ピアス 3章 2021-04-03 | ピアス 立春を過ぎたころのことであった。 茶道、真壁流家元、真壁清澄を知ることになった。 勤務する蔭樹学園の理事長、鏑木早苗を通して、茶事に招かれた。 思いも寄らぬ誘いに、わけを尋ねても、理事長は、にこにこしているだけである。 琴音には、この機会に、と、着物を仕立てた。 公用車で迎えに来た理事長は、 「お似合いだわ。可愛らしくてよ」 と言った。 嵯峨野の辺りには、雪が解けずに残っていた。 名刹のひとつ、 . . . 本文を読む