この週末、合宿コースに参加して、色々なレベルのスキルのご参加者が混ざっていて色々な意外性があり楽しく過ごしてきました。
そこで何人かの方からいただいたご質問へのお答えが限られた時間の中で不十分だったこともあり、その時にお話しした内容を整理してご説明しようと思います。
概ね、中級の初めから半ばにかけて課題になることです。
最初のテーマです。
4番で間隔の広いオフセットパイロンのコースを走ったのですが、中級の方が走っているラインがどうも緩いのです。オフセットパイロンスラロームはコーススラロームとは違ってパイロン周辺の空間が開けています。ですからライン取りの自由度が高いわけです。パイロンに対して手前からアプローチするのか、パイロンの近くをまいて走るのか、ライダーの意思で選べます。その人はパイロンの手前から大きく奥に回ってパイロンの後に付けてそこから加速するラインを取っていました。
もちろんこのラインは間違っていないのですが、その人の場合は、手前から回る旋回円が大きく、旋回している間に不必要にスピードが落ちているように思えました。
なぜそうなるのかを考えていて思ったことですが、ラインを変えてみる必要があるのではないかということです。
少なくとも彼女(その人)の場合、余所ではもっと小さく回れるのに、大きなオフセットでは必要以上に大きく回っているように思えました。そうなってしまう要因として、私が気になったのがラインの計画であったわけです。
まず、彼女のラインを前方に向かって、ずらしてみます。
図の矢印記号D1の分だけ走行ラインが前(図では上)に、ずれました。このように走っても、走る距離や加速制動の位置関係は何ら変化がないことがわかります。
さらにこのラインから矢印記号D2の分だけ走行ラインの幅(左右の幅)を狭めることができます。
これが「もっと挑戦的なライン」です。
このように走ると、全体の走行距離も短くなります。
比べてみましょう。
走行距離が短くなるのと同時に、旋回の角度が、元と比べて浅くなっていることがわかりますね。旋回の角度が浅いと、旋回している時間が短くなり、結果として失速を抑えることができるので、全体的にはタイムの改善につながります。
最初の図のような、回り込んで旋回の終わりにパイロンの裏に付けて、そこから加速するというラインの描き方は、初級のみならず中級でもオフセットパイロンの回り方として指導されるものです。その限りにおいては「正しい」ラインです。
なぜこのようなラインを指導するかというと、以下のような理由が考えられます。
①自分がイメージする旋回半径の通りに、実際に回れるように練習する。
②コーナリングの終わりの箇所、つまり加速開始点を意識するようにする。同様にコーナーリングの始まりの箇所、つまり倒し込み開始点が加速開始点およびパイロンと一直線に並ぶことになるので、「ここから曲がり始めて、ここで終わる」というコーナーのイメージが掴みやすくなります。
③次のパイロンに向かっていく時にラインの選択の自由度を作り、次のパイロンに向かうときのマージンを作る。特に旋回半径が大きい時(そういうスキルの時)には、コーナーを回るたびに奥に寄って行くために何本目かのパイロンで破綻するということがあって、そうならないようにするためには、常にパイロンの裏に付けられるように回ることを目指すことになります。
ですから初級から中級の始めにかけて、安定したコーナリングが毎回確実にできることを目指している時には、このようなラインが目標になり、それを「計画して」コーナリング動作を行うのです。
しかし前述の女性ライダーのようにすでに安定したコーナリングができるようになって、かつ、コーススラロームなどではもっと小さく回るスキルを持っているならば、より挑戦的なラインを目指すべきでしょう。L1とL3を比べるとL3の方が確実に速く走れます。
また、安定したコーナリングはできるようになったが、もっと素早く小さく回れるようにしたいと願って練習している人も、手前の奥のスペースで回るL1のラインをとっているが故に小さく回ることが出来なくなっている(記事「オフセットパイロンを小さく回る練習のためのライン」を参照してください)可能性があります。
イントラさんがコース案内するときにはL1のようなラインで走りますが、それは2速でゆっくり走っていることと、コースの見通しをよくするために次のパイロンに対する余裕を作るためです。実際に上級の人たちや、あるいはイントラさんでも上級の人を追っかけたり休憩時間に自分の練習をしている時には、L3のように走っていることがわかるはずです。
さて、どうやってこのようなラインで走るかということですが、まず第一に自分の「ラインの計画」をくずすことです。いつもパイロンに向かっているときに、どこからどこに向かっていつブレーキを掛け、そして緩め、倒し込みを始めて、こういう円弧で回っていくといった一連のイメージがあるはずです。それが「ラインの計画」です。それがまず変わらなければなりません。
第二に、新しい「ラインの計画」を立てます。最初はL2のラインを考えると良いでしょう。それと同時に、「もっと小さく回る」イメージを追加します。つまりパイロンの奥まで突っ込んで、その奥のスペースで小さく回るということです。
第三に、徐々にパイロンの近くを回るように倒し込みの開始位置を変えていきます。そして安定して同じラインを走れるようになるまで練習します。(ここまで上述の記事にも解説しています)
第四に、ここまで来たら、もう一度L1のラインで走ってみましょう。L1とL2のどちらでも自在に選べるようになったら、この練習は終わりです。
なお、以上の説明は、ほぼ等間隔で並べられたオフセットパイロンでの話です。コーススラロームの場合は、前後のパイロンの状態によってコーナーの出口をどこにするかが変わりますので、そちらの判断を優先します。
