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半導体の製造工程と日本の関連企業

2023-12-08 00:47:10 | 話の種

半導体の製造工程と日本の関連企業

(株式投資の参考のために作成したもの)

〇主な製造会社及び製造装置の製造会社

「設計」
[回路・パターン設計]
[フォトマスク作成](原材料)(HOYA、AGC)(素材)(TOPPAN、大日本印刷)
[フォトマスク検査](レーザーテック)*EUV(極端紫外線)光源の検査装置を持つ唯一の企業  *米KLAがその他検査装置では強い

「素材」
[ウェハの製造](素材)(信越化学工業、SUMCO、フジミINC)
[ウェハの検査](日本マイクロニクス、日立ハイテック)

「前工程」
[ウェハ表面の酸化](東京エレクトロン、KOKUSAI)
[薄膜形成](東京エレクトロン、KOKUSAI、アルバック)*米AMAT、ラムリサーチが強い

[パターン転写] = [リソグラフィー]
・[フォトレジスト塗布](東京エレクトロン、SCREEN)
  (フォトレジスト素材)(JSR、東京応化工業、信越化学工業、富士フィルム、レゾナック)
・[露光・現像](ニコン、キャノン)*蘭ASMLが圧倒的に強い(EUV露光装置で独走する)

[エッチング](東京エレクトロン)*米ラムリサーチが強い
[レジスト剥離・洗浄](東京エレクトロン、SCREEN、芝浦メカトロニクス)
[イオン注入・活性化](日新イオン機器、住友重機械イオンテクノロジー)
[平坦化](荏原製作所)*TSMCに強い

[電極形成](アルバック)

[プローブ検査](東京エレクトロン、東京精密、日本マイクロニクス、日立ハイテク)
[テスター検査](アドバンテスト)

「後工程」
[グラインディング](ディスコ、東京精密)
[ダイシング](ディスコ、東京精密)

[パッケージング](素材)(レゾナック)
・[ダイボンディング]
・[ワイヤーボンディング]
・[モールディング](TOWA)*HBM(High Bandwidth Memory)向けは独占

[最終検査](アドバンテスト)*米テラダイン


〇各企業の特色(四季報より)

[ファブレス]
(ソシオネクスト):富士通、パナソニックのロジック半導体が統合。ファブレスで先端品供給。データセンターや自動車向け。
*Qualcomm・Broadcom・NVIDIA・MediaTek・AMD

[ファウンドリ]
(ラピダス)
2022年8月、日本政府及び主要企業8社の支援を受けて設立(キオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTが10億円ずつ、そして三菱UFJ銀行が3億円出資)。2023年9月に北海道千歳市で半導体工場を着工。2025年4月にパイロットラインを稼働し、2027年に量産を開始する計画。
最終的にはプロセス・ルールが2 nm以下の先端ロジック半導体の開発・量産を行うことを目指し、ファブレスの半導体メーカーから委託されて半導体の受託生産を行うファウンドリになることを目的とする。
*台TSMC、UMC(聯華電子)、韓Samsung、米Global Foundry

[半導体メーカー]
(ルネサスエレクトロニクス):日立、三菱電、NECの半導体が統合。車載マイコン世界首位級。米英3社を計1.7兆円で買収。
(キオクシア):キオクシアホールディングスを持株会社とするフラッシュメモリ・SSD事業のリーディングカンパニー。1987年に世界初の NAND 型フラッシュメモリを発明し、また 2007年には世界で初めて 3 次元フラッシュメモリ技術を公表・量産化する。2017年4月に、経営危機にあった東芝から稼ぎ頭の半導体メモリー事業を分社化し「東芝メモリ」を設立。2018年6月に同社を米ベインキャピタルに売却し東芝グループを離脱、社名を「東芝メモリホールディングス」とするが、2019年10月に更に「キオクシア」に変更。しかし経営不振は続き2023年12月20日をもって上場廃止となる見込み。
(ローム)車載や産業機器向けパワー・アナログ半導体に強み。SiCパワー半導体を大増産で育成中。
(サンケン電気)パワー半導体大手。米子会社アレグロが稼ぎ頭、車載、白物家電向けアジア市場強化、産機向けも。

[材料メーカー]
(信越化学工業):塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハで世界首位。ケイ素樹脂、フォトレジスト等も。好財務。
(SUMCO):旧住友金属と三菱マテリアルのシリコンウエハを統合、コマツ系も合流。半導体用世界首位級。(レゾナック):総合化学メーカー。電炉用黒鉛電極で首位。20年に昭和電工が日立化成を買収、23年に昭和電工から分離し社名を株式会社レゾナックに変更する。半導体の前工程、後工程の材料を多数製造。自動車部材にも注力。
(日東電工):液晶部材の偏光板から核酸医薬原薬まで扱う総合材料メーカー。ニッチ商品でシェア首位多数。半導体/電子部品製造プロセス材料、光デバイス封止材料、HDD周辺材料など幅広く生産。 半導体製造工程においては、バックグラインド、ダイシング、モールディングで、粘着テープ、封止材、および付帯装置を生産している。

