山の雑記帳

山歩きで感じたこと、考えたことを徒然に

広重・五十三次の山(11)

2024-09-16 15:43:10 | 浮世絵の山

掛川・秋葉山遠望 江戸より26番目の宿

 実のところ、私は北遠の山をよく知らない。生活でも仕事でも、日坂を越えて西へ行くことはあまりない。山でいえば、SHC発足最初の定例山行であった竜頭山、県スポ祭と昨年の国体観戦のついでの常光寺山、黒法師敗退の折り通過した前黒法師山、麻布山と片手で数える位しか行っていない。従って、掛川の東海道筋から秋葉山がどの程度眺望されるのか、とんと見当がつかないのだ。(というより、あれが秋葉山であると同定することさえできない)
 秋葉山は大井川右岸尾根バラ谷山から分岐し、山住峠、竜頭山を通り天竜川に沿って南下する尾根の末端に位置する。秋葉三尺坊大権現は火伏の神として有名で、秋葉山信仰は全国に伝播している。殊に度重なる大火を被った江戸町民には、その信仰は厚かったらしく、江戸末期の画人谷文晁[たにぶんちょう]も『日本名山図会』にその姿を描いている。
 秋葉街道は塩の道とも重なり、人だけでなく物、文化も交流する幹線道となっていたが、その支線のような秋葉道はあちこちに張り巡っている。島田近辺でいえば一昨年忘年山行の高根山〜西向も秋葉道であり、家山から大日山、春埜山を通り春野町、秋葉山へと至っていた(現、東海自然歩道のルート)。そしてこのルートは本連載⑤「江尻」の項で述べた、アウトロー達のいわゆる“裏街道”とも重なっているところが興味深いのだ。

(2004年2月記)

*  *  *

【2024年9月追記】

この画に描かれている山についての考察は、既に2024年5月、本ブログに『広重「掛川 秋葉山遠望」の山は?』と題して掲載した。

 

広重「掛川 秋葉山遠望」の山は? - 山の雑記帳

歌川広重の有名な浮世絵、東海道五拾三次之内「掛川秋葉山遠望」である。画に描かれている場所は東海道と秋葉街道との追分にあたる大池橋で、渡った先に秋葉山遥拝所か...

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同じく広重・東海道五十三次 掛川の別版には「秋葉道追分之図」として大池橋の秋葉神社・一の鳥居が描かれている。

現在の大池秋葉山遥拝所の祠とその裏北側の風景だが、右の山が「秋葉道追分之図」で鳥居内側に描かれている山と思われる。展望図で確認すると13km北の大尾山のようだ。



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