以前、国立大学を対象に「三つの枠組み」を設け、各大学が選んだ枠組みに沿って活動を評価する仕組みを設けたと話しました。その後平成28年3月に、早速、「三つの枠組み」、つまり「世界最高水準の教育研究」、「特定の分野で世界的な教育研究」、「地域活性化の中核」の3分類ごとに特色を競わせた上での配分が決定しました。
具体的な、「世界最高水準の教育研究」に分類された大学では、京都大学等の110.3%から金沢大学の80.2%まで、「特定の分野で世界的な教育研究」では、東京芸術大学の113.2%から筑波技術大学の82.3%まで、「地域活性化の中核」では、小樽商科大学等の118.6%から京都教育大学の75.5%までとなっています。ただし、これは、運営費交付金の1%(100億円程度)を減額し再配分するものなので、運営費交付金全体としては影響額は小さいものとなっています。しかし、これは大学を競争させ、差別化を図る試みのスタートに過ぎないと思われます。
その後文部科学省から、国公私立大学の枠を超えた総合も含めた再編を検討しているとの報道がなされています。つまり、文部科学省としては再編の前提として、今以上に大学ごとに差別化を図ることが想定されるのです。いわゆる「国立文系」廃止議論については、文部科学省は文系軽視は誤解であるとして火消しに躍起になっています。しかしながら、今後18歳人口が急速に減少していく中においては、廃止するしないは別として、少なくとも今後地方大学の教育力や財務基盤を強化しなければならないのは事実であると思われます。
今後、特に教員養成系の地方国立大学と私立大学の動向に注視が必要です。