間がありましたが、N六段のお話の続き。
読む前に一言だけ、 「目碁は投了ができません」
前回の記事でNさんが破天荒な碁である事がわかってもらえたと思う
その時の記事はN六段の良いところばかり書いたので、
今回はバランスを取って逆の形も書かねばならない
いくらN六段が囲碁アマ人口(日本)240万人ほどの中では強い部類に入るとは言っても
上には上がいるもので、 力自慢のNさんでもどうにもならない相手がいた
その人は新宿の虎と言われている 私が初めてお会いした時、
他とは違うオーラを放っている感じだった。
さて、この虎さんとNさんが賭け碁で勝負するのだが、最初は小さいレートで勝負をする
Nさんは、ほぼ目碁(地合いの差でレートが動く碁)オンリーだ。
勝つ目碁師は
小さいレートではお互いに小手調べの碁で自分と相手のメンタル面を確かめながら碁を打つ
勝敗はあまりこだわらないし相手の調子如何によっては、
碁は負けても(無理はせず一番などの小さい負けにする)
次の碁からは賭け金をレイズしていく流れだ。
数局が打ち終わった頃で賭け金が増える、ここからが真剣勝負で
目碁なので機を見れば大差で勝ちにいくし、負ける時は小さくを心がける
でもNさんには関係ない 安全に打つとか、機を見るとか
細かい事は排除する そう、あのNさんなら
持ち前の暴力の碁で大石を召し取り、大差で目を出すつもりのはずだ
しかし、この虎さん、実はNさんに匹敵する豪腕の持ち主で、
凄まじい殴り合いが始まり、盤上は死屍累々 コウも徹底的に争う
N「私とコウをしてみなさんがどういう結末をたどったか知っていますね」
と、自信満々にコウを争うNさん
虎「どういう結末なのか見てみたい」
N「よし、おれも男の子だ!とことん付き合うけんね」
碁が終わる頃にはお互いのアゲハマが碁笥の蓋から溢れてしまう程で
それで碁が打てるのではというくらいだ
結末は――― Nさんが100目差を超える負けに。。。
3~4局打ち終わると、どうも風向きはN六段が良くない
負けが込んでNさんも熱くなってしまう、みたびレイズして勝負する
N「虎さん、次から5.1でやりましょう。
虎「OK」
N六段は私が言うのは失礼かもしれないが、相当な力自慢の天狗だ
N「ごっちんごっちん!みんな逮捕です!全部いただきます。」
虎「どうぞどうぞ」
N六段は虎を叩き潰そうと最強手を連発するも、こうなってしまうと虎の領域で
Nさんは周りの石が見えなくなってしまっているので、その部分では互角以上のワカレでも
お隣の大石さんは眼がひとつで封鎖されてしまっていて、あれ?!という感じだ
終われば10番!14番など(91目~差と131目~差)
大目を出されてしまった。 こうなるとN六段も相手の力を認め謙虚にならざるを得ない
その傾向は序盤に表れた 普段N六段は互先・置碁関わらず
星に小ゲイマにかかられると、
平常心がある時ならこのように誰にでもオオゲイマで受ける
なるほど、勢力重視 実利概念排除のNさんらしい受け方だ
だが虎に大目を出されしまったNさんは、
小ゲイマに受けた。 これはアマプロ関わらず愛用されていて オオゲイマ受けに比べて
手堅く地を取れるところから好まれている
だがN六段は地が欲しいワケではないのだ
オオゲイマ受けは薄くボロボロになってしまう事もあり
N六段の場合死んでしまう事すらある
という事でボロボロにされたくないという意味合いでN六段は小ゲイマに受けたのだ
これはN六段にとっては謙虚の表れで、相手に恐れを感じていなければこの受け方はしない
しかしそれでも虎とぶつかると 最終的に小ゲイマで受けた手がボロボロになってしまう
碁は圧倒的に虎が勝ち越し、最初の2子の手合いが 3子、4子と打ち込まれてしまう
熱くなってしまっているという事もあるが
平常心のNさんなら3子ならアマチュア都代表クラス
4子なら本気のプロにもまず負けないはずだ
午前中の開始から徹夜で何十局と碁は朝まで続き
私はもう何局目だろうか、・・と思っていると
急に観戦してる誰かが大きな声を出す
「Nさん!なんで天元に石が置いてあるの?! 恥ずかしい!(笑)」
N「明日から廃業だ。」
そう、Nさんは裏プロの虎についに5子まで打ち込まれてしまう
(目碁師は手合いにシビアで、何十連敗もしないとここまで手合いが変わる事はない)
その瞬間からN六段に異変が起こった 今まで謙虚に小ゲイマ受けをしていたNさんだが
虎が思わず声を出す
虎「なんだそれは!(笑)」
N「命あっての目碁やけんね・・・。」
コスミで受けるようになったのだ 私はこんな受け方は見た事がなかった
これはもう謙虚とかそういうのを超えている・・。
N六段に5子置かせてさらに
このコスミ受けをさせたのは 後にも先にも、新宿の虎だけである
その日以来この二人は対局する事はなかったという。(終)
