たけのこ新聞の事件簿

離婚をきっかけに、今まで心に溜めていたことを書いています。離婚、エコ、世間の常識(のようなもの)についての疑問などなど。

行くぞウィーン ひとり旅 11アパートメント②

2023年05月09日 | 旅行

その後、荷物をほどいて夕飯の買い物。駅前にBIOスーパーがあった。当たり前と言えば、当たり前だが、観光名所と違い、スーパーの中はすべてドイツ語。英語の注釈などどこにもない。商品ラベルの絵と片言のドイツ語を探して、商品を理解したつもりになる。

帰国までに食べきれる量を購入するつもりだが、どれも量が多い。ザワークラウトの瓶詰、ハム、チーズ、ズッキーニ、水とビール。水と酒が同じ棚に陳列してあり、白ワインなのか、水なのか??店員さんに英語で聞くも、不思議そうにされる。どちらも瓶容器だし、炭酸が入っているし、よく分かんないよ。レジに持っていくと、ベルトコンベアに載せて会計をする。コストコみたいな感じ。ユーロに慣れていないので、支払いと、商品の袋詰めを同時に素早くはムリ。後ろの客の商品が流れて来る前に、慌てて袋に放り込む。支払いも、コインを探す余裕なく、紙幣で。こんな調子で支払いをしていたら、あっという間に小銭持ちになりそう。部屋に戻ったら、コインの金額と形を覚えようと思う。後で知るのだが、ユーロのコインは、同じ額面でも発行国によって図柄が異なる。もちろん、コインは国をまたいで旅をするので、財布の中にいろんな図柄のユーロコインが混在することになる。ややこしいな。

 

ザワークラウトも、ハムもチーズも、そこにある中で小さいサイズを選んだが、それでも一人で食べるには多かった。毎日同じメニューで過ごす羽目になる。

野菜炒めとパン、チェリー、ハム、チーズで夕飯。冷蔵庫を開けると、バルサミコ酢ばかり何本も入っている。前の宿泊者の置き土産か。醤油がないのは当然として、油もない。塩はあった。味付けは塩のみ。油は、機内食の時に持ち帰ってきたあのバター!ほら、役に立った。と自分の手柄に自画自賛。

食後、シャワーを浴びて寝る態勢に入る。明日はシェーンブルン宮殿。アパートメントのオーナーは、確かここから歩いて行けると言っていた。調べてみると2駅くらい。


行くぞウィーン ひとり旅 11アパートメント①

2023年05月08日 | 旅行

部屋では、おばさまが設備の使い方(洗濯機やポットなど)を早口で説明する。聞き取るのに精いっぱい。支払いは現金のみの前払い。この日のために準備した、街では使えなさそうな高額紙幣で支払う。

おばさま、説明をしながら冷蔵庫を開けると、

「あら、洗剤がないわね。今から買ってきて、入れとくわね」

ビックリしたのは、冷蔵庫の扉だと思っていたその扉は、冷蔵庫と収納棚の兼用の扉。つまり、扉を開けると、冷蔵庫も、収納棚も開いてしまうのだ。これは、オーストリアの標準なのか??

 

すぐに洗剤をもって来てくれた。その洗剤の匂いがきついのに閉口する。洗剤を持参してよかった。夕方、シャワーの後に洗濯をするが、洗濯機のあまりの大きな振動に慌てる。真下にはオーナー一家が住んでいるので、文句を言われないかドキドキ。洗濯機を一時停止して、朝に再度運転する。

部屋は広く、2段ベッドとベッドにもなるソファーまでついている。広くて喜んだのもつかの間…もしやほかの誰かと相部屋なんて言われないだろうか??そんな話を聞いたことあるぞ、と思い、泊まるのは私一人か確認する。今回は私一人で泊まるが、本来は4人部屋だそう。うちより広い部屋に、嬉しいけど、落ち着かない。ベッドも使い散らさず、下の段だけ使う。

 

オーナーは、私が日本人と知ると、近所に日本人が住んでいると言って、その場で連れて来てくれる。音楽を学んでいる学生さん。私は面食らってしまうが、連れてこられた学生さんは、もっと面食らっていたことだろう。それでも、親切に話し相手になってくれる。

 


