最近、テレビで何度も流れる「シニア向け分譲マンション」のコマーシャルの中のセリフが耳に残る。
確か、「自分が旅立った後、一人残される妻の将来が心配だ」と言う男性の声。
それを自身の夫の言葉として受け取るならば、「全然大丈夫。私は一人でも。何の心配もいらないから」と私は答えるだろう。
むしろ、私が先に旅立った後の夫の方がよっぽど心配だ。
滅多に外へ出かけないし、日頃歩かない。ほぼ家にこもりきり。大抵はお気に入りのパーソナルチェアに座って、新聞を読んでいるかスマホをいじるか、ソファーに横になってテレビを見ている。運動からは縁遠いし、人と関わるのも好きじゃない。もはや“おこもり老人”だ。
70歳にならない内から、夫はフレイル予備軍だと私はみなしている。
そんな夫へ趣味を見つける事や、外に出かける事などを家族で勧めるのだが、「糠に釘」「暖簾に腕押し」だ。
つい最近、私は夫に「エレベーター使用禁止令」を出した。
夫は、一日の内2回ほど階下へ行くのだが、その都度エレベーターを使っていた。私は最低限の運動をさせる苦肉の策として、階段の昇降をするよう促した。どの程度の効果があるかは知らない。ちゃんと守っているだろうか?
人付き合いが嫌いで、運動をしない、料理もしない夫へ、今のうちに伝えておきたい事がある。
もし私が先に死んだら、
①お天気の良い日は出来るだけ外へ出かけて下さい。
人が多く集まる場所、図書館や公園等へ。
②お買い物は、出来るだけ遠回りをして買ってきて下さい。より多く歩いて足を鍛える為に。
③人と積極的に関わって下さい。たまに旧友と連絡を取ってはどうかしら。あるいは町内会等に関わるのはどうでしょう。
④栄養のバランスを考えて食事をして下さい。きっと近所のコンビニ弁当か、お惣菜を買うのでしょうけど、せめてお惣菜の組み合わせは考慮して。生野菜も食べてね。
よく新聞やテレビで「シニアライフを健康的に楽しく過ごす為に心がけるべき事」を啓蒙している。
先に書いた①~④に重なる部分もあるけれど、
・バランスの取れた食事を摂る
・適度な運動をする
・良質な睡眠をとる
・社会との適度な関わりを持つ
・人とコミュニケーションを取る
・知的活動を積極的に行う
などなど
夫がこの中で現在実施出来ているのは、
「バランスの取れた食事」
これは私がついているからいまは問題ないけれど…。
「良質な睡眠」
これについては昔から、夫は早寝早起きだ。睡眠だけは人のお手本級。
「人とコミュニケーションを取る」
ほぼ私としか話していないし、話す頻度も少ないけれど、一応出来てはいる。
実施率は5割ということになろうか。
私が死んだら多分「良質な睡眠」しか実施出来ないのじゃないかと思う。その結果、良質な睡眠どころか、「永眠」になっちゃうのじゃ無いだろうか…なんてね。悪い冗談も言いたくなってしまう。
「しわができるのも、足が弱るのも、年寄りだから当たり前」という考えもあるだろう。でも、少しの努力でそれを1日でも先送りに出来れば、それに越した事はないのじゃないだろうか。
年を取ってより良く生きるには、努力が必要なのだ。