東京でのオリンピック開催が決まった。最終プレゼンテーションが良かったという話である。頑張ったアスリートの皆さんには祝意を述べたい。
ところで、このプレゼンテーションの中で安倍総理大臣は、福島の汚染水が湾内の特定の場所に留まっているとか、状況がコントロールされていると語っていて、オリンピック開催の2020年までには状況が改善するかのように語っていた。
その語られた内容は、実は多くの国民が眉唾で聞いている東電発表以上の具体性を持つ。誰もそんな話は聞いたことが無いわけで、何時そうした政府見解が出たのかすら知らないことばかりである。
この安倍総理大臣の発言に拠れば、どうやら日本は首都圏直下型地震も南海トラフ地震も、2020年までは起きないらしい。何か御神託でもあったのであろうか。そんな災害が起きたら、オリンピックもアベノミクスのすべて吹っ飛ぶわけだが、この地震活動期という日本列島の為政者の皆さんは、そんなことは起きないという前提で粛々と事を進めようとしている。
原発事故そのものの経緯も不透明で、廃炉の見通しすら立たず、福島第一原発四号炉の使用済み燃料プールにある燃料棒の取り出しさえ、未だにママならず、大地はたびたび起きる余震に震える、この日本とい狭隘な国土に散々予見されている災厄があるというのに、その自信満々に見える大風呂敷の根拠は、どう考えても見出せないのだが。そもそも事故が予後不良になっているから、汚染水などの流出があるので、コントロールされていれば汚染水などは「循環冷却」の中で収まり、あの林立するタンクが、敷地を侵食し続けることは無かったはずである。コントロールなどは出来ていないのだ。
しかも、東京の真夏は暑い。今年並みに暑いとなると、選手が能力を発揮することすら難しい。中東の立候補地が、早々と離脱したのは、夏の気候がヒドイからである。東京の夏は、そうした中東の夏にも匹敵するのである。IOCの視察委員が、不思議なことに東京への視察は、競技が予定されている次期ではなかったことも、不思議と言わざるを得ない。
さらに、オリンピック招致委員長や猪瀬直樹東京都知事の、逆に言えば福島を差別しているかのような発言が重なる。東京は福島とは250キロ離れているから大丈夫、という発言である。これは言外に「福島は危ない」と言っているわけだ。
オレはアスリートのヒトタチが日本でのオリンピック開催を望み、それを喜ぶの事には、何の異論もない。ただ、その背後に蠢く政治やら、オリンピックを経済効果としてしか見ていない、吝嗇な守銭奴の暗躍が、福島の原発事故被災や、宮城や岩手の地震被災を食い物にしている「除染ビジネス」や「被災支援ビジネス」と重なって見えて、素直に喜べないわけだ。
放射能除染や津波被災地復興は、ビジネスではない。この国の国土の保全という問題である。国土の保全は、国民の生活を意味するのだ。でも、経済効果ばかりを採り上げるオリンピックへの期待って、何かやっぱり歪んで見えるのです。