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オリンピック・レガシーと施設の有効性、効率性について その2

2016-10-18 | 公会計

 施設の有効性と効率性について、もう少し考えてみましょう。

 実は、オリンピックの遺産は競技会場だけではありません。1964年の東京オリンピックでは、東海道新幹線の整備も代表的なオリンピックの遺産です。ご承知のとおり東海道新幹線は、その後の日本経済に計り知れない効果をもたらしています。また、社会への経済的効果だけではなく、財務的にも十分採算が取れる遺産となっています。一方、競技会場などの運動施設はどうでしょうか。私の知る限り自治体が運営する運動施設で採算がとれる施設はありません。但し、運動施設の場合、採算が取れる施設である必要はありません。採算が取れる施設なら、民間に任せれば良いのです。どういうことでしょうか。ここで問題となるのが「施設の公共性」と「受益者負担」です。

 たとえば、ある自治体が運営する運動施設の維持費用が1,000円であるとします。この施設は地域住民であれば誰でも使える施設であり、そのために税金が800円投入されています。これが「施設の公共性」です。但し、地域住民によっても利用頻度は異なります。この不公平性を解消するために、実際に利用する場合には一部負担させるべきです。そのため、利用には200円を徴収することにします。これが「受益者負担」です。つまり、結果的に施設は800円の赤字となりますが、これは最初から想定されていることです。

 では、もともと採算が取れない施設でどのようにして「有効な遺産」か「負の遺産」なのかを判断するのでしょう。これが、有効性、効率性です。たとえば、住民満足度が高い施設は有効性が高い施設でしょう。また、稼働率が高い施設も同様です。ただし、ある程度の稼働率は維持していても莫大な維持費がかかる施設は効率性が低いことになり「負の施設」と判断されるかもしれません。

 なお、これらの判断は、自治体自らが行いますので、住民はしっかり自治体が行う判断の妥当性を見ている必要があります。


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