但馬では豊岡市の弥栄と朝来市朝来町にオオムラサキの飼育に取り組んでいる人がいることは知っていた。
しかしその方達は地元産の幼虫は飼育していなかった。地産の幼虫確保が私たちの悲願であった。その悲願が
叶うかも知れない。なんと、足元の和田山町糸井に、10年以上も前から、円山川流域で採取した幼虫で飼育してきた人がいたのである。
先日、その方を訪ねた。家の裏にはエビネランの温室、山から採取した植物の鉢植えの棚。直径50センチ以上の大きな鉢には、直径10センチもある馬酔木。
それが10鉢近くある。その並びに大小のエノキの鉢が20鉢以上。そしてその先には、2メートルの高さで芯止めされた地植えのエノキ。柔らかくて大きな葉が
付いた枝が無数に出ている。幼虫の飼育は、ケージではなく、その枝に洗濯機選択で使うネット袋をかけて飼育する。果樹の袋掛けのやり方だ。
残念ながら糸井の谷にはクヌギ林がなく、オオムラサキがいない。それで豊岡盆地に幼虫探しに行く。豊岡盆地の里山は、なぜかスギヒノキの人工林が少ない。
林業より農業が忙しかったからであろう。クヌギやナラガシワの雑木林がかなり残っている。私の実家のある日高町上郷はその典型で、コウノトリ市民研究所の
研究員の人が言うには、オオムラサキの棲息適地らしい。河畔林にはエノキの巨木群、里山にはナラ科の雑木林。
このような棲息適地のエノキの巨木の落ち葉を大きなビニール袋に詰めこんで持ち帰り、地植えのエノキの株元に積み上げておく。その中に幼虫が居れば、4月に
エノキのえだの分かれ目(股)に居る。大雑把なやり方だが、的を射ている。もっとも百発百中でない時のことを考えて、小さな鉢のエノキには、この夏に生まれた幼虫が
育てられている。備えあれば憂えなしとはこのこと。それでも、アマガエルやアリは天敵で、その対策は洗濯ネットですっぽりと覆うか、室内に持ち込むかだという。
このように、とにかく実践的な飼育の経験から生み出されたユニークなやり方に、教えられることは多い。
一人飼育だが、研究熱心。よく勉強されている。帰りがけに、2冊持っているからと、青森県の森一彦著「オオムラサキの繁殖法」という本をいただいた。
冬には豊岡にエノキの落ち葉拾いに行きましょうと約束して、2時間近い訪問を終えた。
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