日本棋院出版の月刊誌、囲碁未来に今年の4月号から毎月連載させていただいております。
テーマは「はじめて学ぶ互先の布石です」9路盤は卒業したけれどまだ19路盤の打ち方は分からないという方が対象です。
この範囲は意外と教科書がまだないので編集の方と良いものを書こうと意気投合しています。このブログでも挨拶部分を紹介していきたいと思います。
以下、囲碁未来4月号より
皆さんはじめまして。棋士の竹清勇です。今月号から「はじめて学ぶ互先布石」をテーマに、講座を担当させていたただきます。一方通行にならないよう自分かがはじめて互先を打った時に分からなかったことや、気になったことを思い出しながら、級位者の方と同じ視点で解説していければと思います。
“受講者の視点を意識する”と言えば、一 番考えさせられたのは、小学校に入門指導 へ行った時の事です。難しいと思われがち な囲碁を、どうやって子どもたちに興味を示してもらえるか悩んでいました。 囲碁を楽しく覚えてもらうにはどうしたら 良いのかと・・・。
まずは、子どもたちが興味の有るものを 思い浮かべてみました。ゲーム、アニメ、 クイズなどなど。私は壇上に上がったとき に、難しい話をしに来たと警戒されないように作戦を立てました。そこでアニメの キャラクター帽子をかぶって子どもたちの 前に登場することにしたのです。
いい大人が変な格好!? をしていますか ら、子ども達にとっては「難しそう」と言うよりも、「何か面白そう」という印象を 持ってくれたようでした。講義でもクイズ や冗談を挟みつつ、子ども達が関心のある 話題を織り込みながら講義を進めることを 心掛けました。
そして、それが後々子どもたちの間 で話題を呼ぶことになり、囲碁部のなかった学校に30人規模の囲碁部ができたのです。受講者と同じ視点で話を進める事できれば、こんな可能性もあるのだと、普及の自信に繋がった出来事として印象深い思い出です。もしあの時独りよがりに難しく碁の話をしていたら、そのあとに囲碁を始めた30人の 子どもたちはいなかったと思います。この時の経験がきっかけとなって、今では教室ごとに世代の関心を考えながら、題材や言葉を良く選ぶようにしています。これからはじめての19路をテーマに楽しく分りやすい講座に出来ればいいなと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
(2007年に小学校で行った入門教室、当時の写真です。左は横浜囲碁サロンの席亭・藤森稔樹さん)