最近、文京区役所(文京シビックセンター)の職員食堂に
昼ご飯を食べに行くことが多い。
何年も、ここに一般人も入れる職員食堂があるとは知らなくて、
最近、患者さんから教えてもらった。
自分で仕事をしていると、給食の人と接するなどということはごく少ないが、
私は給食のおばちゃんや、おねえさん、おにいさんといった人たちが、
なんとなく好きだ。なにかやさしくて温かい感じがする。
小学校の給食の頃の印象からか、よくわからない。
ここで頼むのがいつもカレーライスとラーメン。
よそってもらうとき、カレーのご飯を減らしてもうらう。
「 これでどう?」 「もうちょっと減らして」
おばちゃんは面倒がらずに微調整して、ニッコリ渡してくれる。
行くようになった理由はいくつかある。
一つは、いつもごく近場ですませていたメニューに飽きたこと。
二つめは、やすくて、意外にうまいこと。
三つめは、区役所の26階建て高層ビルの13階にあるので、
とても眺めがいい。すぐ真下に東京ドームの白く大きな丸い屋根が見え、
目の前を後楽園遊園地のジェットコースターが走っていく。
右下には、梅が咲き始めている、7万平方メートルもの広さがある
小石川後楽園の森が見える。これは水戸黄門がつくった、水戸徳川家の上屋敷の庭だそうだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/be/3b371c3db221500e6cb80e6d15294cdf.jpg)
私は恐いから乗らないが、あのジェットコースターに乗っている人を見ていると面白い。
急傾斜の恐そうなところに来ると、バンザイをする人が必ず何人かいる。
あれがなんとなく、見ていておかしい。 窓が強力な防音ガラスなのだろう、
目の前を走るジェットコースターの音や悲鳴はまったく聞こえないから、
無言で静かにバンザイを始めるように見える。 だからよけいにおかしく感じるのかもしれない。
きっと手を離したほうがスリルがあるんだろうな、などと思いながら食事をする。
私の昼食はいつも遅くて、午後3時半前後。治療が一段落するのが、だいたいこの時間。
食券はカレーとラーメンしか買ったことがない。かなりの空腹で行くので、
二つともきれいに平らげる。ラーメンが340円、カレーが410円の計750円。
ラーメンも、味噌汁つきのカレーも十分にうまい。 ラーメンは子供の頃食べた
ラーメンの味に似ている。カレーも好きなジャガイモのゴロゴロ入った黄色いカレーである。
小学低学年まで、ラーメン屋で食べるラーメンなど一年に何回かぐらいしか
食べた記憶がない。 物の豊かな時代ではなく、外食も今と違って、家庭では
ほとんどしなかった。ラーメンはなかなか食べられないご馳走だった。
上にのっていたのはチャーシューではなかった。今、ビアソーセージと
いって売られているのと同じで、細かい肉や脂身を成型して固めたもので、
まわりに赤い色がつけてあった。そのソーセージを薄く切った4分の1の
切れはしがのっていた。それでもとてもうまかった。
5月5日のこどもの日は、上野動物園の子どもの入園料が無料になった。
動物園のまわりにある、ヨシズ張りの食べ物を売る店も、子どもは半額になって、
ラーメンもたしか30円ぐらいだったと思う。 年に一度のこの日、友達と
連れ立って動物園に入る前に一杯食べ、出てきてからまた一杯とお腹いっぱい食べた。
最近、昔のつましく生きていた人々のことをぼんやり考える。
ぜいたくに進化したラーメンもいいが、貧しさの中でたまに食べるラーメンほどうまいのかな。
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/