「たにぬねの」のブログ

いつも、閲覧いただき、大感謝!!

瀬戸内龍,発進!その1_texto_037_ver.1.49

2012-03-28 20:55:06 | texto
変更/変更予定
賭け提案者の位置づけ
話の最初から登場させる。21世紀連盟の交渉相手としてつかず離れずの大金持ちの代表として、シリーズを通して絡ませる(同一人物に限らない)
ANHUI401の微動を定量的に把握するシステムの標準装備をなくす
設定をなくすことで、物語後半では賭けのビル登り参加者の大半がANHUI401の微動時の位置把握のために活躍して貰う。もちろん、風が天辺を担当することは変えない。また、平時の安全・快適を実践する仕組みの備えは異なるものを設定する。
瀬戸内龍の飛行形態
当初の設定通り、フライングスネーク如くな空中滑空タイプにすべきか。その場合、上昇の設定も従来に戻す必要がある。また、空からではなく、やはり海・河伝いにANHUI401駆けつけさせるべきか。その場合、物語を大幅に変更することになるが、悪くはないと思う。現時点で空を選択しているのはビジュアル重視だけである。平成ガメラシリーズの霞ヶ関ビルから東京タワーに変えたと言うエピソードの影響をモロ受けた結果。

空港より離陸ではなく、とりあえず海に出て、海上をホバークラフトばりに移動、速度を増して、飛翔するパターンに変更。
瀬戸内龍発進_リメイク計画_インデックス
瀬戸内龍,発進!その1

満員の立ち乗りスペースでは、さすがにホテルがチャーターしてくれる専用飛行機に乗るべきだったとビジネスマン風の男は後悔しはじめていたが、程なく、アジアの大空港が窓から見えてきたので小一時間も待ってファーストクラスに乗る選択をしなくて正解だったと考え直した。チャーターとファーストクラスとは別の飛行機の話だが、とりあえず、今、男が乗っている格安便に。2,3cmのレベルだが顔を窓に寄せると小窓からは天辺までみえない、一際高い真新しい建物が目に付く。そういえば、ちょっと前に窓よりの乗客で軽い歓声が上がった気もするので、そのとき窓の外を気にすれば、飛行機立ち乗りのイライラに陥ることもなかったかもしれない。

窓から見える超高層ビルが男の行き先である。ANHUI401は通称であるがアジアの大国に建てられたこの新しいビルは文字通り401階で高さ2000mを超える代物で、塔や実験宇宙(軌道)エレベーターのような総延床面積が大きくない人口建造物を除けば、その高さはダントツで世界第一位である。と、招待状に同封されていたパンフレットには記してあった。招待状というのはビルに入っているホテルのオープニングセレモニーに正式なお招きを受けたことを証明する書類。


機内で後悔している者と少し前、話し合いの場を設けていたその女性は、その男が行くと言っていた超高層ビルのことが気になり、止めた手でカップをとる。カップからコーヒーを啜る彼女は21世紀連盟の科学技術証券化・広域災害対策の系列に所属している。多岐に渡る仕事の中に自然災害、紛争など様々な災難における救援活動に有効となるアイテムの調査があり、それに勤しんでいたのだがあのビルのことが気になるのだ。アイテム調査というのは災害、紛争など非常時に対する備えの不十分さを各地域で支え合う救助システムの実現に有効である道具、設備、体制など探すことである。

机上の端末を使って世界中の論文から幾つかのキーワードを基に検索するのが探す手段の一つ。やっていることはネットサーフィンと大きな違いはないだろう。今、彼女が所望しているのは広範囲な救助が可能である大掛かりなアイテムだ。論文の趣旨が書かれたサマリーや結果など読んで使えそうな気配を感じても実用的、諸事情的などの問題で採用に至るアイテムは少なく、それでも各アイテムに対して、開発しながら市場原理が働くようにお膳立てする(科学技術の証券化)となると、はかどらない方が日常的といえるかもしれない。数件の案件を抱えていると唸っている時間のが多くなるのものらしい。だから、仕事が滞っているというわけではないと思うが頭の片隅にある完成したばかりの超高層ビルのことがよぎってしまい、束の間のブレイクに入る。

進んだ街に存在するからといって、災害対策が万全かというとそういうわけでもない。最新技術が導入されるなど細心の注意が払われていることは否定しない。が想定を超える火災・地震など起きない可能性はゼロではないし、況してや人が原因になるテロや事故は街中のが起き易いかもしれない。特にテロは裕福な箇所を狙いがちで詰まるところ、先進的な都市に建つ最新式の超高層ビルの相対的な安全の順位どのように見積もるかは簡単な話ではない。だからといって、際限なく備えを試みることこそ愚かで、できる限りがされているだろうを期待するだけである。すると、モニター隅で昨年、ある学会でみつけた消火剤が使用リストに加えられたことを告げる表示が現る。僅かに笑みを浮かべると再び、論文検索の続きに戻る。

