久々の本の感想―。新しいことをやりつつも、やっぱり本の感想を書く時間もつくりたい。
森岡浩之さんの小説「突変」(徳間文庫)を読んだ。
突変 (徳間文庫) | |
森岡浩之 | |
徳間書店 |
面白かった。「突変」とはある日、世界がパラレルワールドに行ってしまうこと。
この小説では「もしも、町内会ひとつプラスαの大きさの土地がパラレルワールドに行ったら?」という設定で描かれている。
パラレルワールドには未知の生態系があり、人間はいなかった。「いなかった」と過去形なのは、現在は世界各地に人間が存在しているから。どういうことかというと「突変」している土地は、地球上にひとつだけではない。
ここ数年、世界各地で「突変」事件が発生していて、今回の町内会の「突変」以前にも、「突変」世界がある。つまりは「突変」先住者がいる。
そんな不思議な世界。町内会が「突変」してから3日間。みなを統制したり、「突変」先住者とやりとりしたりする様子が描かれている。
733ページの超大作。楽しみながら、ときには現実世界のことを考えながら読んだ。
おもったのは、ひょっとしたら今から独立をしようとしている小さな国家や後進国などはこの「突変」後の世界にちょっと似ているのかもしれないなということ。
今までのシステムが機能しないなか、なんとかなれない人たちが限られた資源でやろうとしている。そしてそれがなんとか機能していく。
あたしたちの住む日本だって、自分たちでは先進国だとおもっているけれど諸外国からしたらそうではないのかもしれない。
さらにいうならば、ひょっとしたら宇宙人からみたら、この地球のやりとりは非常にたどたどしいものなのかもしれないなあとそんなことまでおもわず考えたよ。
厚い本だからどうしても読むのには時間がかかる。だから忙しい方には勧めにくいのだけど機会があったら是非読んでみて。あたし自身は、この本を拝読して森岡浩之さんのほかの本も読みたいとおもった。
ではまたー
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