初旬に1人で弘前の小料理屋に入った時の話。 

のれんをくぐって店に入ると、

「すいません。10時までなので。」と店のご主人。時計を見ると、すでに9時30分を過ぎていました。、

翌日の仕事のために夕方に東京を出て、現地のホテルに到着後すぐに荷物を置いて出てもこんな時間になってしまうのですね。

「生ビール一杯とつまみ程度で良いのですけど。」と返すと、

「なら、どうぞ。」とご主人

まだ雪は積もっていませんが、かなり寒い日だったので店に入れたことにまずはほっとし、改めて店の中を確認。私が座ったカウンターと2、3席あるセーブルには他の客はいません。ただし、奥のふすまの先からは話し声が聞こえているので、座敷には何人かいるようです。

私は、カウンターに座り注文を済ませ、「これで、約30分はゆっくりできる。」と思いながら、自分のタブレットを見始めました。

その内、10時近くになり、奥の客も帰ったので、

「そろそろ、お会計お願いします。」と頼むと、

「もう少しゆっくりしていてもいいですよ。」とご主人、続けて、

「お客さんはどちらから、」という質問に、

「東京からです。三鷹というところです。」と答えると、

「私も、以前東京に住んでいたのですよ。中央線沿線なので三鷹も知っています。」とご主人。

聞くところによると、若いころは東京の料理屋で修業をしていたそうです。その内、店も任されるようになり、最後は平河町の料理屋で店長をしていたそうです。土地柄、土日の客は少ないけれど平日は結構賑わっていたらしい。しかし、徐々に店長の職がプレッシャーとなっていったようです。

「店長の仕事が重荷になってね、ついに通勤できなくなってしまったのですよ。」とご主人。

「大変だったのですね。」と私。

「当時はね。結局、店を辞めて弘前に戻ってきました。」

その話を聞いて、改めて店の様子を確認。奥様と(たぶん)娘さんで店を切り盛りしている様子。私がこの店を知ったのも宿泊するビジネスホテルに勧められたからなので、それなりに評判なのだろうと思いつつ、

「でも、弘前にこんな素敵な店を開けて良かったではないですか。」

「戻った後もいろいろあったけど、今は良かったですかね。」

その後もいろいろと話は弾み、あっという間に11時近くになってしまった。結局、

「いろいろな話ありがとうございました。また、来ます。」と告げて店を出てきたのは11時過ぎ。

弘前の冬は寒いけれど、少しあったかい気持ちになった夜でした。そして、いつかまたこの店に来たいと思ったひと時でした。きっとご主人は覚えていないと思うけれど、それはそれで良いですね。


独立行政法人会計基準の改訂

2015-02-07 | 公会計

 平成27年1月27日に独立行政法人の会計基準(※1)が改定されました。主な改定内容は、1)セグメント情報の充実と2)運営費交付金の会計処理です。特に、運営費交付金の会計処理は独立行政法人会計の根幹部分ですので、今回の改定は各独立行政法人に大きな影響を与えることが予想されます。

 運営費交付金の会計処理の内容については改めて記載し、今回は改定の意味について説明します。独立行政法人の財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、利益処分(損失処理)に関する書類、行政サービス実施コスト計算書及びこれらの附属明細書から構成されています。その内、損益計算書と行政サービス実施コスト計算書は、ともにコストを扱う財務諸表として類似していますが、最も大きな違いは運営費交付金の扱いにあります。損益計算書では運営費交付金を収益として扱い、一方、行政サービス実施コスト計算書は運営費交付金を考慮しません。運営費交付金は独立行政法人にとっては収入でも国にとっては同額の支出なので、法人の業務運営に関して国民が負担するコストを示す行政サービス実施コスト計算書では、差引ゼロの運営費交付金を考慮しないのは当然です。

 つまり、今回の改定で運営費交付金の会計処理を見直したことは、損益計算書の内容を見直したことに他なりません。今まで、独立行政法人における損益計算書はあまり役に立たないと言われてきたことも事実です。特に、当期総利益の意味については議論の余地がありました。今回の改定は、このような損益計算書について法人を評価する上で役に立つものにしていこうとする強い意図があるものと思われます。  

