再発性角膜上皮びらん
再発性角膜上皮びらんこの病名ご存知ですか?このブログは以前にイワサキ眼科医院に勤務していた時に書いたブログの引用です。
ほとんどの人は知らないと思うのですが、いったんなってしまうと何度もくりかえし、角膜上皮(くろめのかわ)が何度も誘因なく突然めくれてしまい、激痛で悩まされる病気です。
この病気にはいくつかのキーワードがあり、診断は比較的簡単ですが、治療は一筋縄にはいきません。
キーワード:過去、「角膜になんらかの原因でキズができたことがある」、「朝方に突発的な痛みで目がさめる」の2つです。あとは、写真(図1)で供覧するような、先天的な「角膜ジストロフィー」を有する人にも多い病気です。
キズができる原因は様々で、「木の枝でついちゃった」「抱っこしている赤ちゃんの爪がお母さんの目に入っちゃった」「紙が目に入ってキズができちゃった」などです。
角膜上皮の再生を待ち抗生剤の点眼や眼軟膏を使用し、終日眼帯をすることが一般的です。しかし治癒までに長期間を要すること。また治るまでにも数回キズが再発してしまい、痛みが強く精神的にもかなりの苦痛を伴うことがあります。
キズの範囲が広い場合、また上皮がさかむけ状になっている場合は、一度浮いている上皮をめくって(掻爬(そうは))しまう方が再生が早いようです。また疼痛予防と角膜の眼瞼からの物理的な刺激を予防するために、連続装用可能なソフトコンタクトレンズを使います。当院では、連続装用可能タイプのアキュビュー、エアオプティクスEXなどを使っています。この方法で多くの方の痛みが緩和され楽になったといわれます。なかなか治りにくい方がおられましたら一度ご相談下さい。
ただし、ソフトコンタクトレンズを使った治療方法は、再発予防になるわけではなく、症状がおこっている場合の対症療法にしかすぎません。
なお、ソフトコンタクトレンズによるこの治療法は、糸状角膜炎といった別の病気にも使用することがあります。
図1
図2
突然、瞳の下側に深いキズができてしまい、角膜の浮腫(むくみ)と強い充血をおこしています。
図3
フルオレセインという薬液で染色すると、角膜の欠損部(キズ)の範囲がよくわかります。
図4,5
別の患者さんです。不正な上皮欠損部をめくってしまい、ソフトコンタクトレンズで保護しました。そこで痛みはだいぶ楽になりました。