創業日誌    

商人(あきんど)デビュー塾の受講をきっかけに、創業ネタを綴ります。

デフレ脱却とは言っても、値上げをするのは大変だ

2018年07月27日 23時59分59秒 | 商人デビュー塾

2017年2月15日の東洋経済ONLINEの記事
「鳥貴族をつくった男」の知られざる悪戦苦闘
脱チェーン店理論で作りあげた儲けの仕組み
でこのようなことが書いてありました。

引用ここから

大倉は昨年から「280円均一を守ろう」プロジェクトチームを立ち上げた。そのうえで昨年10月からスタートした食材の100%国産化、人手不足からくる人件費高騰の問題などコストアップ要因に対応するために、生産性の向上に取り組んでいる。
大倉がこう言う。
「客単価2000円に甘えずに生産性を向上させ、280円均一料金を守っていきたいと思っています。なお、以前は『全品280円均一』と表記していましたが、消費税増税への対応もあり、『全品280円(税抜)均一』という表記に改めました。将来、消費税が8%から10%に上がったとしても『280円均一』をできるかぎり守っていく方針に変わりはありません。そのためにはもっと生産性を高め、規模の経済を発揮する必要があります。

引用ここまで

ところがその年の2017年10月1日15時から「鳥貴族」全店でフード・ドリンク:280円(税込302円)から298円(税込321円)へ28年ぶりの値上げがされたということがニュースになりました。この理由として、「人件費を中心とした店舗運営にかかるコスト上昇や、天候不順による国産食材の仕入価格高騰など様々なコストが増加」したたために、「もはやコスト上昇分を吸収しつつ現行価格で高価値な商品とサービスの提供を続けることは難しい」と説明していました。
それでも値上げしたと言っても一品18円アップで税抜きで200円代をキープ。これは6.4%程度ですから、鳥貴族の客単価は2~3000円程度ということから一回の飲み会で120〜180円程度の値上げということになりますね。この程度なら許容範囲ではないでしょうか。当時も「それでも十分安い」という意見がありました。
ところが2018年7月6日の日本経済新聞に「鳥貴族、値上げで想定以上の苦戦 業績下方修正 」というニュースがありました。

引用ここから

 大手焼き鳥チェーンの鳥貴族は6日、6月の既存店売上高が前年比9%減ったと発表した。2017年10月に商品を一律280円から298円に値上げしたが、前年割れはこれで6カ月連続。7月期通期が終わるまで残り1カ月となったが、今期の6月までの既存店の累計売上高は前年を3%下回り、純利益予想も従来から6割下方修正を余儀なくされた。

引用ここまで

とはいえ、客数減の要因は週末数の違いと天候の影響による客数の減少が大きく、純粋な値上げの影響による減少は1~2%程度と推測することができるとの分析もあります。一方、鳥貴族の10月の既存店客単価は3.5%の増加で、結果、客数の減少効果よりも客単価の増加効果の方が高くなったとの分析もあるようです。
それでも、値上げによる客離れが抑えられた理由としては、値上げ後の価格を200円台に抑えたからとされています。元の価格が280円だったので値上げ分の余裕があったということになりますが、次に値上げすることがあるとすると今度は300円台にせざるを得ません。
その時に果たして値上げが受け入れられるでしょうか。