治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

経験値を積み上げる

2010-02-19 09:05:22 | 日記
考えてみたら、去年のちょうど今頃、内山登紀夫先生により「自閉症」と診断された、
つまり、本物に間違いない「本物の自閉症」の人から脅迫状が来て
身の危険を感じ、訴訟を起こそうと決め
何人かの弁護士さんとお会いし始めていたのでした。

その結果お願いすることになった弁護士さんはいわゆる「ヤメ検」。
元公安検事です。オウム真理教の事件なども担当された方。
「相手はちょっとおかしいですね。でもこのままにしておいてはいけないでしょう」
私たちが相談に行くと、開口一番そう言ってくださいました。

「二次障害を起こすのは世間が悪いのだ。何もできない」
こういう見解の前に絶望していた私にとって
本当に救世主が現れたように感じられました。

「この手の人のこの手の行為はね、二月三月は過激化するんです。
調子を崩す時期なんでしょうね」
検察は検察で経験値を積み上げていることが伺われました。

「相手は本当にニキさんと浅見さんが同一人物だと思い込んでいるんでしょうね。でもそれは裁判では関係ありません。
よく確かめもせずに嘘を言いふらして人を詐欺師呼ばわりしたら、責任は問われます。司法の場では関係ありません」
そうか。法律ってよくできてるな~。

今「ありのままでいいんですよ」とか言われて、世間にあわせてもらうのを当然とする支援者のもとで育っているお子さんたちがいるかもしれません。
そういう支援者の言うことは、話半分に聞いておいたほうがいい、というのが私の意見です。
その支援者たちは、絶対権力者じゃありません。日本には絶対権力者はいないから。
つまり支援の先生方がどれだけ「社会がこうあるべき」「日本国民全員が自閉症者を理解すべき」と強い信念を持っていても、
それが実現するかどうかはわかりません。

また「ありのままでいいんですよ」と説く支援者の人たちは将来の雇用主ではありません。
雇用主が何を求めているかわかっていないかもしれません。
そして、将来生活できなければ
その問題に苦慮するのは本人であり、保護者です。

そして支援者の人たちは司法の人でもありません。
その子がありのままに振舞って、言いたい放題言って、自分の気分が応じるままに社会に無理難題を押し付け、法的責任を問われたとき、責任を取ってくれるでしょうか?
かわりに損害賠償金を払ってくれるでしょうか?
かわりに懲役に行ってくれるでしょうか?

何が起きようと、責任をとるのは保護者であり、本人なのです。
「ありのままでいい。社会が合わせるべきです」と説く支援者には支援者なりの熱意があるのでしょう。
そしてそこに悪気は一切ないはずです。おそらく美しい気持ちがある。
ただその人たちは「社会」のごく一部でしかありません。

だから保護者は、「ありのままでいい」なんて言われても、真に受けないほうが無難だと私は見ていて思います。
私が保護者だったら
「アンタこの子の一生の責任とれるのかよ~」と心の中で突っ込んでみるだろうなと思います。

東京かっぱ橋キティちゃんです。