夏に出回る野菜・・・いや果物、まくわうり。
鮮やかな黄色い果皮が目を引く、やや小ぶりの長丸い瓜。
初夏から店頭に出回りはじめるが、このお盆の時期にピークとなる。
メロンやスイカと同じくウリ科の果実ではあるが、
メロンと比較すると、香りも甘味もほのかでずっと弱く、
スイカと比較しても、みずみずしさもない。
それでも、この暑い季節、冷蔵庫でしっかりと冷やしたまくわうりは格別。
ほんのりした甘さと、シャキシャキとした歯ごたえのある食感、
なによりも、野菜との合いの子とも思える風味は爽やかで、ヘルシーに感じられる。
熟していないものは漬物として利用され、浅漬けや奈良漬として、とても美味しい漬物となる。
見た目にも鮮やかな黄色の果実。
絵画やってるひとは、思わずスケッチしたくなるでしょ?
かなり古い時代から日本には定着しており、
単に“ウリ”といえば、このまくわうりのことを指すのだという。
“まくわ”は漢字で“真桑”と表記され、古来より主産地であった岐阜県の地名に由来する。
昔から夏場の冷涼果物として利用されていたようで、
戦国時代や江戸時代などの、時代劇や歴史ドラマでも、
縁側などで、これをつまんでいるシーンを観ることができる。
織田信長が馬上でいつもかじっていたウリも、
豊臣秀吉が名護屋城で瓜売りに扮して大名に配っていたウリも、
この、まくわうりだったのかもしれない。
種はメロンのそれとほぼ同じ。
売られているものは、大抵まだ固く未熟な状態。
常温で追熟してから冷蔵庫で冷やして食べる。
この暑い夏、1日,2日ほど仏壇に供えておくだけで追熟は完了する。
表面に少し張りがなくなり、叩いた時の音が鈍くなったら食べ頃。
皮にシワが寄り始めたら、ちょっと熟れすぎ。
まくわうりが熟れすぎると、熟れすぎスイカと同じく、
果肉に、ちょっとボサボサとしたパサつきが出てくるが、
元からみずみずしさが乏しくて、シャキシャキ食感のまくわうりは、
このくらい熟した方がいいと感じるひとも、いるかもしれない。
カットする際、まずは かんぴょうのように、皮を丸剥きにする。
皮に近い部分の固い食感や、キュウリのような食味が苦手な方は、やや厚めに皮をむくといい。
皮をむき終えたら、真っ二つにして中央の種を取り除く。
あとは食べやすい大きさにカットして食べる。
当然ながら、果実の中央付近が甘味が強くて柔らかい。
外側は固くて甘味も弱いが、シャキシャキの歯ごたえがあっていい。
スーパーには生産農家の商品が並ぶが、
“金俵瓜(きんぴょううり)”,“ダイヤメロン”,“キンショーメロン”とか、いろんな名前で流通する。
それぞれ、まくわうり+他のウリ(メロン)の、かけ合わせで作られた別品種だったりするのだが、
味や食感に、あまり差異はないようで、ほぼごっちゃで“まくわうり”とされている。
また、まくわうり自体も、地方や産地によって呼び方が様々で、
同じ地域であっても、生産者によって名前にバラ付きがあったりするので、
もはや素人には、純粋なまくわうりがどれなのか、まったく判らなかったりする。
大手種苗メーカーが生産する種や苗でさえも、“金俵メロン(まくわうり)”などと表記されており、
どっちなのかはっきりしておくれ・・・と言いたくなる。
この時期になると、店頭で山積みされていることもある。
まくわうりの需要ピークはお盆。
その色や形が、お盆のお供え物として重宝されるからだ。
ナス,キュウリ,トウモロコシなどとともに、菰(こも)やハスの葉のうえに乗せられて、仏壇に供えられる。
まくわうりや、ささげ豆など、昔ながらのお供えがされている仏壇を見ると、
「ここの家人、センスあるな!」なんて思ってしまう。
逆に、ズッキーニとか、おもちゃかぼちゃなんかがお供えされていると、
「うーん・・・。」ってなってしまう。
あくまでも自分個人の感覚だけどね。
盆のお供え物に決まりなんてない。
オクラにニガウリ,ズッキーニ,etc・・・。
この時期、自宅で採れた野菜を備えるのはアリだからな。
右:まくわうりは直売所などへ出品されていることも多い。
出荷までとはいかなくても、畑の片隅でちょっと作っているって農家も多いようだ。
左:ダイヤメロンという名のメロン、これもほぼまくわうりだが、値段はやや高め。
福岡だと長崎産や熊本産が多く出回る。
盆が過ぎると、瞬く間に夏が去りゆき、一気に秋ムードになる。
この、まくわうりもまた、一気に姿を消してしまう。
通年出回る果物ではないので、悔いの残らないように、
旬のこの時期にしっかりと食べておきたい。
メロンは高くてそうそう買えないけれど、まくわうりだと気軽に買えるのがいい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます