べんきょうなせん(='ω')

べんきょうは論理で考えるトレーニング
熊本県山鹿市中高大学受験の "あすく" です

時間を守るということ

2014年08月21日 | 私から保護者へ
 江戸時代、多く日本人は時間に大雑把(おおざっぱ)でした。

 明るくなれば仕事を始め日が暮れれば家へ帰る。朝六時と夕方六時に鳴るお寺の鐘(かね)の音を気にしておけば済みました。ふだん時計を目にすることはありません。

 灯(あか)りがなければ夜は仕事ができませんし、通信や交通にも時間がかかり予定通りとはいきません。個人や家族の、身近な小さな集団であれば少々の遅れは誰かがカバーできます。


 明治になると近代化とともに、時間を守るという習慣が広がります。近代化した社会では、大きな集団を組織(そしき)することで大きな利益を求めます。

 たくさんのひとたちが働く機械化された工場では始業や休憩のサイレンが鳴ります。暗くても作業ができる灯りが工夫されます。遠くにいるひととも仕事ができるよう、電話や鉄道が整備されていきます。

 時間に大雑把だった多くの日本人のためトレーニングの場(ば)も作られます。小学校です。時計が置かれ予鈴(よれい)を意識して行動をするトレーニングが始まります。

 ここでは個人のちょっとした遅れが全体の問題になります。一人がたった5分遅れただけで100人ならば500分(8時間20分!)の無駄になります。誰かがカバーできる範囲を超えます。丸一日工場全体がストップするかもしれません。近代化された社会ではこれが許されないのです。

 面倒です。めんどくさいと私も思います


 現代、ほとんどのひとが時計を見て時間を気にしながら仕事をします。電話や交通機関を使って連絡を取り時間の無駄を省(はぶ)きます。収入が安定せず貯金もできなかった時代から見れば、毎月一定の収入が得(え)られるのは面倒でも大変なみりょくがあったのです。

 時間を守るのは"決まりだから"ではありません。働くひと自身の収入が格段(かくだん)に違うからです。あなたが現代の「ひと並み」の生活をおくりたいのなら、時間を守ることも必要です。


 あなたが選ぶ道は次の三つから

A)他人よりずっとおカネを使わない生活を始める

お小遣いの話ではなく、保護者が出している食費や家賃(やちん)といった生活費の話です。ただ生きていくというだけで毎月10万円かかると見てください。おカネを使わないため、自分で料理や洗濯や掃除を始めましょう。

B)他人がやらない努力を重ねる

プロスポーツ選手やノーベル賞の学者のように、誰でもはできない努力です。職人や技術者もそうです。高校の推薦(すいせん)を実際に勝ち取れたひとも入るかもしれません。それに見合う才能か努力またはその両方が必要です。

C)決まった時間の5分前に準備を終える

教室なら、席について道具を出し終わったところで5分前。ギリギリに教室に飛び込んだらアウトです。授業が始まってからシャーペンの芯がないとかワークの答えがないもアウトです。五分前に借りるか申し出るのはセーフ!開始前だからね。

これ、就職(しゅうしょく)してから教えてもらうことではありません。時間を守ることは、現代の日本では小学校で身につけておくものですから。学校でそれほど怒られなかったかもしれません。それは、犯罪や危険なことと違って、"時間を気にせず江戸時代の暮らしを続ける自由"もあなたにあるからです。三つの中では一番かんたんだと思いますけど。


あなたはどれを選ぶでしょうか?

 選んだものをひとつノートに書き出します。あなたができることは自分でやってもらいます。まず一つ選んでノートに書くだけです。書いた後なら質問と相談は受け付けます。書き出したことで、やっと小学校卒業のあつかいができるようになります。

「うちの子、言いわけばかり多くて困ります」


 保護者の方へ

 学校でも会社でも教えないことがあります。時間を守ることの例のように守らない自由もあるからです。守らなくとも"悪く"はありません。ですが子どもたちはそこで起きる不利益は知りません。知らないから時間を守れなくとも、みなとおなじ生活が続くと思い込んでいます。トレーニング不足のまま実社会に放り出されてしまいます。

 お家の方が、お家の方針としてどうさせるかを決める必要があります。うちじゃ江戸時代の暮らしでやっていけないよと伝えることです。お家の方が行動することが、子どもたちの行動を促(うなが)します。

 結果は急がないでください。すぐできる子も時間がかかる子もいます。欲張って急かしすぎれば投げ出してしまうこともあります。何度失敗しても一部でもできたらそれでも良しとします。そこまでならたいていの子ができます。

 結果そのものより、決めて行動を始めさせることが重要なのです。書き出すことで「約束したじゃないの!」と口やかましく怒り続けることも減るはずです。

 小さな「自覚」が生まれるからです。ここから、子どもたちの次の段階が始まります。


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 自覚を持ち自立し始めた子どもたちなら促すだけで成長します(失敗はこれからもありますが)。見守る時期に入ります。

 次の段階へ進めたら「休み」もきちんととりましょう。日曜祝日が定期の休みになったのも近代化されたからなんです。(塾長)


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