大きい声で「おはよう」と寝床から挨拶する。朝の挨拶は大事。
居間の長椅子を隔てて、隣が寝室。
起きて居間へ行くと、夫が開口一番
「今日は、ウォーキングに行って、買い物しよう」と言った。
えっ?どした?
家族の誰かが、こっそり私の胸の内を伝えたか?いやいや、もしかしたら前日の読書が彼を刺激したのか。
夫は小池真理子の「月夜の森の梟」を読んだばかり。何かが、彼に作用したのなら、良い傾向だ。
外は春を感じさせる上々のお天気。
朝から全てが良い感じ。
午後になって、早速私のルートで二人揃ってウォーキングした。
豊平川沿いに歩いて、雪原のキツネの足跡の解説を聞かせる。陽気に誘われたのか、いつもより足跡が縦横無尽についている。野ネズミとの攻防もうかがえる大小の足跡。
お天気は良いが、野鳥類は残念ながらあまり見当たらず。いつものように藻岩橋まで行って、欄干から川を覗き込む。遠くにカモらしき鳥影のみ。
早速双眼鏡で確認。やはりマガモの夫婦だった。日向ぼっこかな。一箇所にじっとして動かない。
じっくり観察した後で、夫に「見る?」と双眼鏡を差し出すも「いや」と断られる。
今日の収穫はカモのみ。
藻岩橋からの復路、空を見上げると月が出ていた。
あれは上弦の月なのか。
「上弦の月」という言葉を知ったのは、吉田拓郎の「旅の宿」がヒットした時だ。
♪ゆかたの君はすすきのかんざし♪
多感で無垢な中学生の頃、歌詞から浮かぶ情景に、ささやかな刺激を受けた。
3番目の歌詞に、「上弦の月だったっけ」とある。
言葉は知っていても、はっきりとどんな月であるか、恥ずかしながらよく知らない。
文字どおり、馬齢を重ねている。
立ち止まって双眼鏡で見てみた。倍率8倍ではあるが、思ったより月の表面がはっきりと見えて感動した。
「すごいよ!」と言って、今度は有無を言わせず双眼鏡を渡した。
夫は、少しの間双眼鏡を覗いたあと、口元に微妙な笑みを浮かべながら、無言で双眼鏡を返してよこした。
「すごくなかった?」と確認する私に、「まあまあまあ…」と微妙な返答。彼にとっては、それほどの見ものでは無かったらしい。
それでも、まあ楽しいウォーキングだった。
その足でスーパーへ。
予期せず48円均一セール。私の心は安さにフィーバー。そしてお互いそれぞれが好きな嗜好品をチョイス。
どうということのない日常の食品の買い出しだけど、お金を使うことは何と気持ちの良いことか。そして楽しい。
平凡な生活は、こんなふうにして過ぎてゆく。平和だ。
申し訳ないほどの平和だ。
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「上弦の月」について
ネットで調べると、だんだん混乱してきた。そんな時は、一番シンプルに記載してある旺文社の国語辞典を開く。
[上弦の月] 新月から満月になるまでの半月。陰暦で毎月7、8日ごろの月
とある。
[下弦の月] 陰暦22、23日ごろの月。月の入りのとき、弓のつるを下むきにしたような形にみえる。
[陰暦] 「太陰暦」の略。月の運行を基礎として作られたこよみ。一か月を29日と30日との二種とし、一か年を12か月にしたもの。(日本では明治の初めまで用いられた)。=旧暦。↔陽暦
[陽暦] 太陽暦。新暦
現在のカレンダーだね。
陰暦で数えるので、日めくりがあるとハッキリするのだろうが、我が家にはない。
結局、ネットで「月の月齢」で調べると、本日の月の情報が一発でわかる「月齢カレンダー」があった。
上弦の月で間違いなかった。
月のことを色々調べたら、面白くて楽しかった。
何故小学校の時にこう感じられなかったのか、悔やまれる。