『蒼き記憶と苦笑い』
ボーリングシャツ
ドクロマークの長財布
ポマード匂わす
マセたガキんちょ
酔った先輩のウチ
互いに止まない衝動
当時EPOが歌った
白い時間の
意味を知った気がした
大したことないと感じた
果てる為の繋がりは
大人になった
今だからこそ
その重さと憂いと
本当の意味を知る
嗚呼青春の蒼き苦き
記憶の断片たちよ
近付く走馬燈に乗り
出てくる必要はないんだ
ほらごらんよ
苦笑いしか出来ないから
でもなんだろう
優しい苦笑いみたいなんだ
※書き下ろ詩。
『更新されないイメージ』
僕の中のイメージは
未だ数年前の影
深い夜に
静かに浮かぶ月のまま
あの日
君が言った
私が月で
あなたが空だよと
空がないと
月は輝けないと
更新されないイメージ
ちょっぴり切ない憂いの影
※書き下ろ詩。
『上書きされない恋』
上書きされない
恋の残骸
あちらこちらに
散らばったまま
陽の光すら
浴びることなく
切ない程に
埃りまみれ
上書きされない
恋の残骸は
もう二度とは
訪れないかもしれない
書き換えられる時を
ただじっと待っている
翳る部屋の
片隅で
※書き下ろ詩
『僕の空』
水たまり
映る空
車椅子でさえ
跨げてしまう
そんな
とても小さな世界
もう多くは求めない
求めたくはない
今の僕には
この空でいい
この空が
ちょうどいい
※書き下ろ詩♪
『我は神鳴りの子』
別雷〈ワケイカヅチ〉は
若い元気な雷様〈ライサマ〉の事と言う
その足許で生まれ
育った私
気付けば雷に
異常な程の興味を示し
ひとたび嵐が来れば
心奪われて止まない
近頃はいくぶん
雷様の鳴り様も変わったけれど
変わらず
今日も
神鳴りの街に
神鳴りの子在り
雷様があと何度か
季節変えの太鼓を叩けば
ほんとの夏が
やって来るね
※某アプリ内に書き下ろしたもの。