[製造装置メーカー]
(東京エレクトロン):半導体製造装置で世界3位。コータデベロッパー、エッチング装置、成膜装置など前工程に強み。
(KOKUSAI):半導体製造における成膜装置に特化する大手。旧日立国際電気からのスピンオフ事業が母体。(SCREEN):半導体製造装置の大手、うちウエハ洗浄装置では世界断トツ。液晶製造装置や印刷機器も展開。
(ディスコ):半導体、電子部品向け切断・研削・研磨装置で世界首位。装置と消耗品のダイヤ砥石が2本柱。
(東京精密):計測機器製造の精密位置決め技術生かし半導体製造装置に展開。ウエハテスト用では世界首位。
(TOWA):封止や切断加工など半導体後工程用製造装置大手。精密金型製作に競争力。中国等に生産拠点。

[検査装置メーカー]
(レーザーテック):先端半導体向けマスク欠陥検査装置が柱。EUV光源品は独占。マスクブランクス検査装置も。
(日本マイクロニクス):半導体検査用器具プローブカード主力で世界3位、メモリー向け同1位、ロジック向け拡大中。
(アドバンテスト):半導体検査装置で世界大手。非メモリー用中心。DRAM用では首位。システムレベルテストも。

[その他装置メーカー]
(ローツェ):半導体や液晶工場に導入されるウエハ、ガラス基板の搬送装置を製造。台湾や米国に大口顧客
(野村マイクロサイエンス):超純水装置の大手。北興化学から分岐。韓国、台湾企業向け開拓で先駆、韓国サムスンと取引多い。

(参考)

*超純水(UPW, Ultra Pure Water)とは、一般的な水に含まれる無機質や微粒子、細菌、微生物、溶存ガスなどを取り除いた、高度に精製された水。 イオン成分を取り除いたという意味で、DIW(De-ionized Water)ともいう。
半導体は、いわゆる8大工程と呼ばれる数多くのプロセスを繰り返して製造が行われる。 超純水は、半導体の実際の工程において、各工程の前後に実施される洗浄作業に主に使用される。 エッチング工程以後、ウェハを削って不純物を除去したり、イオン注入工程後に残りのイオンを洗い流したりする場合など。その他、ウェハの研磨や切断の際にも超純水が使われる。

*ファブレス
ファブレスは、直訳すると「工場(fabrication facility)を持たない」という意味になります。そこから、自社で生産設備を持たずに製品を生み出すメーカーや、そういったビジネスモデルのことを指す言葉として使われるようになりました。
ファブレス企業は、製品の企画・設計・マーケティング・販売などの機能に特化しており、製品の生産は他社に委託します。自社で生産機能を持たないため、生産設備への投資を抑えられる、製品の企画・設計に集中することで市場の変化に素早く対応できる、といったメリットがあります。
半導体業界では、1990年代からファブレス企業とファウンドリ企業による分業が行われています。主な理由は、半導体製品の開発サイクルが短く、かつ生産設備への莫大な投資が必要であったためです。これらの課題を解消するために、各企業は自社の強みに特化した形でファブレス化・ファウンドリ化を進めてきました。半導体業界における主なファブレス企業として、Qualcomm・Broadcom・NVIDIA・MediaTek・AMDなどが挙げられます。(レンテックインサイト編集部)

*ファウンドリ
半導体デバイスの製造を専門に行う企業。ファウンドリは発注元の半導体メーカから設計データを受け取り、その設計に沿って半導体チップを製造する。最先端の半導体チップの製造設備には莫大な投資が必要で、新しい製造技術を開発するにも研究費用が必要になり、開発周期も短いため、かなり大規模に半導体チップを製造するメーカでないと半導体ライン(ファブ)を自社で持つのは難しい。ファウンドリはこのような製造設備を持たないメーカから半導体チップの製造を請け負う企業で、大量の半導体チップを1社で製造することで効率よく設備の運営や研究開発を行えるようになる。著名なファウンドリとして台湾のTSMC、UMC、アメリカのGlobal Foundryなどがあり、最近は韓国サムスンやインテルが最先端デバイス技術を顧客に提供してファンドリビジネスに参入している。工場を持たないファブレス企業から注文を受け、ファンドリが生産すると言う水平分業で成功している事例が多い。(SEMI-NET半導体用語集より)

(参考)

ひと目で分かる半導体業界MAP
https://www.semijapanwfd.org/semicon_map.html
2023年上半期・半導体売上高ランキング! 首位はオランダ企業ASML
https://the-owner.jp/archives/9330
日本の前工程装置のシェアはなぜ低下? ~欧米韓より劣る要素とは
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2208/19/news038.html
日本の前工程装置のシェア低下が止まらない ~一筋の光明はCanonの戦略
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2306/23/news073.html

 


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