【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

今さらながら、Twitter・・・

2010年02月27日 | マーケティング話
昨秋あたり、知人の神田敏晶さんや津田大介さんが、
Twitterの書籍を出されました。

自分のブログを昨秋まで1年半、放置していた私、
日記を書く回数を減らしながらも続けていたのはmixiのみ。
しかも、昨夏より近所のスポーツジムに通い始めたこともあり、
Twitterには興味を持ちつつも、手が回らなかったわけです。。。
時間は有限ですしね。

何やら日本で600万人を超えた(?)なんていう噂もありますし、
鳩山首相とかも始められたようで、
まぁ、「Second Life」のようにポシャる可能性は低いか?
それに、自分で使わにゃ、話についてけんわ、ということで、
重い腰を上げようという私です。
完全に「フォロワー」ですな。。。
mixiにもTwitterを真似た機能はありますが、どう違うんだろうか?

で、足掛け5年間参加している「マーケティング庵」という
ゆる~い集まり(Freeの座談会)がありまして、
先週の土曜日(2/20)のテーマが、「Twitter」
「マーケティング庵の胴元」であり、神田さんの盟友「SatoRichman」さんのお話を楽しみに参加しました。

約3時間のフリートークを、簡単にまとめてみました。
初心者視点です。
------------------------------------------------------------------
◆Twitterのお勉強

■歴史

・元々、米国のエンジニアのショート・メール(連絡ツール)
(彼らにとって米国の「iモード」のようなもの)

・2008年、インターフェースが日本語化
 (「SatoRichman」と他数名の参加者はそれ以前から使っていた)

■コミュニケーション

・能動的に使わないと意味がない

・一方的なフォローは日本人的ではない(ブロック、非公開可能)

■魅力

・即時性

・ネガな書き込みが少ない(今のうちだけ?)

・「Twitterはプロトコル」(by 津田大介)

・中心ユーザー(ボリューム)は30~40代で、「iPhone」ユーザーが多い。
 (『週刊ダイヤモンド 2010.1/23』では、男女とも20~30代だったんだけど・・・)

■利用形態

・80%以上はPC
 ⇒ これは意外! 自分の先入観では、即時性=モバイルでした。。。

・残り20%のモバイルユーザーの殆どは「iPhone」で

■収益構造

・現状、GoogleとYahoo!への情報提供料のみ

・どうやら「ソーシャルビジネス」は、従来の「ベンチャービジネス」とは違うらしい
 企業のCSRの考え方が変わってきている?
 下図(↓)は、お話を聴いて自分なりにイメージしたものです。
 縦軸は「リベラル度」、横軸は「有償⇔無償」です。

 

 (昨夜読み終わった『FREE』では、結構、収益構造確立のために頑張ってるような
  ことが書いてありましたが)

■初心者へのアドバイス

・まず、自分のプロフィールをしっかり書くこと(160文字以内)

・「代償の理論」(「返報性の法則」)によってフォローすること

・フォローする人の基準
  ⇒ フォローしている人数とフォローされてる人数がほぼ同程度の人
    フォローしている人数がやたらと多く、フォローされてるのが少ない人は要注意

・わからないことがあったら、とにかくググる
 (マニュアルが豊富な日本のサービスとは違う)

・「これでナンパが簡単に!」なんて考えない

・誰かを責めたり、本気で怒ってつぶやかない

・「マイケルからお誘いが来た!」と、ついクリックしない

------------------------------------------------------------------
トークでは、「加ト吉」さんのほのぼのとした事例(飲み会の参加費を6千円から3千円へ)や、有名なUCCさんの失敗事例の話もでました。

「リスト」「ハッシュタグ」とか「ツイログ」とか出てきましたが、そのうち。
あと、嫌な人を切るのは、mixiより心理的障壁が低いようですね。
(私は過去2名ほどおりました)

で、私自身のメリットは?

「やってみなきゃわからん」ということで。
(まだ一言しかつぶやいていません)
今のところ、そんなに期待はしてません。

http://twitter.com/shuji_inoue

**************************************************************************
 お読み頂き有難うございます。
 (↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

『ネット帝国主義と日本の敗北 搾取されるカネと文化』

2010年02月20日 | 書評
2月に入ってすぐ、HMVの実質的な音楽配信撤退が報じられました。
「実質的」というのは、正確には「iTunes」との提携ということだからです。
従来の音楽配信サービス「HMV DIGITAL」は2010年2月28日をもってサービス終了
ということだそうです。

2007年、ライブドアさんとコラボして私が書いた
「音楽配信サービス利用実態調査レポート2006」の結果では、
“一人勝ち”の「iTunes」に対して「HMV DIGITAL」は、
アクセス経験、購入経験、CD購入枚数別・有料配信購入曲数別の購入経験、
どれをとっても厳しい状況で、旧「ORICON STYLE」とほぼ同様のスコアでした。

オリコンさんが賢明にも早々の撤退を決められたことと対照的に、
HMVさんが今まで健闘されたのは小売業態であるゆえと推察します。

音楽配信サービスにおける「iTunes」の“一人勝ち”。
“Winner Takes All” というやつですね。
ユーザーにとっての利便性、がキーとなりますが。