行くぞウィーン ひとり旅 10リンク⑤

2023年05月05日 | 旅行

地下鉄に乗っていざ、アパートメントへ。目指す駅も住所もばっちり。グーグルマップで周囲の様子も建物の外観も確認した。たとえスマホが使えなくたって、へっちゃら。昨日みたいに、迷って泣きそうになることはないはず。

 

駅に着いてみると、さて、方角が分からない。予想通りスマホも使えない。地図をひっくり返しながら歩き回る。あっちに向け、こっちに向け、現在地と目指す方角を合わせようとするのだが…あれ?目指す建物は駅の真ん前のはずなのに、やっぱり迷った。事前に調べたのとよく似た建物はあるのに…というか、似たような建物だらけ。建物の見当をつけて向かってみるが、入り口が分からずウロウロする。暗くなってくるし、人通りもなく、不安しかない。昨日の夕方が思い出される。

入り口ゲートは見付けるが、住所は全く違うものだった。建物をぐるり一周めぐると、同じ建物の反対側にもゲートがあった。多分ここ?もう一時間以上も歩いたか。初めての通行人(!)のおばさまをつかまえて聞いてみる。ここで合ってた!

でもゲートにはアパート名の表札がない(昨日の経験から、アパートメントの看板はないよなあと思ったけれど、まさか表札すらないとは思わなかった)。ドアにも鍵がかかっている。ドアの前で困っていると、さっきのおばさまがやって来てくれる。

「どうしたの?」

「どうやって入るのか分からない。スマホもつながらないから電話できない」

親切にも電話をかけてくれるが、つながらない。

「この番号、違ってない?」

ガーン。打ちのめされていると、ゲート内側から人が出てくる。早速おばさまが尋ねてくれる。ここから先はドイツ語なのでよく分からなかったが、その様子からこんなやり取りだったに違いない。

「ここにアパートメントはある?」

「ああ、あるよ」

「この人がそこに行こうとしているらしいんだけどね、入れなくて困っているのよ」

「よし、案内してやろう」…とかなんとか。

内側から出てきたおじさまが、ジェスチャーで付いて来いと言っている。おばさまにお礼を言って、中に入る。ロの字型の建物の真ん中の、公園のようなスペースに何人もがおしゃべりしている。その中の一人が、アパートのオーナー(おじさま)だったみたい。今度はオーナーに、建物の中へ案内される。建物内では、オーナーのおばさまに導かれてようやく部屋にたどり着く。

昨日同様、建物のごく一部の部屋だけがアパートメントで、他のほとんどは普通の賃貸住宅らしい。

 

私はまるでリレーのバトンのように、いろんな人に助けられながら宿までたどり着いた。昨日同様、部屋と布団に感謝する。そして、何人もの人たちに助けられてここまでこれたこと、ありがたいし、嬉しい気持ちでいっぱい。


行くぞウィーン ひとり旅 10リンク④

2023年05月04日 | 旅行

まだ時間があったので、ウィーン少年合唱団の舞台(と言っていいのか?)、王宮の礼拝堂を下見する。広いなー、王宮。大きいけれど、迷うことなく辿り着く。これなら明後日、来るときも大丈夫。

オペラ座へ向かう。途中、観光客にコンサートチケットを売りつけようという客引き(というのか?)に、そこらじゅうで声をかけられる。面倒なので、適当に無視する。気温の高い日だったが、貴族のような暑苦しい格好で客引き。ちょっと同情する。

オペラ座ガイドツアーは、大混雑。言語ごとに少しずつ時間がずれていたと思うが、チケット売り場はいろんな国の人が入り混じって、ごった返す。鞄を胸にしっかり抱えながら並ぶ。日本人は20人程度だった。たまたま(?)大道具を作ってセットしている日だったらしく、雑然とした裏側。有名な玄関口の階段や、休憩中に飲食できるロビー、皇帝の間(偉い人のサロン的な部屋?)など、贅を尽くした空間に満腹感を覚える。そんな私は根っからの貧乏性。

ちなみに皇帝の間は、一般貸出もしているらしい。20分で70,000円(当時)也。借りて何に使うんだろ?結婚式とか…そのくらいしか思いつかない。

客席にも案内される。立ち見の場所も、良い場所を選べば結構舞台が見えそう。安い席だと舞台が見えないと聞いていたので、ツアー終了後、ガイドさんをつかまえて、どの程度の席ならしっかり見えるのか聞いた。しかし、こういう質問には答えにくいのか、はっきりしなかった。

さあ、ホテルに荷物を取りに行き、2つ目の宿となるアパートメントへ。ホテルの荷物置き場には、私の荷物一つがポツンと残っていた。荷物は特に確認されることもなく、会釈一つで持って出た。セキュリティ、大丈夫?

電車の72時間チケットを購入し、改札へ行く。日本のようなゲートにはなっていない。誰でも勝手に入れる。一応、抜き打ちで切符の確認はあるらしいが、旅行中一度も遭遇しなかった。

 


行くぞウィーン ひとり旅 10リンク③

2023年05月03日 | 旅行

モーツァルトハウスの、とある一つの窓。ここから見える景色が、当時と変わらないと聞いた。本当かどうか分からないが、その窓に佇む。石畳に、当時と変わらない建物がならんでいる。見下ろすとごみ収集車…。

あー、これは違う…けども、ごみ収集車も含めて写真を撮る。

事前に、彼の曲を日本で聴いたり伝記を読んだりしたけれど、実際にモーツァルトが弾いたとされるピアノを見たり、楽譜が残されていたり、衣装が並んでいると、本当に生きていたんだと感動する。ここの空気を吸って、この床を歩いたんだ。わざわざ来なくても、実在の人物であることには変わらないのだが、ここにきて目や耳、心を研ぎ澄ますと、彼の存在の影を身にまとっているような気がするから不思議だ。

展示物の注釈は独語と英語のみ。読むのにひどく時間がかかってしまい、モーツァルトハウスを出たのは昼過ぎ。しばらく現実に戻れずボンヤリ。

さて、昼ご飯どうしよう?

レストランに入るのはちょっと怖い。予算は妥当?メニュー読める?チップは?と、ウロウロ。スタンド式のファストフードらしき店。ここならチップはいらないか?ウィンドウに、商品と値段がついている。薄いクレープ生地にサーモンと野菜がまかれた様なもの。水も買う。

外のテーブルで遅い昼ごはん。奥には普通のレストランも併設されている。外国人だらけの通りを眺めながら食べる。いつもより量は少ないと思うが、気持ちが高ぶって、空腹なのか満腹なのかよく分からない。

この後、ベートーヴェンの家に行くつもりだったけれど、オペラハウス、ガイドツアーの時間にかかりそうなので、断念。でも中途半端に時間があったので、スワロフスキーグラスのお店(直営店)を覗いてみる。お店だけでなく、ちょっとした展示もしている。煌びやか過ぎて『いつ・誰がこんなネックレスをつけるの?』という感じ。シャンデリアも並べられていて、きれいなんだけど、どうやって掃除をするのかと現実的なことを考えてしまう。

 


行くぞウィーン ひとり旅 10リンク②

2023年05月02日 | 旅行

チェックアウトをする。受付で荷物を預かってほしいと伝えると、

「そこに置いといて」

日本のホテルみたいにネットをかけたり、別室で預かってくれるわけではない。名札も何もなしで、受付カウンターの下、それもカウンターの外側にいくつも並べられているスーツケース。えー、誰かに勝手に持ち出されるかもしれないじゃん!!適当だなあ。心配しつつそこに置かせてもらって、今日の目的地の一つ、モーツァルトハウスへ。彼が2年半ほど暮らしていたところだそうな。有名な話なので知っている人もいると思うが、彼はとても金遣いが荒かった。当時の収入の一般的な一覧が展示してあった。こんな感じ(抜粋)。

Prince 王子  100,000フロリン そもそも給料があるの?

Court 裁判官 20,000~50,000フロリン

Lesser nobility 下級貴族 10,000~20,000フロリン

Mozart モーツァルト  3,000~4,000フロリン

Hydon ハイドン    1,000フロリン

middle-ranking civil servant 中級公務員 300~900フロリン

elementary school teacher 小学校教師  120~150フロリン

maid メイド  30フロリン

うーむ、かなりの高給取り。その上での、借金生活。私の感覚とは違うというか、金銭感覚がない世界の住人だったんでしょうかね。音楽だけでなく、刺激的生活をしていた(社会生活から逸脱していた?)という逸話やお墓の謎など、たくさんの置き土産を残して去っていったモーツァルト。分からないからこそ、どんな人物だったのか想像が膨らむ。


行くぞウィーン ひとり旅 10リンク①

2023年05月01日 | 旅行

翌日の朝(2日目)、快晴。5月にしては暑いくらい。廊下の足音で目が覚める。気になってドアから様子を伺おうとすると、あらら、鍵が開いてる。昨日、施錠もせずに寝てしまったらしい。無事で良かった。

着替えて階段を降り、フロント奥の食堂へ行く。バイキング形式で、シリアル、チーズ、ハム、パンなど。チーズは、まるでトムとジェリーに出てくる穴あきチーズ(!)の薄切り。チーズ好きの私は、ワクワクして数枚皿に盛る。むーん、思ったような味ではない。チーズと言うより練り物みたい。ジェリーはあんなにおいしそうに食べていたけれど…最初からたくさん取るんじゃなかった。ハムも、日本の物とはちょっと違う風味。何でも経験だと思い、少しずつ試してみる。昼ご飯をレストランでうまく注文する自信がないので、朝ご飯をこれでもかとお腹に詰め込む。隣には日本人らしき観光客(日本語のガイドブックを持ってる)。こんなに小さなペンションにも、日本人がいる。

 

満腹すると、散歩に出る。部屋の鍵と建物全体の鍵が兼用になっている(と、昨日英語で説明を受けたが、心もとない)らしい。郵便局で友人にカードを送る。興奮のせいか住所も手紙も、ひどい文字。住所は日本語で書いて、窓口で「Japan」と告げ、郵送料と、カード代金を払う。片言の英語。

後から聞くところによると、その葉書き、Japanとも何も書いてなくて、日本語住所の表書きだけで届いたそうな。友人にしたら、本当にウィーンから送ったの?という感じだろうね。笑ってしまった。

 

その後スーパーマーケットへ。店頭の目立つ所に、大パックのアメリカンチェリーが山積みしてあった。安かったけれど、一人で帰国までに全部食べられるだろうか?今日の夕方に次の宿へ移動するが、それまで室温に置きっぱなしにして大丈夫かな?買わない理由を考えるが、私の口は、もうチェリーの口になっている。夕飯用にパンとチェリーを買う。その他、土産になりそうな食品に目星を付ける。スーツケースにあまり空きスペースがないので、ウィーン版クノールカップスープとチョコレートあたりに決める。後日どこかのスーパーで買おう。宿に戻って荷物をまとめる。

今日の予定は、リンク周辺の観光。リンクとはウィーンの中心街で、観光スポットがギュッと集まっている。もちろん観光スポットを巡るつもりだが、街を歩くだけでも新鮮。ごつごつした石畳、重厚な建物、歩いても歩いてもそれが続く(だから迷う)。


行くぞウィーン ひとり旅 9ウィーン初日③

2023年04月30日 | 旅行

門の呼び鈴(ブザー)を鳴らす。インターホンで「予約をしていて、名前は~」と一生懸命言う。「入って」と言われ、玄関の鍵が開いた模様。入ると正面にエレベーター。確か一階は一階でなく、イギリス方式で2階が1階だったはず。ややこしい。待ってもなかなかエレベーターは来ない。何回かボタンを押す。1分以上待ったか、ガコン、ガコンと随分のんびり動くエレベーター。後日、別の場所で乗ったエレベーターも、こんな感じだった。

思ったよりこじんまりした受付。フロントのおじさんは親切だった。朝食の場所と、鍵の説明を受ける。雑談も少し。半分くらいは理解できたか。

「もう一泊ここで泊まらないか?安くしとくよ」

連泊を勧められるが、

「明日の宿はもう決めている」

と断る。部屋にも連泊の案内や、直接宿に予約を申し込むと安くなる(私はブッキングドットコムを通して予約した)お得情報チラシが置いてあった。また次に来た時、お世話になるかもね。今度は迷わずに来れると思う。

部屋に案内され、ここはレディースフロアだと言われる。共同風呂、共同トイレ。共同風呂と聞いてびっくりしたけれど、行ってみると、みんなで入るのではなく、個室の風呂を一人一人順番に使う方式。

とにかく布団と部屋にありつけて良かった。布団と部屋がこれほどありがたいと思ったことはない。もしホテルを見付けられなかったら、と思うとゾッとする。部屋に入って、ベッドに倒れこむ。22時間ほとんど寝ていないので、さすがに疲れた。このまま倒れていると寝てしまいそうなので、起き上がって風呂の準備をする。廊下を出て右、突き当りのドアを開けてみる。まだ時間が早いせいか、私が一番乗りだったようだ。ドアの鍵をかけ、湯を張る。明日から泊まるアパートメントは風呂なし(シャワーのみ)なので、念入りに洗う。とは言え、眠ってしまいそうなので、適当に風呂を切り上げ部屋に戻る。明日のアパートメントの場所を確認して、眠りにつく。もう、夕飯を買いに行く元気も、食べる気力もない。


行くぞウィーン ひとり旅 9ウィーン初日②

2023年04月30日 | 旅行

バスはだんだん街の中心部へ向かう。夜8時近くになってもまだ明るく、人もたくさん歩いている。道路にまで席があふれている大通りで、友人たちと夕飯や酒を楽しむ人たち。そんな賑やかな通りでバスを降りる。

さて、地図を開いてペンションを探そうか。ペンションという名がついているが、日本でいうペンションとはちょっと違う感じで、実際は、小さいホテルと言った方が意味が近い。空港でスマホが使えなかったので、嫌な予感。電源を入れるが、やはり動かない。仕方がないので地図だけを頼りに歩く…が、見つからない。この辺のはずなんだが?

見つからないと、余計に荷物が重く感じられる。散々歩き回ったが、空は次第に暗くなり、ガイドブックの大雑把な地図が心もとなく感じられる。こうならないように、バス停の近くに宿を取ったのに。近くには来ているはずだが、自力で探すのは諦めて、目の前で客待ちをしているタクシー運転手に話しかける。

「○○というペンションはどこでしょう?」

運転手は知らないらしい。日本語の地図しかないので、運転手に現在地を聞くこともできない。

「スマホが動かないので、探せない」

と言うと、親切にスマホを貸してくれる。ありがたい!のだが、ドイツ語バージョンのスマホが読めるわけもなく、そもそもホテルの綴りが分からず…二人で困ってしまう。

「ホテルなら、そこにもあるから聞いてみたらいい」

と、別のホテルを教えてくれる。ほかに方法もなく、ホテルへ行ってみる。受付で聞くと、ホテルの綴りが分からなくても(というか、口頭で尋ねただけで)パソコンで調べてくれる。私の発音ばっちりだった?フロントに置いてある地図を示しながら教えてくれる。お礼を言って、言われたとおりに道を行く。やっぱりないなあ。夕闇が深くなり、焦る私。

教えられた道の先に、細い道が奥に続いている。いかにも『悪人が潜んでいるでしょ』と思うほどに細い道。まさかねと、こわごわ進む。

 

…あった。泣きたくなるほど嬉しい。

すっかり暗くなった小道で、もう一度看板を確かめる。看板と言っても、表札くらいの小さな看板。分かるかー!!

ホテル自体はこの建物の一部分だけらしく、一般人が住む集合住宅の表札の中に、ホテルの表札(ちょっと大きめ)がある図を想像してもらいたい。いかにもホテルと書いてある大きい看板と建物をイメージしていただけに、この慎ましさに、ズッコケる。


行くぞウィーン ひとり旅 9ウィーン初日①

2023年04月27日 | 旅行

日本時間ではもう真夜中のはずだが、ここはまだ夕方6時半ごろ。空は昼間のように明るい。機内ではうたたね程度でほとんど寝ていないにもかかわらず、興奮して疲れ知らず。

 

まず空港の出口が分からず、壁沿いをあっちへ行ったり、こっちに来たり。暫くさまよって外へ出る。出た所がバスターミナルになっているが、バス停が多すぎて、広すぎて、自分の乗り場はどこ?係員さんらしき人の姿も、周辺にはない。係員どころか、バスを待つ人もいない。スーツケースを引きずりながら、またもやウロウロ。遠くのバス停に人がひとり立っていたので、近づいて声をかける。係員らしい風貌。

