「まだ若いからかな、生活が荒んでゆくばかりで困っているんだ。
あんなに才能があるのに。
僕はね、今まではなの歌でどれだけ助けられてきたかしれない。
だからこそ、その才能を伸ばしてやりたい、手助けしたいんだ」
「いくら才能があっても、歌は心が大切ではないかしら。
他人を感動させるのは才能ではなく、その人の生き様が問われるのだと思いますわ。
たとえ苦しい困難な環境があろうとも、選択するのは本人の意志です。
誰のせいでもないと思いますわ」
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「手厳しい意見だね。
それはそうなんだが運とかチャンスは実力だけとは限らない、不条理や理不尽なこともある。
チャンスは決して平等には訪れてはくれず、実に残酷な場合もある。
はなの場合が、まさしくそうだ」
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小説「羊の群」より
God Bless You ❣