 また、管理会計的にも意味を持ちます。今後、改定後の損益計算書を活用し、各独立行政法人は自立的マネジメントの実現を図ることが求められるでしょう。

 (※1)「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」


艶(つや)のある街“東京”その2~銭湯について~

2014-05-22 | 日記
では、「“艶”(つや)のある街“東京”」にするためには具体的にどうすればよいでしょうか。一人一人が考え実践することが重要です。私はその方策の1つとして銭湯の魅力を世界にアピールしたらどうかと考えています。銭湯のある街“東京。。。銭湯は「世代を超えて日本精神が受け継がれている庶民のコミュニケーションの場」です。何となく世界無形文化遺産にも登録されそうな気がしませんか(言い過ぎですかね)。

外国人も日本の銭湯に魅力を感じています。たとえば、「日本人が発明したものの中で、ぼくはいちばんのお気に入りは銭湯だ。ほとんど完璧とさえ言ってよいほどの発明品だと思う。」(生活人新書 ジョン・コリンズ 「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート 74頁)など。その他にも「銭湯の雰囲気は格別で、日本が好きになった」という外国人は多いのです。外国人にとっても銭湯は魅力的な空間なのですね。

しかしながら、この銭湯が現在危機となっています。東京都内の銭湯数が激減しているのです。1980年代約1万6千あった銭湯が、2013年度末には約5千にまで減っています。しかも、現存する銭湯の半数近くが廃業を検討し、しかもその3分の1が5年以内に廃業する意向だというのです。私が仕事で関わった港区においても、1980年に60あった銭湯が現在6まで減っています。

なぜ、このようなことになったのでしょう。一言で言うと銭湯は採算が取れないのです。自家風呂保有率の増加による利用者の減少、燃料の高騰化による費用の増大が主な原因です。実は、銭湯には自治体からの補助金が交付されています。それでも赤字が解消されない事実があります。しかし、今後魅力的な街づくりを行っていくためにも銭湯の存在は欠かせません。どのような改革が必要でしょうか。難しい問題ですが、私は「複合化」が1つの解決策になると思っています。「複合化」というと、施設そのものの「複合化」を思い描くかもしれません。しかし、それではコストがかさむ一方です。施設を改築して複合化しなくても機能は複合化できます。たとえば、午前中福祉活動(デイ・サービス)を行って午後に銭湯を行うことや、日中に画廊として開放するなどもあるかもしれません。

いずれにしても、自治体や経営者が一体となって考え、解決しなければならない問題ではないでしょうか。

というようなことを銭湯の湯船に浸かりながら考えています。

艶(つや)のある街“東京”~東京が目指す姿~

2014-05-22 | 日記
先日(5月20日)、米国に本社のある世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が、世界の旅行者が訪問した都市を評価する「旅行者による世界の都市調査」を発表しました。その結果、外国人旅行者の入国数トップ37カ国の主要都市の中で、東京が総合的な満足度1位を獲得しました。

安倍政権は、力強い経済を取り戻すための重要な成長分野の1つとして観光を上げています。具体的には2020年までの訪日外国人2000万人が目標のようです。2020年には、東京オリンピックも開催されます。このような中での満足度1位は大変喜ばしいことです。但し、今回の調査では、ほとんどの項目で上位を占めている中にあって、「文化に対する評価」が11位、観光やアクティビティに対する評価が13位と、若干低くなっています。「文化」「観光」に関しては、まだまだ改善の余地があるのかもしれません。

私は、東京が特に「文化」都市に変貌するために「“艶”(つや)のある街“東京”」をキャッチフレーズとしてはどうかと考えています。“艶”は英語では、shiny(表面上の輝き)とでも訳すのでしょうか。しかし、日本人なら知っているように、“艶”という言葉の意味はそれだけではありません。「あでやかで美しいこと」「風情のあるさま」「色っぽさ」「ほのぼのとした情趣」「美しく華やかなさま」・・・。「“艶”のある街“東京”」こそ「文化」都市を目指す東京にふさわしいキャッチフレーズではないでしょうか。