今回の事例は、“垂直的”には小売業態内の勢力図の塗り替えですが、
“水平的”には日本企業が米国企業に取り込まれた、ということになるでしょう。
(当事者の皆さんは、「何を言う!、あくまでも win winの提携だ!」と仰せでしょうが)

本題に入ります。

『ネット帝国主義と日本の敗北 搾取されるカネと文化』



著者の岸博幸氏は通産省(現経産省)入省されて以来、多彩な経歴をお持ちです。
(詳しくは、amazonのデータを、いや、本書をお読みになって下さい)
著者が政策の企画・実行担当者であるだけに本書では、
国益という視点から、コンテンツ政策のグランドデザインにとって、
文化資本がいかに危機的な現状であるかということを、
要点をよくまとめて述べられています。
“警鐘を乱打”されている、と言っていい。

基本的には、まずネット上のビジネスの構造を押さえておく必要があります。



最も重要な論点は、

①「コンテンツ・レイヤー」に位置するメディアやコンテンツ企業が、
 「プラットフォーム・レイヤー」のネット企業に搾取される。

②同時に「プラットフォーム・レイヤー」上は米国のネット企業の帝国主義的な
 世界展開による一人勝ち状態。

③米国ネット企業による世界のマスメディアやコンテンツ企業の搾取の結果として、
 ジャーナリズムや文化が衰退している。

ということです。

“縦への展開”としては、「プラットフォーム」による上位の「コンテンツ」の取り込み。
“横への展開”としては、「プラットフォーム」のグローバル展開。
(同書132ページより)

利益という観点では、
「プラットフォーム・レイヤー」のみを活動領域とするネット企業に、
流通独占と超過利潤がシフトして、「コンテンツ・レイヤー」に超過利潤が還元されず、
ジャーナリズムと文化の衰退に至る、ということ。(同書193ページより)

読者数ではネットのほうが50倍もいる「ニューヨーク・タイムズ」紙は、
ネットからの広告収入は紙の10分の1程度。
ネットからの広告収入だけでは、同紙の社員数の20%しか養えない。(同書64ページより)

このあたりの詳細は、佐々木俊尚氏の『2011年 新聞・テレビ消滅』に詳しいですが。



コンテンツ(=楽曲)の単価を押し下げた「iTunes」が儲かっても、
コンテンツを創るメーカーの利益は下がる一方。
(そのうちアップルさん、M&Aによる「コンテンツ・レイヤー」企業の垂直統合を試みちゃったりして・・・)

岸氏は、50ページで以下のように述べています。

「低下したのは“ユーザにとってのコンテンツの価値”であり、“社会にとってのコンテンツの価値”は変わっていない、ということです」

「コンテンツは文化を形成するものであり、社会にとっての文化の重要性が不変である以上、特にプロが制作するコンテンツの社会にとっての価値も変わっていないはずです。」

「つまり、ネットの普及によって、コンテンツの“ユーザーにとっての価値”と“社会にとっての価値”の間に大きな乖離が発生してしまったのです。」

私の基本的なスタンスは“ユーザーオリエンテッド”です。
但し、“ユーザーオリエンテッド”は、「プラットフォーム・レイヤー」企業が、
徒にコンテンツの単価を押し下げて、(結果的に)質の“劣化”を正統化する“言い訳”にさせてはならない、と考えます。
それに、“ユーザーオリエンテッド”とは、表面的なユーザーの声に盲目的に従う、ということではありませんからね・・・。

**************************************************************************
 お読み頂き有難うございます。
 (↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

消費構造の変遷と音楽消費(粗っぽい仮説) ⑦

2010年02月12日 | 消費構造の変遷と音楽消費-粗っぽい仮説
2010年現在は、「アナログ気分・ブレイク期」(2006~2012年)。
人間性を尊ぶ気品の時代、らしいです。
7年間の「癒し」の時期を経て、癒されることに飽きた大衆は、気高い気持ちに。
第5回で書きましたが、こういう「品格」の時期って、
元「モーニング・ブルー・ドラゴン」にとっては分が悪かったですね。

1999年から2006年の「アナログ気分・黎明期」には、
元ライブドア元社長 堀江貴文氏の逮捕劇がありました。
『なぜ、人は7年で飽きるのか?』の98ページにこのことが触れられています。

癒しや自分探しがキーワードになる時期とは、
一方で、陰湿ないじめや徹底的に叩かれる存在が出やすいそうです。
人々はエリート主義を捨て、拝金主義を叩く。
堀江氏逮捕のちょうど56年前(同じ時期)、光クラブの山崎氏が逮捕されました。
三島由起夫の『青の時代』のモデルです。

全く同じパターンではありませんが、
私の頭に浮かんだのは村上春樹のことです。
1980年代後半、正確には1987年でしたが、
小説『ノルウェーの森』の大ベストセラー化によって「村上春樹ブーム」が起きました。
当時20代だった私は、村上作品のほぼ全てを読んだだけでなく、
彼の翻訳したフィッツジェラルドの小説まで読んだものです。
1987年は、「デジタル期」のピーク(1985年)後、
「アナログ期」へ向かっていく「ソフト期」の最初です。
ほかには、よしもとばなな『キッチン』も。
“DINKS”というライフスタイルの概念が米国から輸入されたのもこの頃。

