「ひばりちゃんとやっちゃん」 7
帳場で話をした後 家に帰った。
帰ると直ぐ自分の部屋へ行き 結婚式の準備の報告を 来る訳も無いのに待っていた。
次の日家に 大女将と仲良しの仲居さんが尋ねて来て おれに用が有ると。
呼ばれて帳場に行くと 大女将が「やっちゃん これ」 と言い 何やら大層なものを風呂敷から出した。
見ると 手紙と菓子箱だった。
手紙の下には サイン色紙が有った。
大女将がおれのお袋に 経緯を説明してる。
帳場には おれの家の下場のおばちゃんや 仲居さんの妹やらで賑わっていたが
経緯の話が終わるや否や 「やっちゃん!凄い!」 の 大合唱が始まった。
サイン色紙を見ると やっちゃんへ・・・とのサインが。
手紙には 「楽しかったよ。また一緒に遊んでね」 と言うような事が 短く書かれていた。
菓子箱の中には おれがひばりちゃんに言った 好きな和菓子の「馬方羊羹・・・うまかたようかん」が
30個と大福が30個と 沢山沢山入っていた。
大女将は 「やっちゃんに 間違った通路を教えてしまい それで美空ひばりさんの貸し切りの
階を歩かせてしまって やっちゃんが美空ひばりさんのお母さんに怒鳴られて・・・ひばりさんの
お母さんからも 私に代理で謝ってと頼まれて」 と言う風に お袋たちにも話してる。
ただし ニコニコ顔だ。
美空ひばり と言えば 当時は絶大な人気で 歌う曲 出演する映画は 全部ヒットしていた。
日本国中 知らない人など居ないくらいの人気だった。
おれは その大スターが おれの住んでいる田舎に居る・・・と言う事など 考えも想像もつかないし。
ましてや おれが卓球をしに行っていた旅館に 幾ら有名な旅館だとて
ひばりちゃんが泊ってるなど 想像なんかつかない。
何故来たかも その後聞かなかった。
ひばりちゃんと 一個だけ約束した事が有る。
ひばりちゃんに 学校での鼓笛隊の話と 武道を習っている話をした時だ。
「やっちゃん 良く聞いてね。諦めるのは良くないんだよ。努力すればきっと良い事が有るから。
約束して」 と言い聞かされ 指切りをした。
その後 ひばりちゃんの噂を TVやら雑誌やら等で見聞きし その都度困難を克服している
ひばりちゃんを見て来た。
美空ひばりと言う 日本が生んだ大スターが星になった時・・・おれは当然悲しかった。
けれど 指切り約束した事は その時からも今もおれの座右の銘になって
脈々と息づいている。
帳場で話をした後 家に帰った。
帰ると直ぐ自分の部屋へ行き 結婚式の準備の報告を 来る訳も無いのに待っていた。
次の日家に 大女将と仲良しの仲居さんが尋ねて来て おれに用が有ると。
呼ばれて帳場に行くと 大女将が「やっちゃん これ」 と言い 何やら大層なものを風呂敷から出した。
見ると 手紙と菓子箱だった。
手紙の下には サイン色紙が有った。
大女将がおれのお袋に 経緯を説明してる。
帳場には おれの家の下場のおばちゃんや 仲居さんの妹やらで賑わっていたが
経緯の話が終わるや否や 「やっちゃん!凄い!」 の 大合唱が始まった。
サイン色紙を見ると やっちゃんへ・・・とのサインが。
手紙には 「楽しかったよ。また一緒に遊んでね」 と言うような事が 短く書かれていた。
菓子箱の中には おれがひばりちゃんに言った 好きな和菓子の「馬方羊羹・・・うまかたようかん」が
30個と大福が30個と 沢山沢山入っていた。
大女将は 「やっちゃんに 間違った通路を教えてしまい それで美空ひばりさんの貸し切りの
階を歩かせてしまって やっちゃんが美空ひばりさんのお母さんに怒鳴られて・・・ひばりさんの
お母さんからも 私に代理で謝ってと頼まれて」 と言う風に お袋たちにも話してる。
ただし ニコニコ顔だ。
美空ひばり と言えば 当時は絶大な人気で 歌う曲 出演する映画は 全部ヒットしていた。
日本国中 知らない人など居ないくらいの人気だった。
おれは その大スターが おれの住んでいる田舎に居る・・・と言う事など 考えも想像もつかないし。
ましてや おれが卓球をしに行っていた旅館に 幾ら有名な旅館だとて
ひばりちゃんが泊ってるなど 想像なんかつかない。
何故来たかも その後聞かなかった。
ひばりちゃんと 一個だけ約束した事が有る。
ひばりちゃんに 学校での鼓笛隊の話と 武道を習っている話をした時だ。
「やっちゃん 良く聞いてね。諦めるのは良くないんだよ。努力すればきっと良い事が有るから。
約束して」 と言い聞かされ 指切りをした。
その後 ひばりちゃんの噂を TVやら雑誌やら等で見聞きし その都度困難を克服している
ひばりちゃんを見て来た。
美空ひばりと言う 日本が生んだ大スターが星になった時・・・おれは当然悲しかった。
けれど 指切り約束した事は その時からも今もおれの座右の銘になって
脈々と息づいている。