べんきょうなせん(='ω')

べんきょうは論理で考えるトレーニング
熊本県山鹿市中高大学受験の "あすく" です

魔女のパン|「夏休みの友」の思い出

2015年08月23日 | 私から保護者へ
 四教科の一学期おさらいドリルに読書感想文や絵日記のページ。あ!絵日記に天気書き忘れてた。お母さーん!前の新聞捨ててないよねー?いまならネットで簡単に調べられるけどね。

 ありましたね、「夏休みの友」。わたしが小学生だったころ夏休みの宿題です。いまの「サマースキル」と目的はおなじです。「夏休みの友」のほうは厚くて一冊になっていて読み物が多かった気がします。地域によってちがうらしいのですが、まる子たちの静岡ではおなじ「夏休みの友」でした。熊本は県で小学校の先生方が作っていたと記憶してます。


 社会解説や科学記事それから道徳や物語の読み物もありました。ココロに痛い、わたしがいまでも覚えている物語です。親切のつもりがたいへんな失敗をしてしまう女性が主人公。かなり短めの短編ですし小学高学年から読める文章です。下のリンクから、一度読んでみてください。

魔女のパン』(オー・ヘンリー

 ココロに痛いでしょ。主人公の女性がまじめで善意からの行動ですし、うきうきした気持ちが伝わってくるところがとてもツライ。まじめや善意はだいたい良い結果をもたらします。彼女がやったことはまぎれもない良い行(おこな)いです。でも良い結果にはなりません。自分が正しいと信じきっているうちは特に、結果は裏目にでてしまいます

 個人が良いか悪いかで自分の行動を決めるのは自由ですが、他人にそのまま当てはめるとうまくいきません。まじめが息苦しさを感じさせて相手を遠ざけることだってあるし、善意が押しつけになっていて迷惑になってることだってある。よのなかは良い悪いのふたつだけじゃないからです。自分には良い行いに思えても、いつも誰にでもそうだとは限らないからです。

 このお話では一言声をかけておけばこんな結末にはならなかったかもしれません。それでもまじめや善意が間違っていたわけじゃない。彼女には、まじめや善意"だけ"ではうまくいかないという体験が必要でした。こういった失敗を小さいうちに小さな痛みとしてもっと体験しておくべきでした。上手に書かれた本を読んでおくのも立派な体験です。

 みんな短編を読もうよ。


クリスマスキャロルが流れるころには

百年文庫を買いました|文学って、なんだろう(2)

 理論社から和田誠さんのイラストで出ている「オー・ヘンリーショートストーリーセレクション」シリーズの三巻に収録されています。新訳でレイアウトに余裕があって読みやすい。オススメです。星新一トルストイととともに図書館にあるかもしれません。短編がとてもおもしろい作家たちですよ。

 原題は" Witches'Loaves"で、『善女のパン』『善魔女のパン』とかいくつか別の日本語タイトルもつけられています。夏休みの友ではタイトル違ってたかも。(塾長)


>オー・ヘンリー(O. Henry, 本名:William Sydney Porter, 1862年9月11日 - 1910年6月5日)は、アメリカの小説家。主に掌編(しょうへん)小説、短編小説を得意とし、381編の作品を残した。市民の哀歓を描き出した短編が多く欧米(おうべい)ではサキと並んで短編の名手と呼ばれる。映画化されたものも少なくない。(ウィキペディア・パソコンむけ


 短いなかにひねりもある。読みやすいのに考えさせる。読ませる作家です。窓からみえる蔦(つた)の葉がすべて落ちたら命も終わるだろうと言う病気の女性のために…の『最後の一葉』や、おカネがなくおたがいへのクリスマスプレゼントを用意することができなかった夫婦が…の『賢者の贈り物』 がよく知られます。ボクは『緑の扉』『桃源郷の短期滞在客』が好き。こんな体験はなくともこんな気分はみんなきっとあるんだろうなと感じます。いまでもテレビドラマ見てると「あ!オー・ヘンリーだ」と気づくことが結構あります。短編として無駄なく上手にできているので日本でもくり返し映像化され、彼の作品をもとに書かれる作品も多数あります。これからもずっとつくられ続けるのでしょう。




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