ところで、19世紀以降、ヨーロッパを中心に日本の美術その他に触発された現象は一般に「ジャポニズム」と呼ばれています。私は、この時代、西洋の美術家たちは日本の“艶”にあこがれたのではないかと思っています。しかし、残念ながら西洋の言語では“艶”という言葉を明確に表現することができなかった。よって、そのような現象を「ジャポニズム」と呼ぶしかなかったのだと思います。「ジャポニズム」では西洋の美術家が何にあこがれたのかピンとこないですね。日本独特の“艶”への憧れの現象となれば「なるほど」と思うかもしれませんね。。。

独立行政法人改革、理研、特定国立研究開発法人 について思うこと

2014-04-22 | 公会計

先ごろ、論文の引用回数をもとにした日本国内の研究機関ランキングが発表されました。このランキングは、研究機関の世界の位置を示唆するひとつの有力な指標となるのですが、その結果は、1位東京大学、2位科学技術振興機構、3位京都大学、4位大阪大学、5位理化学研究所、6位東北大学、7位産業技術総合研究所、8位名古屋大学、9位東京工業大学・・・と続きます。有名国立大学が並んでいますが、その中に、科学技術振興機構、理化学研究所、産業技術総合研究所といった機関が含まれています。そう、この中には、あの理研も。。。理研も含め、今まであまり聞きなれない人もいると思いますが、実はこれらはいずれも独立行政法人という組織なのです。

独立行政法人は、中央省庁改革の一環として平成13年4月以降に設立された法人です。その後、特殊法人改革の受け皿になるなどによって、平成26年4月現在98法人もの法人があります。これら法人が行っている業務やその規模は様々です。独立行政法人は1つの制度のもとで管理されているのですが、業務の内容や規模が全く違う独立行政法人を、1つの制度で管理することは、当然に困難が生じます。民主党政権の時代から、このことは認識されており独立行政法人改革を模索してきました。民主党政権時代には改革は実現しませんでしたが、自民党政権に移行された平成25年末に改革に関する方針(「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月、閣議決定))が打ち出されました。この方針では、性質の違いによって、法人を3つに分類して管理するとしています。理研など上記の法人は、いずれも3つの内「研究開発型の法人」に分類されていますが、この中には他にも宇宙航空研究開発機構(いわゆるJAXA)や「しんかい6500」を所有している海洋研究開発機構なども含まれています。

さらに、安倍政権はこの「研究開発型の法人」の中から、世界トップレベルになり得る法人を選び出し「特定国立研究開発法人(仮称)」なるものを設立しようとしています。つまり、独立行政法人を性質の違いによって3つに分類し、さらに「研究開発型の法人」の中から世界への影響力の大きさの程度を勘案し「特定国立研究開発法人(仮称)」を選ぼうとしているのですね。「特定国立研究開発法人(仮称)」の候補としては、理研と産業技術総合研究所が挙がっていたのですが、STAP細胞問題の収束までは閣議決定しない方針だそうです。

さて、この動きをどう評価すべきでしょうか。結論としては正しいでしょう。そもそも、独立行政法人制度は、業務の性質や規模に合わせて法人の長に大きな裁量を与えることによって、弾力的な業務遂行を可能ならしめる制度だったはずです。つまり、性質と規模による差別化は当然必要なのです。しかしながら、実際は、いわゆる横並び体質のもと給与体系や管理の在り方(ガバナンス)はどれも似たような状況になっていました。「特定国立研究開発法人(仮称)」では、国家公務員を上回る給与が支給されるようです。もちろん、「特定国立研究開発法人(仮称)」に大きな裁量が与えられるということは、その反面、厳しい管理の在り方(ガバナンス)が要求されます。税金が投入されているのですから。ただ、独法を差別化することと効率的に運営することは両立できるはずです。いずれにしても、今後、性質と規模による差別化を図り、法人間の競争原理を高めることは必要なことです。

今後の行方を見守りましょう!


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2013-05-25 | 日記



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