これを「第一次」村上春樹ブームとすると、
『1Q84』がブレイクした2009年から2010年は「第二次」ブームかもしれません。
もちろん、90年代も執筆・刊行されていましたが、社会現象としては・・・。
2009年は「エルサレム賞」でのことで世界的にも話題になりましたし。
2010年は、2013年の「アナログ期」の絶頂に向かう「ソフト期」の最後です。

「ソフト期」の最初と最後にブーム、というのはいかにも村上春樹じゃないの?
と私は感じざるを得ません。
-------------------------------------------------------------------------
デジタル化という技術のイノベーションが、「ブレイン・サイクル」と絡んで、
マーケットを拡大させた、という事例こそ80年代以降の音楽業界です。
(私の仮説ですし、ロック・ポピュラー音楽が中心の話になりますが)

『なぜ、人は7年で飽きるのか?』では、
「デジタル気分 ブレイク期」(1978~85年、2034~2041年)のページで、
ロックについての記述が見られます。

この時期はS/Hビューでは「ハード期」。
デジタル&ハードの究極の「男性脳」型の時期です。
テクノの隆盛もありましたね (日本では「YMO」など)。
ロックについては以下のように書かれてます。(黒字部分が引用)

エレキギターを使い、子音をシャウトするロックは、ニューロン短軸索リンクを刺激し、デジタル期全体に心地よい音楽である。(124ページ)

1960年代から1980年代にかけてのロックシーンの名曲がいまだにドラマやコマーシャルで使われるのは、デジタル期の土壌でこそ培われる音楽である証拠なのだろう。(124~125ページ)

1985年、男性脳の「デジタル期」はピークを迎え
その後、女性脳の「アナログ期」に向かう「ソフト期」が始まります。

ここでは詳しくは書きませんが (いずれ別シリーズで書きます)、
80年代前半から中頃にかけて、欧米でも日本でもロックが隆盛を極めます。
70年代のカウンターカルチャーとの違いは、大規模な商業ベースにのったということです。
ずっと前に書いたかもしれませんが、MTV文化の勃興も大きいですね。
(やはり後に書きますが)、PANTAさんの表現を借りれば、
ファッションをはじめとしたカルチャーの“先導役”をロックが担い始めた時期です。

80年代の日本では、「ポストモダンの消費社会」が花開き、
音楽業界では、CDというデジタル・フォーマットがマーケット拡大の最大の原動力となります。

このあたりの経緯は、2005年に刊行された烏賀陽(うがや)弘道さんの『Jポップとは何か』で詳しくまとめられています。



レコードからCDへの主役交代は、1986~87年のこと。
ハード機器を売るため=ソフトマーケット拡大の新たなターゲットに設定されたのは「若い女性」。

いわゆる「ガールズポップ」といわれる一群。
「プリプリ」「渡辺美里」「永井真理子」「中村あゆみ」「山下久美子」・・・。
一応、その前に「レベッカ」ってありましたが。
それに「山下久美子」はこの中ではベテラン (という小異はいいか)。

そう言えば、日本のポピュラー音楽メーカーの「主役」も、
ヤマハさんからソニーさんに移行しちゃったんですね。今更ながら気づきましたが。
そこでもキーとなるのは、ソニーさんの「CD」でしょう。
なんせ、技術的なイノベーションですから。
総合電機メーカーに、楽器メーカーは敵わなかったと。

「夢をかなえるべく前向きにがんばり、成長していく女性像」 (『Jポップとは何か』45ページより)

私、個人的にはうざかったんですが(笑)、それは置いといて。

若い女性ターゲットの新しいマーケットとは、結構、エポックメイキングな出来事でした。
70年代まで、女性がロックをやるとなると「男」になる必要がありました。

また、「アイドル」全盛の頃の女性歌手のファンは男性、という図式は崩れました。
「BOOWY」のような日本のロックの土台を作ってきた男性のバンド群も80年代後半、
解散が相次ぎました。男達に支持され続けてきたバンド群です。
今から思えば、産業としてのロックが確立した後、“用済み”となったとも思えます。
これじゃ言葉が悪いんで、“歴史的生命を終えた”と言いましょうか。

「ブルーハーツ」のようなバンドは、私の独断・偏見ですが、
パンクを標榜しつつも、男性的な攻撃性、アイロニー(皮肉)、毒はなく、
大衆からの「共感」のされ方を鑑みると、男性的ではなく女性的だと考えます。

80年代後半には、「イカ天」というオーディション番組によって、
80年代2度目のバンドブームが到来します。
(この番組、またまた私は嫌いでしたが-笑)

このブームも、時代潮流としてみれば、「女性」的だと私は考えます。
世間からの受け入れられ方や、広まり方がです。
なんせ、ロックがアングラ・シーンからうごめきだした「東京ロッカーズ」(後期)や、
インディーズ(自主制作盤)の時代に身を置いてきましたから。。。
(70年代については、体験された方から直接聞いたり、書籍・雑誌の情報ですけど)

90年代のマーケット拡大は、今更ここで詳しく書くまではないでしょう。
ドラマタイアップの大ブレイク期。
どんなアーティストがどんな楽曲で、ということを思い出して下さい。