そこで何人かの方からいただいたご質問へのお答えが限られた時間の中で不十分だったこともあり、その時にお話しした内容を整理してご説明しようと思います。
概ね、中級の初めから半ばにかけて課題になることです。
最初のテーマです。
4番で間隔の広いオフセットパイロンのコースを走ったのですが、中級の方が走っているラインがどうも緩いのです。オフセットパイロンスラロームはコーススラロームとは違ってパイロン周辺の空間が開けています。ですからライン取りの自由度が高いわけです。パイロンに対して手前からアプローチするのか、パイロンの近くをまいて走るのか、ライダーの意思で選べます。その人はパイロンの手前から大きく奥に回ってパイロンの後に付けてそこから加速するラインを取っていました。
もちろんこのラインは間違っていないのですが、その人の場合は、手前から回る旋回円が大きく、旋回している間に不必要にスピードが落ちているように思えました。
なぜそうなるのかを考えていて思ったことですが、ラインを変えてみる必要があるのではないかということです。
少なくとも彼女(その人)の場合、余所ではもっと小さく回れるのに、大きなオフセットでは必要以上に大きく回っているように思えました。そうなってしまう要因として、私が気になったのがラインの計画であったわけです。
まず、彼女のラインを前方に向かって、ずらしてみます。
図の矢印記号D1の分だけ走行ラインが前(図では上)に、ずれました。このように走っても、走る距離や加速制動の位置関係は何ら変化がないことがわかります。
さらにこのラインから矢印記号D2の分だけ走行ラインの幅(左右の幅)を狭めることができます。
これが「もっと挑戦的なライン」です。
このように走ると、全体の走行距離も短くなります。
比べてみましょう。
走行距離が短くなるのと同時に、旋回の角度が、元と比べて浅くなっていることがわかりますね。旋回の角度が浅いと、旋回している時間が短くなり、結果として失速を抑えることができるので、全体的にはタイムの改善につながります。
最初の図のような、回り込んで旋回の終わりにパイロンの裏に付けて、そこから加速するというラインの描き方は、初級のみならず中級でもオフセットパイロンの回り方として指導されるものです。その限りにおいては「正しい」ラインです。
なぜこのようなラインを指導するかというと、以下のような理由が考えられます。
①自分がイメージする旋回半径の通りに、実際に回れるように練習する。
②コーナリングの終わりの箇所、つまり加速開始点を意識するようにする。同様にコーナーリングの始まりの箇所、つまり倒し込み開始点が加速開始点およびパイロンと一直線に並ぶことになるので、「ここから曲がり始めて、ここで終わる」というコーナーのイメージが掴みやすくなります。
③次のパイロンに向かっていく時にラインの選択の自由度を作り、次のパイロンに向かうときのマージンを作る。特に旋回半径が大きい時(そういうスキルの時)には、コーナーを回るたびに奥に寄って行くために何本目かのパイロンで破綻するということがあって、そうならないようにするためには、常にパイロンの裏に付けられるように回ることを目指すことになります。
ですから初級から中級の始めにかけて、安定したコーナリングが毎回確実にできることを目指している時には、このようなラインが目標になり、それを「計画して」コーナリング動作を行うのです。
しかし前述の女性ライダーのようにすでに安定したコーナリングができるようになって、かつ、コーススラロームなどではもっと小さく回るスキルを持っているならば、より挑戦的なラインを目指すべきでしょう。L1とL3を比べるとL3の方が確実に速く走れます。
また、安定したコーナリングはできるようになったが、もっと素早く小さく回れるようにしたいと願って練習している人も、手前の奥のスペースで回るL1のラインをとっているが故に小さく回ることが出来なくなっている(記事「オフセットパイロンを小さく回る練習のためのライン」を参照してください)可能性があります。
イントラさんがコース案内するときにはL1のようなラインで走りますが、それは2速でゆっくり走っていることと、コースの見通しをよくするために次のパイロンに対する余裕を作るためです。実際に上級の人たちや、あるいはイントラさんでも上級の人を追っかけたり休憩時間に自分の練習をしている時には、L3のように走っていることがわかるはずです。
さて、どうやってこのようなラインで走るかということですが、まず第一に自分の「ラインの計画」をくずすことです。いつもパイロンに向かっているときに、どこからどこに向かっていつブレーキを掛け、そして緩め、倒し込みを始めて、こういう円弧で回っていくといった一連のイメージがあるはずです。それが「ラインの計画」です。それがまず変わらなければなりません。
第二に、新しい「ラインの計画」を立てます。最初はL2のラインを考えると良いでしょう。それと同時に、「もっと小さく回る」イメージを追加します。つまりパイロンの奥まで突っ込んで、その奥のスペースで小さく回るということです。
第三に、徐々にパイロンの近くを回るように倒し込みの開始位置を変えていきます。そして安定して同じラインを走れるようになるまで練習します。(ここまで上述の記事にも解説しています)
第四に、ここまで来たら、もう一度L1のラインで走ってみましょう。L1とL2のどちらでも自在に選べるようになったら、この練習は終わりです。
なお、以上の説明は、ほぼ等間隔で並べられたオフセットパイロンでの話です。コーススラロームの場合は、前後のパイロンの状態によってコーナーの出口をどこにするかが変わりますので、そちらの判断を優先します。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます