最近の報道によれば、20代の太宰治はなんとかして文壇に登場すべく、
旧知の佐藤春夫に対し、自身の芥川賞受賞を懇願する手紙を送っていたそうな。
現在の評価からすれば「何をいまさら」の感があるが、
当時の本人は必死だったのだろう。
私自身は太宰があまり好きではない。
小説はほとんど読んでないし、身近にいたとしてもあのキャラクターでは
付き合おうとは思わないだろう。
でも強烈に印象に残っているのは、家にあった古い文庫本「斜陽館の人々」
をオークションに出したら、予想外の高値がついたのがきっかけだ。
世間の根強い人気に驚かされた。
良く考えてみると、太宰は私の周辺からあまり遠くないところにいるのである。
「師匠」井伏鱒二は、私にとっては近所の顔見知りであり、杉並区天沼には
太宰が昔住んでいたアパートが40年前当時残っていて、見学に行ったことがある。
しかも彼の死体が発見された玉川上水の地点は、私のおじが同じく死体で発見された
場所の少し上流であったことも。
長生きする太宰というのはどうもピンとこないが、ああいう文士というテアイ
はもはや絶滅した。
今いたらどういう立場になっているのだろう。
ナントカ会とかいう法人の理事長におさまってふんぞりかえっているのはやめてほしいが、
まさか政治家にはなってないよね。
本人もよもや自分の文章が将来教科書に載るとは思っていないかっただろうが、
ついに芥川賞を受賞できなかったのが心残りなのだろうか。
こうなったら仕方ない。
本人に特別の賞をあげよう。
太宰に太宰賞をあげるのだ。
これならだれも文句を言わないだろう。
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