映画と渓流釣り

紙の月

 別に目新しい題材でもないし、今更映画にされてもなぁとも思いましたが...
吉田大八監督でなければ絶対観に行かなかったでしょう。そのくらい、今の吉田作品は期待値が高いということです。結論からすれば、その期待は裏切られること無く、2時間たっぷり楽しむことが出来ました。
 宮沢りえの演技は円熟味を増し安定感さえ感じさせます。「父と暮らせば」が強烈に残っていましたので、銀行リテール営業のオバサンがあまりにも似合い過ぎていて、本当に隣の奥さんが演じているような錯覚に陥りました。
小林聡美が堂々たる横綱相撲で寄り切るところを、ケレン味たっぷりな立会いでいなしながら土俵タワラを逃げ惑う技あり相撲を観ているようです。
童顔の大学生に身体をあずけ身悶える顔を見ていると、女の怖さをじみじみ感じます。
旦那を人の良さそうな田辺誠一に演じさせているのもキャスティングの妙です。
何処の家庭でもどんなに貞淑そうな奥さんにもありうる怖さ。むしろ、優等生として生きてきた女性こそが陥るブラックホールなのかもしれません。

 
角田光代作品にははずれがありません。
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