ドラム缶遺体事件
福井県の小浜湾で昨年10月、ドラム缶に入れられた男性の遺体が見つかった事件で、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた3人に対する裁判員裁判で、大阪地裁堺支部は1日、無職米次公(こめつぎ・あきら)被告(28)=大阪府泉佐野市=に懲役14年(求刑懲役15年)、配管工の中島充昭被告(27)=同府泉南市=に懲役13年(同14年)、無職江崎義一被告(25)=住所不定=に懲役12年(同13年)をそれぞれ言い渡した。
飯島健太郎裁判長は「男性は激しい暴行で長時間苦しんだ末に命を奪われ、5カ月間以上も海底に放置された。人間性のかけらも感じさせない行為だ」と述べた。判決によると、3人は昨年4月26日午後、当時高校生の知人ら男女3人と共謀し、泉南市内の駐車場で、知人の相良雄一さん(当時19)に集団暴行を加えて意識を失わせ、米次被告の自宅に放置して同29日に脳ヘルニアで死亡させた。同日夜、3人は遺体を福井県おおい町まで車で運び、遺体をドラム缶に詰めて海中に投棄するなどした。
府警によると、8人は遊び仲間で、米次容疑者は「16歳の男子生徒が、相良さんにゲーム機や携帯音楽プレーヤーなどを取られたと訴えたため
制裁を加えようと思った。全員で100発以上殴ったりけったりした」と説明。少女らがメールを送って相良さんを誘い出したという。
容疑者らは「サッカーボールのように顔をけった」「最初は軽くやっていたが、エスカレートし、気合を入れて殴ったりけったりした」などと述べているという。
「実は人を殺して遺体を海に捨てました。被害者が夢に出てくるんです」-。福井県の小浜湾でドラム缶に入った男性の遺体が見つかった事件。その犯行が明らかになったのは、車の窃盗容疑で逮捕された遊び仲間の配管工、中島充昭容疑者(26)=大阪府泉南市信達市場=ら男2人が、勾留期限間近の9月中旬、思い詰めた様子で取調官に漏らした告白からだった。遺体が海底から浮かび上がってこないようドラム缶を念入りに細工する周到さの半面、犯行後は良心の呵責(かしゃく)にさいなまれていたらしい
捜査関係者によると、遺体はひざを抱えた状態でドラム缶に押し込められており、缶上部につっかえ棒数本が仕込まれていた。ふたも針金で缶本体と固定されており、海に投げ捨てた後、遺体が外に出ないように入念に細工されていた。
ドラム缶には重しとして石や土嚢(どのう)も入れていたことが分かっているが、缶の側面には空気を外に逃すためとみられる穴が数カ所開けられていたことも判明。ドラム缶が浮かび上がらないようにしていたとみられる。