治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

パスポートプリーズ(笑)

2010-02-24 07:06:23 | 日記

「経験値を積み上げる」の続きの裁判裏話です。

海外にお出かけするにはパスポートが必要。
日本を出るのにも、他国に入るのにも。
出国管理官にも入国管理官にも、パスポートを見せなくてはいけません。

別になんの権限もないのに
私のパスポート見たくてしょうがない人がいましたね。
私がたしかに浅見淳子であり、ニキ・リンコでない証拠を見せろ、と。

裁判を通じて、パスポートか免許証を見せろ、じゃないと別人だと信じないぞと言い続けたが
裁判長はその言い分を認めることはなかった。
ヤメ検の先生は、最初から裁判所は見せろと言わないと読んでいた。で、そのとおりに展開しましたね。

「社会の決まりごととして見る権利のないものは見せない」
それを伝えるのが裁判の目的のひとつだったもので。
世間の掟をきっちりわからせるのが、支援職でない私たちからの支援です。

弁護士の先生に教わってなるほどと思ったのはこれ↓。
「別人であることを被告が納得する必要はない。裁判所が納得すればいい。
だから資料は裁判所が納得するだけ出せばいい。被告が納得しなくても」
なるほどなあ。うまくできている。不当な要求に屈しなくてすむように。
司法の世界って言うのはそういうものらしいですよ。

「そんなに浅見さんのパスポート見たければ入国管理官にでもなればいいのにね」
とある知人は言った。
そう。入国管理官になったら、年に何回かチャンスがあるよ。偶然私がそのブースを選べばね。

公的書類を見られるのは、それが必要な任に当たる人だけ。
とくにパスポートの情報漏えいは国防にかかわる。
日本のパスポートの強さは尋常じゃない。有色人種の国としては異様なほど強い。それは先人たちの努力の賜物だ。
どっかの国で不法就労する可能性が低いと世界が見なしているからパワフルな日本のパスポート。
そんな機密書類をただの言いがかりごときに屈して開示するわけがない。
それがわからないのが社会性の障害?
そうじゃないと思う。だってふつう、ASDの人だってそれくらい知ってるもん。
社会性の障害に甘ったれをブレンドすると、こういうカンチガイが出来上がる。

こういう人を野放しにした主治医が「自己肯定感」なんていうものを説いているのを見ると
「もしかして世事に疎いんじゃないかな」と思うわけです。
先生が講演会等に推薦し、著書にもモデルとしてお書きになった当事者は
自己肯定感が高くて高くて、他人のパスポートを自分が見る権利があるとカンチガイしたみたいですよ。
自己肯定感はたしかに大事だろう。自分を傷つけないためにも。
でも甘ったれを許しては、結局本人が不利になります。

過った想像に強迫的に取り付かれる脳を持つことはつらいだろう。
だが、世の中には守るべき秩序がある。
自分が見たくて仕方のない何かを、見せてもらえるとは限らない。
「見せろ」とごねること自体、自分の不利になる。
フェミニンな男性に対し「おまえ本当に男かよ。パンツ下げてみろ」と言っても聞き入れられることはないでしょ?
世の中の決まりごとに反する要求は通らない。

お子さんには早いうちからそう教えましょう。
大きくなってもそれが理解できていないと
法的リスクを背負うことになります。

別に私は、自閉症者が犯罪者予備軍だと言っているわけではありませんよ。
ただ、自閉っ子にもわかりやすい遵法教育があったほうがいいし
早めに始めたほうがいいと思うようになっただけです。
それが結局は自閉っ子を救うからね。
自閉っ子はできれば、裁判に巻き込まれないほうがいいですよ。たとえ民事でも。
オウンゴール多いんだもん。裁判では圧倒的に弱いです。社会性の障害があると。