「シュヴェーデンプラッツ行きはどのバス停ですか?(英語)」

全く通じない。シュヴェーデンプラッツの発音が悪かったのか「どこ?」と何度も聞き返された。仕方がないので、ガイドブックの地図を出して、指で指す。係員さんは後ろの方角を指して、

「no.○○か、○○か、○○あたり」と、少し不機嫌そうに停留所番号らしき数字を羅列する。

もう一度何番のバス停か尋ねるが、「知らない」と言われる。係員じゃなかったのかな。バスの切符もどこで買うのかわからず、言われた方角へ歩く。バス停一つ一つを見て歩き、行き先を探す。多分これか?というバス停を見つけ、さらにその裏側にチケットの自販機を発見。切符を買い、荷物を抱えて座り込んでいると、発車時刻前に人が何人も湧いてくる。この人たち今まで、どこにいたの?

運転手に切符を見せ、このバス停で間違いないか確認。前の人に倣って荷物置き場にスーツケースを並べて、席に座る。あとは心配しなくても、終点まで乗っているだけ。心の余裕ができ、景色を楽しむ。

 

不思議なもので、毎日見ている近所の風景はじっくり見ないのに、普段と違った場所に来ると、目に焼き付けようと感覚を総動員させる。いつもの風景だって、毎日同じわけじゃない。空や風、季節、自分の心模様によって違った景色を現す。それなのに、いつでも見られるという気安さがあってか、ちっとも心を使わない。だから毎日が同じことの繰り返しだと勘違いしてしまう。そう思うと、何となく過ごす毎日って、ちょっと勿体ないかもしれない。


行くぞウィーン ひとり旅 8出国 飛行場での冒険⑥

2023年04月26日 | 旅行

スーツケースを引きずり、搭乗。席を探す。席はすぐに見つかるが、荷物を詰める収納スペースが既に満杯。困ったと思うより早く、近くの乗客が立ち上がって自分のリュックを下ろし、ほかの荷物を横に押し込んで、スペースを空けてくれる。さらに私の荷物を持ち上げて、棚に入れてくれる。その素早いジェントルマンな行為に感動する。あぁ、ヨーロッパに来たなあ。『親切にされるマダム』を堪能する。お礼を言って(いいとこのマダム風に)背筋を伸ばして席に着く。旅行中、いいとこのマダムごっこをしようと心に決める。(フリだけでも)背中を伸ばして、優雅に。

今回のフライトは一時間ちょっと。早速飲み物とスイーツのサービス。ここで、ヨーロッパの洗礼を受ける。ケーキが甘すぎる…これを食べきるのはちょっと辛いかも。でも、ウィーンに着くのは夜なので、夕飯は食べられないかもしれないと思い、頑張って食べる。

はるか下を見下ろすと、しばらく緑の風景が続いて、その後街へ入る。上から見ると、ロの字型の建物の中央部分は住民共有の憩いのスペースになっている様子。木々が植えてあったり、ベンチが備え付けられていていい感じ。実際、私の泊まったアパートメントもそんな造りになっていて、鍵付きのゲートをくぐって内側に入る様式だった。なるほど、不審者が入ってくることもなく、子供を遊ばせたり、老人がのんびり過ごすには都合がいい。そんな街から少し離れたところに着陸する。感嘆のため息が漏れる。

EU圏内では、初めに入国した地で審査がされれば、それでおしまい。私は既にフランクフルトで入国審査をしているので、ここでは特に何もなかった。

あぁ、ウィーンに着いた。本当に着いた!


行くぞウィーン ひとり旅 8出国 飛行場での冒険⑤

2023年04月25日 | 旅行

当該飛行機のゲートナンバーを探して、待つ。暫くすると館内アナウンス。何を言っているかはっきり聞き取れないが、ここのゲートナンバーが変更になったと言っている(気がする)のは分かる。ラウンジでは、動く人と動かない人。どうすればいい?ラウンジ上部の表示板から、さっきまであった行き先、便名が消えている。もう一度掲示板を見に行く。new no.と書いてある。新しいゲートへ、5分程度でたどり着く。…広い。

暫くするとまたアナウンス。ここでも、動く人と動かない人。もしかしてまた変わった?確認すると、やはり変更になっていた。これってよくあることなの?