CMタイアップも忘れてはなりません。
烏賀陽さんの本にも書かれてますが、
電通さんなど大手広告代理店がキャスティング業務を本格化させたのも90年代からです。

“CDバブル”崩壊直後、90年代後半、メガセールスを記録した“ディーヴァ”と呼ばれたアーティスト達 (いちいち個人名を挙げるのは面倒なので)。
やはり女性ですよね。それもリスナーとしての女性に支持される女性。

ジャニーズ系の皆さんや、「B'z」「ミスチル」のような男性陣もおりますが、
俯瞰的に見れば、供給サイドでの女性優位は否めません。
それに、90年代はいかにも男性ロックファンのカリスマとなるような“ギターヒーロー”は出現していません。
これもよく言われることですが。
80年代から活躍している布袋寅泰氏が最後じゃないでしょうかね。
個人的には残念な気持ちと、「鮎川さんがいれば十分」 という気持ちで複雑です。

00年代もこの傾向が加速します。
1999年は、男性脳の「デジタル期」が終わり、女性脳の「アナログ期」に突入。
ある知人が、「平井賢」「徳永英明」とか、あんな女々しい歌声で大丈夫なんかい?
男達は? と言ってましたが。。。
(ファンの皆さま、お気を悪くされないでね。私、嫌いじゃないですから)

話は戻りますが、「Jポップ」という呼称についてです。
やはり、うがちゃん(ごめんなさい、面倒なので・・・)の本に書いてありますが、
もともとラジオ局の「J-WAVE」なんですね、由来は。
それにレコードメーカーの人間が数人からんで。
基本的な発想は、「JR」「JT」「Jリーグ」と一緒です。時期もほぼ一緒。
「J」というからには、世界で通用することが前提なんです。
「Jリーグ」と「Jポップ」は、あくまで幻想に過ぎないんですけど、
とにかく“大衆化”のためには必要だったと。
大衆化にとって不可欠なこと、それは女性の取り込みです。

(注1)現在のアニメやヴィジュアル系など「クール・ジャパン」が世界で受容されていることは、この文脈とは違うのでいずれ書くかもしれません。

(注2)やはり、うがちゃんの本に書かれてますが、CDという“フォーマット”のイノベーションで日本の企業は貢献しましたが、ソフトである「音楽」自体のイノベーションは日本から生まれてません(少なくとも、大きなものは)。フィル・ペクタースティーブ・リリーホワイトのようなイノベーティブなサウンド・プロデューサーはいない。これは「Jポップ」の致命的なウィークポイントです。

歌手やミュージシャンを「アーティスト」と呼ぶこと。
これも同じ文脈でしょうね。
一説では“張本人”と言われてる佐野元春さんあたりだったら納得できるんですが。
文学的だし、80年代に「カセットブック」とか出されてますし。

「アーティスト・ブランディング アナリスト」と称する私ですが、
実は、世の中の文脈上、仕方なく使ってるだけです。
本当は強い違和感を感じてます。
(それなら、“真のアーティスト”と呼びうる人だけ扱えばいいのかもしれませんが、そういう人達って、まぁ、ほとんどお金ないんですよね-泣)
-------------------------------------------------------------------------
ずいぶん長いこと書いてきました。

第4回目では、供給サイドの音楽業界に結構きつい言い方をしました。

大衆の意識:ブレインサイクル⇒感性トレンドは今まで述べてきた通りです。

その大衆の意識に一生懸命より添ってきた音楽業界は、
それなりにマーケット拡大に一生懸命だったわけです。
それは責められないかもしれません。
ただし、音楽のコモディティ化(=価値の低下)は行き過ぎです。
それに、グランド・デザイン不在のままではいけませんね。
こんな悲惨な状態なんですし。

そして最後に。
前半は、“草食系”など若者の消費動向、生活意識について書いてきました。
いつの時代でもそうだと思うんですけど、
若者の問題って若者だけの問題じゃないんですよね。
自分の経験則でも、原田さんの本にも書いてありますけど、
眉をひそめるような若者の典型の行動って、おっさんだってやってます。
「デジタル万引き」だって若者だけじゃない。
そのあたりは、「統計数字」に対し近視眼的にならないほうがいいですよ。
一般的に、若者の傾向って2~3年で上の世代に波及していきます。

消費の不振を若者だけのせいにするのは止めて、
もっと広い視野と長いスパンで世の中を見ていきたいもんです。
“総論賛成、各論反対”にならずに。

固定的にしか見えない“問題”だって、主役は人間(の脳)です。
仮説とはいえ、それなりの理由があっての結果です。
このままの状態が永遠に、なんてことはありません。

で、肝心なのはこれからどうなるのか? ですって?

