生まれて初めて洋式便器を見たのは、小学校の時だった。
どういう集まりか、まったく憶えていないが、田園調布の方にある家に
同級生たちと行った。 大きな洋風の家で、そこで初めて洋式便器を見た。
その家で、友達がトイレに入ったと思ったら、あわただしく出てきた。
「オイ、アレなんだ?!何なんだ?」
どれどれと、みんなで広い便所をのぞくと、デンッと高く据えられた、
奇妙な白い物体があった。 中には水が溜っている。
なぜか天井からは細い鎖が垂れ下がっていた。
ほんとに、「なんだコリャ!?」 である。
今はどこにでもあって、当然見慣れてなんとも思わない。
だが和式の便器しか見たことがないと、初めて見たらびっくりする。
一番驚いたのは床からの高さで、和式のように、床と同じ高さにある
ものと全然違うから面食らう。 だいたいどうやって使うのか、見当が
つかない。 まさか腰掛けて使うとは、和式からは想像がつかなかった。
その友達は、オシッコじゃなくて大きいほうがしたかったらしい。
でもどうやればいいのかわからなくて、飛び出して来たのだった。
誰一人使い方を知らず、「上に乗ってするんじゃない?」などとアドバイス。
そうしてみんなのアドバイスに従って、フチに乗っかって用を足したらしい。
出てきたら、「落ちそうで、すげぇ怖かった!」 と言っていた。
流すなんて知らないから、モノはそのままで、騒ぎに駆けつけた家の
おばさんが使い方を教えてくれた。
読んでいただいてありがとう!
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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