読書日記。
岩木一麻著、小説「がん消滅の罠 完全寛解の謎」(宝島社文庫)を読んだ。
【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ) | |
岩木 一麻 | |
宝島社 |
第15回(2016年)「このミステリーがすごい!」大賞、大賞受賞作。神戸大学大学院自然科学研究科修了、国立がん研究センター、放射線医学総合研究所で研究をされた著者によるデビュー作。
テーマはがん。フィクションとはいえ、現在のがん情報がわかる。
生命保険のリビングニーズ特約で保険金を受け取った人が次々とがんから寛解する謎、末期がんだった患者が健康食品で寛解する謎、ある医院の治療だけががんの延命を可能とする謎。すべてテクニックがあり、詐欺である。そのからくりを解いていくことが物語の主眼だった。
専門的は話が出てきても、書き方がうまいのでわかりやすかった。生命の仕組みについても興味が出てくる。
うー、ただ個人的には、最後があまり好きじゃないかも。社会的な価値観が自分とちょっと異なる。
ただどうなんだろうな。時代の変化は目まぐるしく、ひょっとしたら5年前、10年前であればなんともおもわなかったかもしれない。
この小説の主眼は、医療ミステリーであり、人間ドラマではない。だからひょっとしたら、人間ドラマの部分だけ、また書き直されるときがあるのかもしれないなとおもった。
テレビドラマもあり、小説とは少し内容が異なるみたいで、どんな感じだったのか気になっている。
善悪の定義、大切にしたいものは、人それぞれなんだなとおもった。そしてその境目もあいまい。生命、命がかかる病を題材にするからこそ、そのことが浮き彫りになっていた気がする。
そしてあたし自身は、ちょっと著者と異なる(しつこい)。けれども異なった価値観を知るのが好きだから、だからこそ著者のほかの作品も読んでみたくなったのだった。
ではまた
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