そらんぢ堂

アーカイブ図書館として残します。

言の葉供養0184

2023年03月05日 11時00分00秒 | 言葉遊び、言の葉供養
『早春海賦』

まだ風も冷たい
片瀬の海

珍しく人もまばら
鉛色に乱反射する海面

烏帽子岩も金時山も
きれいに見えているのに

富士の山だけ
顔を隠す

君が用意した舞台
完璧過ぎて苦笑い

二人でいることからの
『卒業』
君が決めたこと

理由を問う僕に
「成長したいから」
と説いた君

穏やかに受け入れて
応援する側へ導かれ

自然に一つの
選択肢だけ残す

君の手腕に
脱帽しか出来ない僕さ

確かに涙は
似合わないけど

この塩辛さは
海風のせいだけだろうか

片瀬の海は
未だ輝くことを忘れない

うたを
この海と新たな君に

3/5某アプリにて『お題』に対して書下ろしたもの。


言の葉供養0183

2023年03月05日 07時00分00秒 | 言葉遊び、言の葉供養
『余白のような余生』

小さな余白のような
余生なのだ

生きた証は十分に
書き記した筈で

もう新たに
書き足す必要はない

だのにまだ
それを止めないのは

余生の過ごし方を
迷っているからだ

小さな余白のような
余生なのだ

罪と罰の
背負った業

もう誰かを愛し
誰かに愛されを

遠くに追いやり
忘れた筈で

だのにまだ
温もり求めてしまうのは

振り返る過去に
未練があるからだ

※3/4に某アプリ内の大人詩部屋に書いたものに加筆修正を加えたもの。