つい数ヶ月前、トレジャー仲間のIさんが、突然引っ越しをする事になった。すると、またしても大量の不用品が出たので、それもフリマで売ることになった。
不用品を取り扱いながらつくづく思うのは、友人二人は、高価な物をたくさん持っている事だ。
フリマにおいてブランド品はよく売れる。また、古い玩具類も希少品だから、高値で売れる。そんな物が多いので、瞬く間にIさんの売上金も、Tさんとほぼ同額となった。
2人の分を合わせると、トレジャーの資金は14万円を超えた。売った品々をもし業者さんが買い取っていたとしたら、私の予想では5万円にも満たなかったのではないかと思う。
二人から預かった品々に関しては、全権を私に委ねられているので、いくらで売ろうが、捨てようが、もらおうが好きにして良いと言われているので、私の好きなようにしている。
とはいえ、捨てる時はその理由を伝えて処分し、欲しいものがある時は伝えて了承を得ている。
フリマに掲載したそれぞれの品ものは、Tさん用とIさん用のノートを用意し、漏れなく記載している。
品物を掲載した日付、設定価格、値下げして変更になった金額、売れた日付、フリマの運営会社へ支払った手数料、品物の発送手数料、販売利益などなど、詳細に記載し、必要があれば、ノートのコピーを彼女達に渡している。
無職の今、思いがけず始めた事が、まるで自営業でもやっているかのごとく、なかなか楽しい。
もし、これらの作業が一切無かったら…私は1日をどれだけ持て余していたろうかと想像する。やるべき事のある毎日は、なんとありがたいことなのだろう。
人に指図されたり、使われたりすることもない、自由な仕事。
不用品が金銭になって、どんどん貯まっていくのも楽しい。品物を梱包する作業も大好き。
小さな物が売れた時は、お菓子の空き箱で小さな箱を作り、その中に収めて、品物の雰囲気に合った包装紙できれいに包む。その包装紙も、いただきものの包装紙を再利用した物だ。それでも仕上がりは、ちょっとしたプレゼントみたいだ。何だか気分はサンタクロース。
そんな風に日々の作業を楽しむ私だが、友人たちはその作業の対価としての報酬の話を持ち出す。Tさんには、温泉旅行が報酬で良いと伝えた。
Tさんは、部屋を片付けてくれたお礼にIさんと私を温泉に連れて行くと言ってくれた。だからTさんのお金は温泉に充てるのだが、Iさんのお金は本来Iさんの物だ。しかし、Iさんは、トレジャー計画としてみんなの物にしようという考えだ。
何度かお金を受け取るよう勧めたのだが、彼女の意思は固い。
それならばと、ちょっといい考えを思いついた。
9月20日に温泉旅行の日程の打ち合わせのために集まる事になった。
Iさんの提案で、平岸にある鯛茶漬けのお店で会食する事になった。支払いにはIさんの希望で、Iさんのフリマの売上金を使う事になった。
鯛茶漬けを食べるのは初めてだった。てっきり丼に入った鯛のお茶漬けだけを食べるのかと想像していたが、ちゃんとした和食のコースだった。先付け、お椀、向付け、八寸…水菓子まで豪勢にいただいた。
温泉の日付も11月に決まり、ネットで予約した。お宿は女性限定の美容と健康が売りの宿泊施設に決めた。楽しみだ!
みんなが気遣う、フリマを担当する私への報酬の件について、私が思いついたのは「美食倶楽部」。それをみんなに提案してみた。
「美食倶楽部」とは、Iさんの売上金を月一回の美食の会に充てようと言うものだ。
“タダ飯”。それも高価な!なんて素敵な計画だろう。皆、同意してくれた。
鯛茶漬けを食べたその日を、美食倶楽部の第1回目とした。
鯛茶漬けのお店を出て、食後のコーヒーでもと、ファミレスに行った。
皆、日頃の節約が身についた主婦だから、パフェにしようか、それともドリンクバーにしようか、どちらか1つにしようと迷っている。三人の中の一番の節約の鬼である私が、
「お金の事は気にしないで、どっちも取ろうよ。好きな物を好きなだけ。だって美食倶楽部なんだから、ただだよ!」
自分のお金でもないのに、でかいことを言う私に、みんな笑った。
値段を気にせず、1000円を超えるマロンパフェを頼み、ドリンクも飲み放題。値段を気にせず飲み食いする事の素晴らしさを、文字通り初めて味わった。
お会計はお金を預かっている私。
家に帰って本日の支払いを帳簿に付け、レシートをノートに貼った。残高はまだまだある。
その後も、Iさんの品物は売れ続けている。第1回の美食倶楽部に支払った分は、もはや販売利益で賄われ、使う前の残高を既に超えている。物が売れ続ける限り、美食倶楽部も続いていくのかと思うと、ワクワクが止まらない。
第2回の美食倶楽部が間近に迫っている。