読む前に一言だけ、 「目碁は投了ができません」
前回の記事でNさんが破天荒な碁である事がわかってもらえたと思う
その時の記事はN六段の良いところばかり書いたので、
今回はバランスを取って逆の形も書かねばならない
いくらN六段が囲碁アマ人口(日本)240万人ほどの中では強い部類に入るとは言っても
上には上がいるもので、 力自慢のNさんでもどうにもならない相手がいた
その人は新宿の虎と言われている 私が初めてお会いした時、
他とは違うオーラを放っている感じだった。
さて、この虎さんとNさんが賭け碁で勝負するのだが、最初は小さいレートで勝負をする
Nさんは、ほぼ目碁(地合いの差でレートが動く碁)オンリーだ。
勝つ目碁師は
小さいレートではお互いに小手調べの碁で自分と相手のメンタル面を確かめながら碁を打つ
勝敗はあまりこだわらないし相手の調子如何によっては、
碁は負けても(無理はせず一番などの小さい負けにする)
次の碁からは賭け金をレイズしていく流れだ。
数局が打ち終わった頃で賭け金が増える、ここからが真剣勝負で
目碁なので機を見れば大差で勝ちにいくし、負ける時は小さくを心がける
でもNさんには関係ない 安全に打つとか、機を見るとか
細かい事は排除する そう、あのNさんなら
持ち前の暴力の碁で大石を召し取り、大差で目を出すつもりのはずだ
しかし、この虎さん、実はNさんに匹敵する豪腕の持ち主で、
凄まじい殴り合いが始まり、盤上は死屍累々 コウも徹底的に争う
N「私とコウをしてみなさんがどういう結末をたどったか知っていますね」
と、自信満々にコウを争うNさん
虎「どういう結末なのか見てみたい」
N「よし、おれも男の子だ!とことん付き合うけんね」
碁が終わる頃にはお互いのアゲハマが碁笥の蓋から溢れてしまう程で
それで碁が打てるのではというくらいだ
結末は――― Nさんが100目差を超える負けに。。。
3~4局打ち終わると、どうも風向きはN六段が良くない
負けが込んでNさんも熱くなってしまう、みたびレイズして勝負する
N「虎さん、次から5.1でやりましょう。
虎「OK」
N六段は私が言うのは失礼かもしれないが、相当な力自慢の天狗だ
N「ごっちんごっちん!みんな逮捕です!全部いただきます。」
虎「どうぞどうぞ」
N六段は虎を叩き潰そうと最強手を連発するも、こうなってしまうと虎の領域で
Nさんは周りの石が見えなくなってしまっているので、その部分では互角以上のワカレでも
お隣の大石さんは眼がひとつで封鎖されてしまっていて、あれ?!という感じだ
終われば10番!14番など(91目~差と131目~差)
大目を出されてしまった。 こうなるとN六段も相手の力を認め謙虚にならざるを得ない
その傾向は序盤に表れた 普段N六段は互先・置碁関わらず
星に小ゲイマにかかられると、
平常心がある時ならこのように誰にでもオオゲイマで受ける
なるほど、勢力重視 実利概念排除のNさんらしい受け方だ
だが虎に大目を出されしまったNさんは、
小ゲイマに受けた。 これはアマプロ関わらず愛用されていて オオゲイマ受けに比べて
手堅く地を取れるところから好まれている
だがN六段は地が欲しいワケではないのだ
オオゲイマ受けは薄くボロボロになってしまう事もあり
N六段の場合死んでしまう事すらある
という事でボロボロにされたくないという意味合いでN六段は小ゲイマに受けたのだ
これはN六段にとっては謙虚の表れで、相手に恐れを感じていなければこの受け方はしない
しかしそれでも虎とぶつかると 最終的に小ゲイマで受けた手がボロボロになってしまう
碁は圧倒的に虎が勝ち越し、最初の2子の手合いが 3子、4子と打ち込まれてしまう
熱くなってしまっているという事もあるが
平常心のNさんなら3子ならアマチュア都代表クラス
4子なら本気のプロにもまず負けないはずだ
午前中の開始から徹夜で何十局と碁は朝まで続き
私はもう何局目だろうか、・・と思っていると
急に観戦してる誰かが大きな声を出す
「Nさん!なんで天元に石が置いてあるの?! 恥ずかしい!(笑)」
N「明日から廃業だ。」
そう、Nさんは裏プロの虎についに5子まで打ち込まれてしまう
(目碁師は手合いにシビアで、何十連敗もしないとここまで手合いが変わる事はない)
その瞬間からN六段に異変が起こった 今まで謙虚に小ゲイマ受けをしていたNさんだが
虎が思わず声を出す
虎「なんだそれは!(笑)」
N「命あっての目碁やけんね・・・。」
コスミで受けるようになったのだ 私はこんな受け方は見た事がなかった
これはもう謙虚とかそういうのを超えている・・。
N六段に5子置かせてさらに
このコスミ受けをさせたのは 後にも先にも、新宿の虎だけである
その日以来この二人は対局する事はなかったという。(終)