彼女が気にしていた超高層ビルはアジアの大国に建てられたANHUI401。文字通り401階で高さ2000m超える。塔や実験宇宙(軌道)エレベーターのような総延床面積が大きくない人口建造物を除けば、その高さはダントツで世界第一位である。高い収益が期待されるビル内のホテルは350階から上にあり、来週に控えたビルの一般オープン前に一週間程度のオープニングセレモニーが行われていた。VIPだけを対象としたカジノが目玉で常設のカジノ場に加え、期間限定特設カジノもあり、大いに賑わっている。展望台レストラン予定のフロアーにはギャンブルの機械や対人ギャンブルのテーブルが設けられている。レバーつき機械仕掛けに対して7やbarが並んでご満悦な人もいれば、バラバラな表示に怒っているいもいる。真剣な眼差しを手にした13までの数字と4つのマークより分類されるカードの数枚に向けている人もいる。回転している円盤の端の方にある仕切り付き文字盤のどの数字に白い球が落ち着くか予想している人もいる。たくさんあるビリヤード台では賭けで撞いている人もいる。アジアだけに客室や大広間でも不精に置かれた紙幣の傍で麻雀や象棋を楽しんでいる人もいる。

そのような中、ビルの天辺を絡ませた賭けが自然と持ち上がった。高さ2000m超える超高層ビルANHUI401。ビルの天辺には30m程度の大国における典型的な象徴をモチーフとした機能的モニュメントが立派にそびえている。賭けの内容は誰が一番早くモニュメントを敬いつつ一時的なマーキングをするか、要するにビルの最上部に誰が最も早く登るか競わせ、それを予想することだ。ビル登りに参加する若者達にとって、高額には違いないがVIPで扱われる人種にとって小遣いに相当する、より具体的には、この賭けに賭ける金額より少ない賞金を餌に競技者は集われた。皆、街のどこかの不良グループに属している。名目はビルの清掃ということ、でたらめな書類にもしっかりサインさせられている。若者たちも馬鹿ではないので、そのでたらめさに気付いていないわけでも、単にお金にめがくらんでいるだけでもない。間違っているかもしれない幾種かの誇りがビルのよじ登りに絡んでしまっているのだ。世界一の高さを誇る出来立てホヤホヤなビルの天辺を人力のみで挑む行為に賭ける側も賭けられ側も高揚しないわけがない。

これまでも、登ろうとした輩がいなかったわけではない。そこには新築ビルの威信も掛かっていたのだろう、不貞な輩の売名などおふざけでビルに登るなんてことは許していない。ANHUI401周辺の近代化・再開発はここ十数年で急速に進んだ故に(華北平原の西北端や)長江河口南岸に位置する伝統ある都より都市計画的に最新の超高層ビルの建設条件が整っていた。ビルがある省内には石炭など化石燃料系や鉄鋼など材料系の鉱物など国内有数の資源獲得拠点がある。材料、エネルギーを活かし、自動車や精密機器、電気製品など工業製品生産も盛んに行われている。また、世界三大銘茶に数えられる祁門紅茶の産地である影響でバイオテクノロジー、植物工場など食品に関する産業も力を入れやすい土地柄でもある。さらに長江と淮河の水運が発達しているため伝統的な河港もあれば、約十数年前に完成したアジアでも郡を抜く広さを備えたなハブ空港、連動するかの如く急ピッチに作られた高速道路や鉄道まで交通網も充実している地域である。長江河口南岸にある古都の衛星都市の役割に収まらず、より発展を期待されるANHUIの象徴として建設されたのがANHUI401に他ならない。建設中に地所の9割以上が売却済み、来月から世界有数の企業が続々と入ってくる予定だ。オフィス以外に入る商業施設・文化施設・病院・シネマコンプレックス・文化センターなどの類も世界中で人気が高い、ブランド力あるところばかりがピックアップされている。最寄ハブ空港直結の次世代リニアの基幹駅もあり、”世界中から2時間”を謳い、ビルが国際色豊かな複合施設を目指していることは間違いない。政府からの出資も発表と異なり相当のものであるという噂もあり、生活水準・人件費など自国の輸出におけるアドバンテージがなくなり長期に渡り意図的に居座った新興国から脱却を余儀なくされる中、安価なイメージから高付加価値へのスタイルの転換を試みる大国の目論見が投影された超高層建築物なのである。