そんなに難しいことじゃないんじゃですか(笑)。
少なくとも傾向を予測するのは。
どの変数とどの変数を掛け合わせればいいのか?
経済・社会の予測は難しいとは思うんですが、
私達の意識のベクトルは大体読めるでしょう?
そのために今まで、書いてきたんですから。
粗っぽい仮説ですけどね。

あああっ!
2月12日になりました。
私の誕生日です。

齢を重ねると、誕生日はめでたくない、なんて人が多いですよね。
でも、それは勘違いだとと思いたいです。

何かの本に書いてあったんですけど、
お誕生日とは、自分が祝われる日じゃなくて、
自分の生をこの世に授けてくれた両親に感謝する日だと。
自分はそう思っていたいです。

**************************************************************************
 お読み頂き有難うございます。
 (↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

消費構造の変遷と音楽消費(粗っぽい仮説) ⑥

2010年02月11日 | 消費構造の変遷と音楽消費-粗っぽい仮説
前回、書籍 『なぜ、人は7年で飽きるのか?』を取り上げ、
人の脳の傾向と「流行」の構造化、を見てきました。

◆個体の脳の意識サイクル=ブレイン・サイクル
◆ブレイン・サイクルによって生み出される大衆の意識傾向=感性トレンド
◆感性トレンドによって生み出される社会現象=流行

まず、誤解して頂きたくないのは、
ブレインサイクルとは、「飽きる」という“才能”を持った私達の「脳」と、
世の中の意識傾向の話であり、社会・経済状況の推移と表面的には結び付かない、
ということです。
だから、28年、56年前とか後に、「同じようなものが流行る」ということではありません。
極端な喩えですが、技術が「アナログ」から「デジタル」に移行したのは、時代の進歩。
2010年現在が「アナログ期」だからといって、単純にアナログが復権するわけではありません。

ただ、時代がどんなに進んでも、
28年、56年周期の「アナログ期」「デジタル期」のブレイン・サイクルは繰り返し、
世の中の底流の意識トレンド(→流行)は循環する、ということです。
戦争や災害があっても、戦後の復興期、高度経成長期、バブル期、失われた10年であっても
“意識の底流”は変わらないということです。

以下(黒字部分)は、103ページの記述です。

感性トレンドは、「同じものがはやる」ことを予測するのではなく、
「同じ気分によって、同様の傾向を呈する」ことを予測する手法だ。

この数年、「アラフォー」とか「負け犬」とか「イタい・・・」など、
働く女性の話題が事欠きません。
ブレイン・サイクルと経済・社会情勢の“絡み”については、
同書の130~135ページのコラム、「Hanako世代」(私と同世代の女性)の分析が、
具体的で説得力があります。

さらに、『なぜ、人は7年で飽きるのか?』で押さえておきたいこと。
それは、「はじめに脳ありき」、ということです。

私たちは「人は、理由があり行動している」と思い込みがちだが、
脳を見つめていると、脳に先になんらかの意識ベクトルが生じ、
脳自体がそこへ気持ちよく突っ走るための理由を探しているとしか
思えないことが多々ある。(116ページ)


すなわち、脳にはまず初めに気分があり、
その気分に合うものを欲して動いているのであって、
一つひとつの理由は案外ささいだったりするということだ。(117ページ)

一つひとつの理由(事実)にとらわれすぎないことだ。
これは人間観察の基本である。部下や恋人の言い募る不満が、
彼ら自身の気持ちの真実を語っていないこともある。(117ページ)

消費者の行動分析をするのはいいのだが、
その事実(意味的な理由)にこだわりすぎると、かえってトレンドは見えなくなる。
そうなる前に、先んじて起こった「市場の脳の気分」にまで目を配らないと、本質は見えてこない。

脳の気分をアンケートや現象分析から割り出すのであれば、
理由が明確な属性を並べるより、「理由もわからないのに、なぜか売れている」特異点に着目するのがコツである。(118ページ)

引用が長くなりましたが、重要なポイントですので。
“永遠の問題”(?)である嫁姑問題に至っては遺伝子レベルの話のようです。

私の経験でも結構、しっくり理解できます。

“本能の壊れた動物”(20代の頃、この方の著作は全部読みました)である人間には、
「発情期」がありません。

「発情期」の長さと回数は人それぞれですが。。。

そんな私達には、結婚という社会制度があり、
ライフステージとして「適齢期」というものが設定されています。

 「やすらぎが ほしくて結婚 しない僕」(役立たず)

“草食系”とは言えない(?)私ですが、
この「サラリーマン川柳」の一句、よくわかります。

というのは余談ですが、そんな私でも、ほんの些細なことがキッカケで、
「恋愛モード」のスイッチが入ることがあります。

まず“対象”があって、“感情”が生起する、と云うよりも、
“感情”のモードがスイッチオン、それから“対象”というように。

だから、ずっと同じ環境にいる女性に、ずっと何も感じなかったのがある日・・・、
といったことも。
もっとも恋愛には「相手」があることなので、
そういうタイミングがずれると、「鈍感すぎる男」ちゅーレッテルを貼られる、
なんてことも多くありました。。。

そしてスイッチが切れると、
「俺は何であんな女のことを???」と思ったことも。。。
「まぁ、結果オーライか・・・」とか。

そうなると(スイッチが切れると)、こうなるんでしょうね。
ご結婚されてる皆さんは。
また「サラリーマン川柳」ですが。

 「『離さない!』 10年経つと 話さない」 (倦怠夫婦)

 「帰宅して チューはされずに シューされる」 (バイキンマン)

 「癒し系 結婚したら 嫌み系」 (草食系男子)

 「あなただけ 言った妻が あなたどけ!!」 (かじ(家事)まめ夫)

 「一言が 足りない俺に 多い妻」 (みやっさん)

作品の著作権者の第一生命さん、
勝手に引用しちまったべぇ~!
ゴメンネ、ゴメンネェ~~~~~~!

