治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

親としての覚悟

2010-02-22 08:05:33 | 日記
大地君のママ、白くま母さんが
賢ママさんのメール等を見てメールをくださいました。
ご本人の許可を得て、載せさせていただきます。

=====

偏見は、生きていくことを否定されていると思えるほど厳しい言葉であることもあります。
でも、支援者や親にも大きな責任があると私は思います。

障害の有無、年齢に関わらず、人として生きていくためには守らなくてはいけない事があります。
どの親も、一生懸命に子供に教えていることは間違いないでしょう。
でも、「やっちゃいけない。」「これは駄目です。」といった、禁止の言葉で押さえつけようとしても駄目だと思います。

どうしてダメなのか、やってしまった時には結果はどうなるのか…これをしっかりと、繰り返し教えていかなくてはいけないと思います。

「火は熱い。危ない。どんなものも燃やして、なくなってしまう。家も大切なものも。人を殺してしまう。」
「お店に並んでいるものは商品。たとえ見本でも、買う予定のない時は触ってはいけない。これはお店の商品。」
「自分のモノ以外のものは、家に持ち帰ってはいけない。勝手に使ってはいけない。泥棒と間違えられる。」
「自分より弱い者、小さい人、女の子に暴力をふるってはいけない。怪我をさせたり、殺してしまうこともある。」

人としてのルールが守れない人は、大切なものを全部なくします。警察に捕まります。
何十年も家族に会えないところに閉じ込められます。そこから、出られない人もいます。

こういうことを、しっかりと教えていく必要があります。子供が小さいうちは、親が謝罪する姿、罵倒される姿を見せていこうと思っています。
人や社会に迷惑をかけるとはどういうことなのか。そして、社会の中で生きていくためには責任の取り方も覚えなくてはいけません。

「ごめんなさい。」や「障害があるのです。」では、すまされないこと。取り返しのつかない失敗があることも知らなくてはいけません。
『ごっこ遊び』から実践で生かす方法を学ぶことが難しい子たちですから、見せていくしかないです。

大地は「理由が解らない。」と言って、なかなか受け入れない子です。しかし、理由が解ればルールを守る子です。
年齢、発達度、理解度等に合わせて、子供が理解できるように繰り返し、なぜいけないのかを教えていくことが大切だと思います。

どのお母さんも歩き始めた我が子に「信号は赤!止まれ。車が来るのよ。ぶつかったら痛い!痛い!」と、教えるのと同じだと思います。

障害があろうが、なかろうが、子育ての基本は変わりません。親は障害を理由に大切な教えを省いてはいけない。それだけだと思います。

私と賢ママさんの子育ての基本は同じです。しっかり解ってくれるまで、時間をかけてスモールステップで…経験を積み重ね、教え込むだけです。

人の道から外れる子は…「発達障害」だから、起こった事件ではない。
療育していなかったから起きた事件ではない。
親をはじめ、周囲の大人が教えなかったからです。ここをはっきりさせて欲しいです。

こういう覚悟で子育てしているから、時間がかかっても今のところは大事なことはきちんと守れている子です。
パパとの3つの約束もそうです。我が家は2人のおチビちゃんたちにも、同じ事を教えています。
年齢も理解の仕方も違うので、言葉も方法も違います。でも、覚える事は同じですから…
親として、大人としての責任です。

=====
「親が謝罪する姿、罵倒される姿を見せて責任を学ばせる」
なかなかここまで覚悟できないと思います。
頭が下がります。本当に。

白くま母さんは肝の据わった母さんでしょ?
そこに私は感銘を受けて出版を決めたんですけどね。

大地君は本当にいい子に育っています。
実はこのブログに書ききれないほど、たくさんの交流エピソードがあるんです。
それはまた折々に書いていきますね。

イラストの小暮さんが上野で見つけてくれたキティちゃんお守りです。