3度目にたどり着いたゲートから、ようやく搭乗できる…はずだったが、またトラブル。なぜか私のスマホがネットにつながらないので、eチケットが表示できない。焦る私。空港内のWi-Fiは強力だと思うのだが、何回やっても駄目だった。仕方がないので、つたない英語で係員に事情を話す。パスポートを見せて、紙のチケットを発行してもらう。

パスポートを取った後でないと、飛行機のオンライン予約ができなかったのは、こういうことかと納得する。トラブル時の身元確認のためなんだ。

ついでに、パスポートを申請について。パスポートって高い。5年で11,000円、プラス写真代、戸籍取り寄せ代金と申請の交通費。5年の間にあと1回か2回行けたらいいなという希望を持ちつつ、5年で申請した。写真は自分で撮った。写りがひどくてちょっと恥ずかしいけど、どうせ空港でしか見せないんだからと諦める。そこは見栄を張るところじゃない…けど…んー…やっぱり諦める。

とにかく、これで飛行機に乗れる。フランクフルト空港は、ドキドキの連続だった。そんなドキドキをよそに、空は快晴。雨女の私には珍しい程に、まぶしい空だった。


行くぞウィーン ひとり旅 8出国 飛行場での冒険④

2023年04月24日 | 旅行

 食事はそこまでおいしくはない。紅しょうがは干からびていたし(乾燥のせいか)。とはいえ、弁当屋さんの弁当よりはずっと良い。料理が脂っこいのでパンはバターを使わずに食べる。未開封のバターを、みみっちく鞄に入れる。そしてこれが、後の間違いの元になる。

いろんなお酒のメニューをみると、卑しい気持ちがむくむく湧いてくる。あれもこれも試してみたーい!けども、ウィーンでもあれこれ飲んでみたいし、飲み過ぎて体調悪くなるのも嫌だしな。迷った挙句、白ワインにした。結局飲んでる。ドイツビールもある。これは次の食事の時に試してみよう。

 

時々うたた寝しながら数時間後、機内食のメニューを見ようとメニュー表を出した時、油まみれのポケットに気付く。「?!」一緒に入れていた風呂敷も油まみれ。バターだ!封がしてあったのに開いていて、ベトベト。ポケット内側もベトベト慌ててウェットティッシュで拭くが、すっきりしない。チャック式のビニール袋にバターを入れつつ、鞄を何度も拭く。あー。

でも2回目の機内食のバターも、懲りずにチャック袋に入れて持ち帰る。手荷物検査のことを考えると、そんなことしない方がいいと後で気付く。

 

長いようで短いフライトを終え、中継地のフランクフルトへ到着。いよいよ日本語の通じない地へ。パスポート審査では、私の列の前に日本人団体旅行客が並んでいる。添乗員が

「特に聞かれることはないと思います。もし滞在期間を聞かれたら『A week』、目的を聞かれたら『Holiday』と答えてくださいねー」と。

Holiday??と不思議に思いながら、私は何も聞かれることなく通過。次は手荷物検査。アナウンスは何も聞き取れないけれど、前の人の真似をして金属類をすべて外す。男性はベルトも外していた。ズボン、落ちないのかな?直前に「パフュームorクリーム?」と聞かれ「Nothing」と答える。…実は化粧品が入っているのに、すっかり忘れていた。当然荷物はひっかかって止められる。さらに私もひっかかる。

「マダ~ム」

と脇に呼ばれ、ボディチェック。今、書いていて気付いたが、首からぶら下げていたスーツケースの鍵が原因だったかもしれない。体中パタパタ触られたが、特に何もなく解放される。ホッ。

しかし止められた荷物は解放されなかった。スーツケースを開けるよう言われる。スーツケースの鍵は首からぶら下げて、服の下なんですけど…。恥ずかしいが、係員の前で鍵を取り出して開ける。きれいに詰めた荷物が適当に引っ張り出されるのを、悲しく見守るばかり。これだと言われんばかりに、化粧水を示される。「〇〇〇」何やら言われるが、よく分からず聞き返すと、もう行ってもいいとジェスチャーで示される。この散らかった荷物を無理やり詰め込んで鍵をかけ、慌ててその場を離れる。