第7回では、「ソフト期」と音楽マーケットの変遷を絡めて考えていきます。

**************************************************************************
 お読み頂き有難うございます。
 (↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

第二回 CDショップ大賞 【補足】

2010年02月08日 | マーケティング話
先月、第二回 CDショップ大賞の記事を書きましたが、
雑誌『日経エンタテインメント』最新号(2010.3)の53ページ、
【麻生香太郎の業界潜行】Vol.30にCDショップ大賞のことが触れられていました。
(51ページは「第2回 CDショップ大賞発表 その課題と次の一手とは?」)

ちなみに、麻生香太郎さんって、作詞家でもあったわけです。
(ご著作のほうは、4年前、この本読ませて頂きましたが)

メジャーデビュー前のシナロケに、『♯1』というアルバムがあるんですが、
麻生さん、「涙のハイウエイ」の作詞もされてるんですね。

シーナ&ロケッツ-涙のハイウェイ(1979)


このとき(1979年)のシーナさん、全くの素人でした。
それなのにこの貫禄と言うか、ふてぶてしさ。
歌がうまい・下手とか音程が云々じゃないんです。
女性ロッカーの素養というやつです。
(音楽スクールのレッスンとかでどうにかなるもんじゃありません)

2005年に私は「mixi」をはじめたんですが、
ハンドルネームを「涙のハイウエイ」にしようか? 
って思ってたくらいこの曲はね・・・。
(結局、U2のアルバム名にしましたが)

本題に戻ります。

【麻生香太郎の業界潜行】Vol.30のゲストは、
NHK制作局 エグゼクティブ・プロデューサー 石原真氏。

キーパーソンの格言:「ポップミュージックは3分間で人を幸せにするもの」

石原氏は1957年のお生まれなので、私より年長ですね。
「はっぴいえんど」と「ムーンライダース」が原点とのこと。
NHKでは「トップランナー」「ポップジャム」を担当されたそうで、
昨年(09年)4月、「MUSC JAPAN」では、ナビゲーターに「Perfume」、
ナレーションに「水樹奈々」を起用されたました。

「何で、(こんな売れそうな人達を)民放は使わないんかな?」

と思われたそうです。

で、業界不況の構造的要因について的確に語られてるんですが、最後に、

「今年の『CDショップ大賞』の、ザ・ボゥディーズって、一般の人は知らないでしょ?」

そして麻生氏はこうまとめられてます。

「この現場とメディアの乖離こそがJ-POPの不幸だと彼は言う。耳が痛い。」

的を得てますよね。。。

-------------------------------------------------------------------------
また、本題から外れますが、
『日経エンタテインメント』には、
私の尊敬する友人、つのはず誠さんが「月間音楽チャート診断」を執筆されてます。
(最新号では67ページ)
いつも的確なチャート分析をされているばかりではなく、
音楽への愛情溢れたスパイシーなコメントも楽しみです(文末に注目)。

「○○ちゃんは等身大で、若い女の子の気持ちが云々♪」

なんて書いてるよな芸能系雑誌のライターさんたち、(ホント、しつこいね俺・・・)
つのはずさんの爪の垢でもだな、、、無理か(笑)。
うんにゃ、芸能系はそれでいいのかもね(笑)。
余計なお世話でした。
I'm sorry, 髭ソ~リ~

**************************************************************************
 お読み頂き有難うございます。
 (↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。





消費構造の変遷と音楽消費(粗っぽい仮説) ⑤

2010年02月06日 | 消費構造の変遷と音楽消費-粗っぽい仮説
いやぁ~寒い、寒い。。。
来週、誕生日を迎える私ですが寒いのは苦手です(涙・・・)。

丁度この季節になると、思い出すのは10年以上前のこと。
「The VISITOR」というバンド(元「横道坊主」梅本氏がリーダー)のマネージャのとき。
この季節に東名阪・中国・九州のツアーが組まれちゃったんですね、事務所のN社長に。
神戸、寝屋川、大阪、熊本、博多、大分、広島、岡山、名古屋の9ヶ所。
全てのブッキングと宿の手配は、
同行させて頂いた「インテンゲレメンツ」さんをマネジメントされておられた
MAT黒田さん(「VOGUE」:現「HEAVEN'S ROCK」プレジデント)にお願いして。
黒田さんにはその後も借りばかりで・・・(冷汗)。

機材車で新高円寺を出発したのは快晴の土曜日の午後。
静岡西部に差しかかったところ、遠く西の空に不気味などす黒い雲。
「あの雲の下に行くんか・・・」とゾッとして、夜の名古屋は吹雪。
関ヶ原の大雪のため、大垣インターで東名から降ろされる。
アイスバーン化した一般道をノーマルタイヤのまま恐る恐るチビチビ走り、
国道での関ヶ原越えを諦め、大垣駅近くのビジネスホテルに飛び込み宿泊。
関ヶ原の戦の前、石田治部が逗留したという大垣城は、雪化粧のライトアップで奇麗でした。