夢見がちな新築特有の思惑が健在であるが故、高い収益を期待されるANHUI401のホテルにおいて、来週に控えたビルの一般オープン前に一週間程度のプレ騒ぎが盛り上がるのは至極当然であろう。大規模なビル建設は急速に近代化した地域の証で、その場所において貧富の差が拡大するのは珍しい話ではない。その現れの一つが、複数の有力不良グループの野放し状態であり、グループ間の縄張り争いはANHUI401周辺でも絶え間なく行われている。今回の天辺登り競いはホテル客発信ということもあり、不良グループたちにとって、今後の彼らの覇権に大きな影響を与えかねないイベントである。不良グループ側は某グループの幹部でもある黒悟空と呼ばれる男が取り仕切った。しかも本人自らもビル登りにも参加するということで、誰もが胡散臭さを感じるが、実力がある黒悟空に文句を言う者はいない。ヨーイドン前に黒悟空は側近連中に話をした他に別グループの蝿取と呼ばれる若者に声をかけ、同時に何かを手渡している。設備である警備カメラやホテルスタッフが手に持つ小型カメラ、各競技者につけられたセンサー、マイク、カメラやレースの模様を会場に伝える。350階を過ぎたホテルゾーンに入ったタイミングで細身の蝿取が一気に先頭に立つ。まだラストスパートには早い段階だが賭けの最終締め切り直前の抜け出しに観客たちは盛り上がる。そして、蝿取は先ず、自らの命綱を切った。続けて、他者のワイヤーを切断。これにはVIP達は拍手喝采、黒悟空の予想通り、かえって盛り上げる要素になった。レースは命綱を切られても登り続ける者達だけに絞られた。明らかな無理だったのであろうか、優勝候補筆頭の風と呼ばれる男はオーバーペースの蝿取をあっさりかわしていく。一方、レース脱落組の中には過熱気味のホテル内で物取りを目論む黒悟空と取り巻きの数人が紛れ込んでいる。

突然、爆発音がANHUI401に響く。突出した高さを利用しようとするのは悪戯集団だけではなかった。21世紀連盟の彼女を含めた多くの心配、取り分けANHUI401関係者の警戒、結果的にはそれらを掻い潜られたらしい。連動する音響と最初の火の手が上がって、しばらく後、ビル内で、あらゆるアナウンスがされる。幾つかの階で火災が発生したと言うのだ。スタッフによる避難誘導、救助活動、応援の要請など消火活動が展開されている。防火扉、スプリンクラー、消火ミストなど自動システムも作動した。その結果、ビル最上部にある展望テラスなど幾つかのセクションが分断される。しばらくの安全が確保されているとはいえ、取り残された人にとって、落ち着かない状況である。同時、もしくはほぼ同時に複数箇所で火災が発生するというのは人為的な悪意と考えるのが妥当だが企ての規模からすると黒悟空は愚かANHUIの不良達に主謀者がいるとは考えにくい。現に黒悟空達は物色に勤しんではいられなくなった。ただ、この状況でも取り残されたビル登りする者達の中にはただ、先端を目指すことを辞めない者もいる。一方、富裕層をコバカにした犯行声明が爆発後に発送された模様。具体的な目的や要求は示されず爆発物を仕掛けたのは自らの団体であることを告げる内容であった。ただし、複数箇所に送られた声明の一部にはビルの設計図に今回の爆破箇所を記し、加えて、一つのマーキングと数字とメッセージがあった。メッセージは「木が倒れるぞー」。数字はシミュレーションをさせたいのか。ある単位を仮定した場合、マーキング付近に示された数字の衝撃が加われば、ビルは倒壊してもおかしくない。では、どうやって、衝撃を加えるか。今の所、さらなる爆発物はみつかっていない。ちなみに、ここまで起きている爆発の数1000倍の爆発力がANHUI401を倒壊させるには必要だろう。飛行機か。環太平洋の第一象限、9.11以来、飛行物体への管理は高い。だからといって絶対はないから、世界中の航空管制が集中する。アジア近辺の全戦闘機にはミサイル攻撃の条件が告げられている。掻い潜る方法があるのか、得体の知れぬ緊張が走る。

大国のリニア鉄道の運転は有人と無人の両方式が併用されている。運転手付きでは、軌道に非接触なリニアならではの、なんちゃってアクロバット走行がアドリブで行われ、そのアドリブ車両は国産に限られている。実のところ、極東島国製の無人の全自動運転リニア車両でもアクロバットは可能である。一方、大国産の無人リニアでアクロバット運転の安全は保障されないレベルだ。しかし、国産の有人リニアのみでアクロバット運転をすることで自国の技術が優れているかのように見せているのだろう。爆破前にANHUI401へ向かった有人リニアの先頭車両が最高速度に達するタイミングでジャックが試みられる。3人の輩がロックを解除し、運転車両に入り、手早く鉄道スタッフの自由を奪い、持っていた端末を運転席のコンピューターに接続した。後ろの車両との切り離し、車両側をフルパワーにし、軌道から関与をオフに、外部からの影響を受けなくする。ブレーキやアクロバットに使用する空力の小さな羽を揚力が最大限になる角度に調整され、ANHUI401に突っ込んだ。そして、マーキング箇所にある単位を仮定した数字以上の衝撃が加えられた。

texto_38につづく


過去のtexto
036035034033032031
030029028027026025024023022021
020019018017016015014013012011
010009008007006005004003002001

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブログでもこふんたんこ_動画... | トップ | →♂♀←_no.6_2012:ブラックスト... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

texto」カテゴリの最新記事