先行的腎移植をしたみっこ師匠のブログ

ドナーとして息子に腎臓を提供し2017年に生体腎移植をしたみっこ師匠の体験記と息子達との生活を綴っています。

私の愛読書

2020年02月19日 | 日記
私は本が好きです。

これまでに
何度も読み返した本は
錦繡です。

『前略
蔵王のダリア園から
ドッコ沼に登るゴンドラリフトの中で、
まさかあなたと再会するなんて
本当に想像すら出来ない事でした』

亜紀が10年ぶりに別れた夫、
靖明と再会した事に始まり
2人の手紙のやり取りだけで
物語は続いていきます。

何不自由ない結婚生活から
靖明が別の女性との
無理心中事件に巻き込まれ、
亜紀にとっては
謎のまま残されていたその事実や
その時のお互いの気持ちを
10年経った今、
手紙で知るのです。

10年の歳月が
話せるようにしたのか、
それとも手紙だったからこそ
辛うじて伝え得る悔恨と
哀惜、思慕を文字に込めることが
出来たのかもしれません。

時折
亜紀の父親である社長の
淡い恋物語や、
靖明と現在生活を共にする
令子とのやり取りは
楽しいけれど。

離別した
2人の過去に追いつき、
それぞれの道を探り出し
新しく歩みだそうとする
『錦繡』を私は何度も
読み返して
そして泣いてしまうのです。


錦繡
宮本輝