土曜日の午前中、英会話スクールのレッスンを受けたくて、
出発時間を早めに設定しなかった私の失敗でした。
(早めに埼玉を出られた「インテンゲレメンツ」さんは三重県経由で神戸の宿に無事到着)
1999年1月のことでした。
--------------------------------------------------------------------------
本題に入ります。

今回、取り上げるのは、この書籍(↓)です。



著者は、株式会社感性リサーチ研究所黒川伊保子さんと岡田耕一さん。

語感研究者である黒川さんは、1999年、各商品のネーミング変化に気付かれたそうです。
英語造語から日本語、イタリア語へ。
子音(機械音)から母音(自然音)、デジタル音からアナログ音への嗜好の変化。
1999年を「大衆の共通感性の分岐点」と名付けた黒川氏は、
元MIT医療研究所の脳生理学者、トニー・ネイダー博士の「人間の生理」という論文に出合われます。
そして、1999年の市場全体で起こった子音から母音への嗜好変化を、
大衆の脳が「短い軸索が活性化しやすい脳状態」から、
「長い軸索が活性化しやすい脳状態」へ変化したことに起因する、
という仮説に辿り着きました。

この10年間、よく「男性脳」「女性脳」ということをよく聞きますが、

「短軸索活性系」=「男性脳」:デジタル系
「長軸索活性系」=「女性脳」:アナログ系

ということになります。

*男性の右脳と左脳を結ぶ長軸が短軸に「改造」されるのは、
 胎児の脳内で分泌される男性ホルモン「テストステロン」の仕業。

で、「時代の中の気分」というものにも、
「デジタル気分」「アナログ気分」の周期性があるのではないか?
という仮説も導き出されました。

「飽きる」ということは人間の才能である
というのが黒川氏のご持論で、私も説得力があると考えます。
でなければ、文明の進歩なんてないんじゃないかと。

「デジタルとアナログの2つの気分は、正弦波のような傾向を描くのでは?」
と考えた黒川氏は、自動車デザイントレンドから「アナログ/デジタル周期説」を
導出された菅原健二氏と出会われたそうです。



丸いティアドロップ型のグラマラスラインと、四角い楔形のシェイプラインの流行。
最も丸くなる、四角くなる周期は28年。
28年の変化は、7年ごとの変化ブロックで構成される。
自動車、ファッショントレンドの膨大なデータの裏付けによる「28年周期説」。
この菅原氏の説を黒川氏は取り入れました。

「アナログ気分」28年、「デジタル気分」28年の56年周期説です。

因みに認知科学で「マジカルナンバー」と呼ばれる「7」は、
容易に短期記憶に収められる最大数。
太陽暦の1週間の単位で、4倍すれば月の公転周期に近い。
女性の月経の周期にも近く、人の脳と身体の周期にもなる。
人の骨髄液の入れ替わり単位も7年。
よって免疫システムも7年で変化するそうです。
(「7年目の浮気」も理にかなっている?)

黒川氏は、この「デジタル気分」と「アナログ気分」の56年サイクルを、
「ブレイン・サイクル」と名付けました。

下図は、『なぜ、人は7年で飽きるのか』の「A/Dビュー」を、
Excelを使って自分で作っちゃったものです。
(小さくて見づらいですが、一番下に引用元の注釈を入れました)



*大衆の脳は、28年のデジタル気分と28年のアナログ気分を56年周期で繰り返している。

*1999年、時代はアナログ気分(女性脳期)に突入、産業構造は、「大量、画一、マス」から「適量、多様、パーソナリティ」(口コミ、通販)」へ。

  (同書61ページより)

≪アナログ期に好感度が上がるもの≫

◆ドラマティック
  多様、例外・特別、紆余曲折、意外性

◆共感、情報交換
  口コミ

◆複雑系
  アナログ、自然、人間性

◆デコラティブ
  グラマラスライン、模様、多色使い、異素材ミックス、
  リボン、フリル、エッジ、包む・重ねる

  (同書、74、75ページより)

≪デジタル期に好感度が上がるもの≫

◇論理的
  答えがひとつ、だれもが納得する、最小コスト、最短パス、必然性

◇競争
  サバイバル気分、情報収集

◇合理性
  デジタル、人工、論理性

◇シンプル
  直線的なシェイプライン、モノトーン、統一感

  (同書、80、81ページより)

いかがですか?

2010年現在は、99年に始まった「アナログ期」の第2周期である「ブレイク期」。
3年後の2013年に、「アナログ期」は絶頂を迎えます。

日産マーチの円めのフォルム。
新幹線N700系の流線形。

「今だけ限定」「貴方だけ限定」の商品群。
紆余曲折と意外性だらけの韓流ドラマ。
口コミなんてのは今さら言うまでもありませんよね。
「癒し」はもううんざりするぐらい。
「エロカッコイイ」「キモカワイイ」など通常では結び付かない概念の組み合わせは、
長軸索活性系の女性脳の特徴だそうです。

絢香あたりで一般化した「等身大」。
「○○ちゃんは等身大で、若い女の子の気持ちが云々♪」
なんて胸クソの悪くなるようなコメント溢れる芸能系音楽雑誌。

このところ騒動となっている角界。
「モーニング・ブルー・ドラゴン」は引退しました。
これがもし「デジタル期」の出来事だったとしたら、
「モラルがなくても、伝統を軽んじても、とにかく強けりゃいい」
ということで、引退には至らなかったんじゃないか? と思います。
「MBD」引退による不経済効果よりも、各界の伝統を重んじたのが今。
(私の個人的な気分としても、引退に賛成です)

