元盲導犬*シルクのゆるゆる日記。

盲導犬を引退し9年ぶりにパピーウォーカーの元へ帰宅。お仕事も忘れ、ザ・ぐ~たらな自由すぎるゆるゆる定年生活♪

クロちゃんの奇跡

2009年05月27日 | パピーウォーカー(パピー時代)
実家の4代目のワンコ、クロちゃんは3年前の8月の暑い中
やってきました。

私も当日、もちろん見に行ったのでした。

「クロちゃん、よろしくね。今日からここで暮らすんだよ。もう
安心していいんだよ」などと、母と一緒にクロちゃんを撫ぜたり
していたところでした。首輪をつけかえようとしていたその矢先・・・。
首輪が一瞬パッと外れ、その隙に暑かったので少し開けていた玄関から
クロちゃんがひょっこり出てしまいました。
私は焦って、クロちゃん!と外に出ました。

今思うと一番やってはいけないことをやってしまいました。
「クロちゃーん」声を出して追いかけてしまいました。
クロちゃんはこっちを振り返りながらも、今思うとびっくりしたのでしょう。
少しずつ走って行ってしまいます。
クロちゃん、クロちゃん...
気が動転して、急いで追いかけるもだんだん距離が開いてしまいました。
そして見失ってしまいました。


心臓がバクバクしておさまりません。
それから大捜索が始まりました。
父、母、そして私。走って色んなところを探してもいない。
「クロちゃーん、クロちゃーん
その後は自転車で。そして車で。何度も何度も探しました。
犬の散歩をしてる人にも、聞いたり、見たら電話をくれるように
お願いし。
徐々に夕方暗くなってしまいました。
もう半べそでした。
「私のせいだ、私が来なければこんなことに」頭が真っ白でした。

犬はかなり足が速いです。とんでもない所で見つかった話も聞きました。
慌てて隣の2つの区も含めて保健所、警察、連れてきてくれた
ドッグシェルターのスタッフさんに電話しました。


「事故にでも遭ったら私の責任だ、クロちゃんどうか出てきて
願う気持ちも虚しく、夜になってしまいました。。。
夜も車や、歩いて懐中電灯を持って探しに行きました。
もう遅いのでとりあえず私は一度自分の家に帰りました。
家の近くの神社にも神頼みしに行きました。
そして眠れぬ夜を過ごしました。

真夏の暑い日、もう何時間たったことでしょう。
お水も飲んでなくて脱水症状になってるんじゃないか、
そして夜になって雨が本降りになってきました。

クロちゃんは東京から今日車で連れてこられたばかりです。
土地勘もありません、まだ実家に来てわずかな時間しか経ってませんでした。
雨も降ってきて、自分の臭いも消えてしまったことでしょう。
クロちゃん、今どこにいるの?雨宿りできてるかな?
事故にでもあってうずくまってたらどうしよう。。
焦りと落ち込みでいたたまれませんでした。
ごめんね、ごめんね、クロちゃん。
せっかく今日から新しい生活のスタートだったのに。。

ドッグシェルターのスタッフさんたちが、立派な張り紙を作って
間夜中、雨の中100枚以上もあちこちに貼って下さいました。
(見つからなければ1週間かかりっきりで探してくれる覚悟だったそうで


そして、早朝・・、1本の電話が。
父親からでした。ドキドキしながらとると
「クロちゃんが帰ってきた」と。

ヘナヘナと体の力が抜けそうでした。

何でも、父も寝疲れず夜中起きてトイレに行こうとした時、
駐車場のセンサーの電気がちょっと付いたそうです。
不思議に思って窓を開けてみると、なんと車の脇にうずくまってた
クロちゃんを発見したとのこと

初めて連れてこられた家、こんな怖い思いさせちゃったのに
ちゃんと帰ってきてくれた。
家でお世話になろうと心を決めたのかな?
逃げようと思えば逃げられたのに嫌じゃなかったんだね。
クロちゃーん、クロちゃーん、と探した声が届いたのかな。
雨の中、初めて来た家によく帰ってこられたね。
本当に偉いよ、クロちゃん
ごめんね、ごめんね ありがとうクロちゃん

胸がいっぱいになりました。
こんなことがあったので、一気に絆も深まり
今ではすっかり甘甘に可愛がられて、すっかり家族の
一員になりました