千日も
紅く
美しい花、千日紅。
茎ごと吊るす
ドライフラワーのほかに
箱に入れて乾燥させていた
ぽんぽんした
たくさんの花たち。
すっかり乾くと
ジャムやコーヒーの空き瓶、
コンビニスイーツの
プラ容器に詰めて
あちこちに飾ったり
リボンをかけて
プレゼントしたり。
こうしていつも
容器いっぱいに
花を入れていたけれど
唐突に気づく。
たくさん入れず
少しだけっていうのも
意外にステキ。
こんなふうに
すき間があると
なんだか
いろんなモノが
ここを満たしてゆくような
そんな気が
して。
風に揺れて咲いていた千日紅と
そのまわりで
さざめいていた
「夏」
瓶のなかの
ドライフラワーを眺めていると
夏の気配が
波のように寄せてくる。
てんとう虫や
蝶や
ミツバチ
風
いろんな、風
まぶしい陽ざし
降りそそぐ蝉しぐれ
溢れる緑
青い、青い空
下弦の月
白く湧き立つ入道雲
きらきら光る
にわか雨
激しく眩しい夏の
気配は
ふしぎと仄かに寄せてきて
ガラス瓶のすき間に
そして心に
満ちてゆく。
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