Toshiが行く

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用心なされよ!

2024-02-15 06:00:00 | エッセイ

 

その昔。ごく普通の家庭において亭主は絶対的存在として君臨した。

「このように、お前たちが何不自由なく暮らせるのは、

俺が懸命に働いてやっているからだ。ありがたく思え」

こう言えば、妻も子供たちも「はいお陰様で……ありがとうございます」と、

胸のうちでベロをしながら従った。

 

その昔と言っても、現在でもそのような家庭は結構多いという。

特に中年以降の男性は「仕事優先。家庭は二の次」思考になりやすく、

たまの休日も、やれゴルフだ何だと言って家事には見向きもしない。

そうやって年月を重ねていくと奥方にとっては、

亭主は金を運んできてくれる存在でしかなくなっていく。

むしろ、家では何もしないくせに、何だかだと偉そうなことを言う

モラハラ亭主に不満を募らせていく。不満をため込んでいく。

 

      

 

そんな世の亭主族は用心したがよい。

強烈な仕返しが待っている。

定年──これは亭主はもう金を運んではこないことを意味するわけで、

まさに「金の切れ目が縁の切れ目」とばかり、いきなり離婚を突き付けられる。

よく言う定年離婚だ。

長年にわたり不満を貯めこんできた奥方にとり、

金を運んでこない亭主には何の存在価値もない。

「もう我慢しないわ」とばかり一気に攻勢に出てくるのだ。

攻撃することしか能のなかった亭主は、守りはからっきしで、

オロオロするばかりなのだ。

 

もっと壮絶な仕返しは、亭主の健康寿命が尽きるのを待っている奥方である。

ベッドに横たわる亭主の枕元で、こうつぶやく。

「これからは私がいじめ抜いてやる」

ああ怖い、怖い。

 

ここまでのことではなくとも、やれ「掃除機をかけろ」「風呂掃除をしろ」

などと命令されることになる。

知人が定年になったので、ご機嫌伺いの電話をしたら

「妻の部下になっております」と言うので大笑いした。

これくらいの仕返しは「よし」としておかねばならない。

 

 

 

コメント (6)
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