行くぞウィーン ひとり旅 8出国 飛行場での冒険③

2023年04月21日 | 旅行

搭乗の待合に着く。まだ1時間半もある。今日はひたすら待つ、乗る、待つ、乗るの繰り返しだ。当該の飛行機は目の前に待機している。大きいな~。青空の下で、なんて堂々とした姿なんだろうとワクワクしている。普段写真なんて撮らない私だが、飛行機の写真をスマホに収める。

ドイツ語と日本語が入り混じっている。朝食の残りのパンを食べ、本を読みながら待つ。20分くらい前に搭乗。機長さん、立派な体格のジェントルマン。CAさんは男性率が結構高い。ハンサムさんが多いと感じるのは、制服のせいか?日本語が苦手そうなCAさんもいる。

 

エコノミーだけど、追加料金のお陰で足元は広い。着席したところで、早速前方からジュースのサービス。ジュースを配るCAさん、私のところには来ない。あれ?私ここですよ~。

わたしの前の席までは『ナントカエコノミー』といってプレミアム感のあるエコノミークラスだそうな。そういえば、座席の幅が私のより少し広いような。最初はそれと分からず『なんで?ずるい』と思ったけど、ジュース一杯で往復50,000円の追加料金を払うのも、バカバカしいやっ、と負け惜しみをする。

 

今どきの機内はパーソナルな画面で映画見放題、音楽聞き放題なのね。昔は大きなスクリーンに映画を流していたっけ。時代は変わった。あちこちで画面の強烈な光がちらついて、私にはちょっとしんどい。カーテンを閉め、暗闇にしてしまうと、特にそれがまぶしく感じられた。モニターを出すことなく終わる。

機内は乾燥している。鏡を見ると、乾燥のせいか老けて見える。

がーん。

帰りは化粧水を持ち込もう。

フライト中のトイレで、首からぶら下げて服の下に隠していた(パスポートなどを入れた)”大切セット”のユーロを財布に移す。財布の日本円は”セット”に入れて、首からぶら下げる。こんなお上りさん的なのって、私くらいか?で、うっかり”セット”を服の外にぶら下げたまま座席に戻る。ありゃー。

フランクフルトまでの飛行時間は、約11時間半。


行くぞウィーン ひとり旅 8出国 飛行場での冒険②

2023年04月20日 | 旅行

さて、この後私はどこへ行けばいいかと、きょろきょろ。ルフトハンザのカウンターを見付ける。案外すいていると思いきや、ファースト・ビジネスクラスのレーンだった。エコノミーは行列。こんな所でクラスの差を見せつけられるとは…。並んでいると、私の順番直前にビジネスクラスのカウンターから声を掛けられる。空いているからこっちで手続きOKということらしい。スタッフは日本人。それだけでホッとしている。

「荷物の重さを量るからそこに置いて」

そこってどこ?まごまごしていると、ベルトコンベアを指される。コンベアが計量器だったんだ。へえ、便利だね。規定より重たいと、そのままコンベアで運ばれる仕組みらしい。

私の荷物は軽かったので、機内持ち込み。次へ行くよう促される。次って?そっけない態度のスタッフにどこへ行くのか聞くのもためらわれて、その場を離れたものの、どこへ行く?誰か通らないかな。暫く佇んでいると、エコノミーの列で手続きしていた人が、前を通り過ぎた。後について歩いていくと、またゲート。

「搭乗券を見せてください」

スマホをかざすが反応なし。係員がしばらくして画面を明るくしてと。えっ?どうやって?思わず聞いてしまう。おばさん的態度丸出しで、ちょっと恥ずかしい。後ろに人が並んでいたので、脇によけて画面の操作ボタンを探す。うーん、スマートじゃないなあ。明るくできたものの、列がなかなか途切れないので、しばらく待ってゲートをくぐる。

今度は審査。パスポートを見せ、特に問題なく通過。ここから先は、日本であって日本でない場所。変な感じ。人間が便宜上決めただけの境界線。こうした人間の勝手な決め事が、人間を縛りもするし、争いの種を作り出す。