対して、「デジタル期」の特徴である「論理性」。
ITの進歩で一見、世の中を席捲しているかのようです。
私もビジネスパーソンですので、
「ロジカル・シンキング」「クリティカル・シンキング」の本は沢山読んできました。
しかし、ビジネスの世界限定じゃないですかね? こういう「ブーム」は。

勝間和代さんのブームもマスコミで盛り上がった反動(=消費されたこと)で、今や食傷感も出ています。
もちろん、勝間さんご自身が悪いわけじゃありませんよ。
むしろ、これからの「デジタル期」を先取りし過ぎている、という見方もできます。
そりゃ、勝間さんのようにシングル・マザーで激務をこなす、となれば、
「アナログ期」だろうが関係ないでしょうけど、フツーの女性は壊れますって。
彼女のフォロワーである所謂“カツマ-”と呼ばれる人達の絶対数は、
女性より男性のほうが多いんじゃないかな? と私は推測します。
違ってたらゴメンなさい。
(今年は「ほぼ日手帳」を使ってる私、昨年は勝間さんの手帳を使ってました)

そして何よりも、米国MBA流とやらの結果はどうなったのか?
お粗末な「リーマンショック」「サブプライム問題」の露呈じゃないでしょうかね(苦笑)。
(私はMBA流を否定はしませんし、勉強はしてますよ。“短軸的な誤解”はしないでね)

「同じ事象も、大衆の気分が違えば、まったく違う見方になる」(同書85ページ)

最近はマスコミから姿を消した細木和子氏。
(私は、山本圭一扮する“太木数子”が大好きでしたが・・・)
「デジタル期」に突入した1970年代の「第一次ブーム」の時は、
「大殺界で死を予言する」恐ろしい占い師。
「アナログ期」の2000年代の「第二次ブーム」では、
「大殺界の乗り切り方を教えてくれる」ありがたい伝道師。
表現方法も、髪型も服装も、本の内容もほぼ同じなのに、
受け取る大衆(と取り上げるマスコミ)のほうが、
勝手に怖がったり、勝手にあがめたり。
そしてあがめて飽きたら貶めて捨てる。

2000年代は「スピリチュアル」もブームでしたね。
これも「デジタル期」だったらブームにならないか、
逆に怖いものとしてマスコミが取り上げたことでしょう。
そういえば、私の身の回りの人達を見回してみても、
江原啓之氏とかを目の敵のように嫌っていたのは、
男性の中でも“超短軸系”の人でした。

こんなもんなんでしょうね。

そう考えると、30、40年もブランドとしての価値を保っているアーティストは驚異的ですね。
(日本では「サザン」の桑田佳祐氏とか「E・YAZAWA」とか)
勿論、“売れた”ことによる有形・無形の資産があるからですし、
当人達もステークホルダー達も、勘と経験と度胸で、
こういうサイクルとかは意識はしていなかったとは思いますが。
(だから偶然の産物、なんですけどね)

またまた長くなってしまいました。
復習してみます。

同書による「流行」「トレンド」の定義とは、
「流行を生み出すのは大衆の意識傾向(トレンド)であり、
トレンドを生み出しているのは脳の中に脈打つ意識サイクルである」(10ページ)

◆個体の脳の意識サイクル=ブレイン・サイクル
◆ブレイン・サイクルによって生み出される大衆の意識傾向=感性トレンド
◆感性トレンドによって生み出される社会現象=流行

この定義は構造的で実にすっきりしています。

「○○ちゃんは等身大で、若い女の子の気持ちが云々♪」

なんて言ってるような“芸能”チックな人達は、(俺もしつこいね・・・笑)
現象である「流行」に振り回され続けます。

さらに、その人達に振り回される「制作者」たちは、
「そりゃ、“2匹目のドジョウ”を狙え! ヒットじゃ、ヒットじゃ!」と、
同質化のスパイラル地獄にのめり込んでいきます。

まあ、現象である「流行」は大切なんですけどね。
販売結果のランキングも大切です。

しかし、その土台となる「ブレイン・サイクル」「感性トレンド」の分析を疎かにするな、
というのが私のスタンスです。

だから、認知心理学や脳科学は大切にしていきたいなと。

昨今、ブームになっている行動経済学も大切ですが、
騒ぐにはちょっと古いかな? その「先」のステップがあることをお忘れなく。

下図は、「ブレイン・サイクル」の正弦波を移行の視点から、
つまり、トップからボトム、ボトムからトップの28年で区切ったビューです。
(「S/Hビュー」)



「アナログ期」の第2周期である「ブレイク期」にあたる2010年は、
「ソフト期」の第4の四半期。

「市場ニーズ優先の時代」「ハードよりソフト、ブツよりコンテンツの時代」は、
あと3年で絶頂期を迎えた後、「デジタル期」への移行により、衰退へと向かいます。

第6回に続きます。

**************************************************************************
 お読み頂き有難うございます。
 (↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。