友人が本好きつながりということで紹介してくれた方と会った。本好きだけど、「本好き」という理由で紹介されると、「いえいえ。すいません。そんなに本読んでないんです。あたしなんかですいません」とどぎまぎして言い訳ばかりしたくなるよ。この後ろ向きの姿勢なんとかならないものかしら。
うん、まあ本は好き。そんなに詳しくないけど。
乙一の小説「暗いところで待ち合わせ」(幻冬舎文庫)を読んだ。
暗いところで待ち合わせ | |
乙一 | |
幻冬舎 |
面白かった。乙一さんの小説を読むのは「夏と花火と私の死体」に次いで2冊目。
⇒乙一著「夏と花火と私の死体」(集英社文庫) 読書感想
⇒乙一著「優子」(集英社文庫) 読書感想 人形か人間か
「夏と花火と私の死体」と「優子」は同じ本のなかに収録されていた。
「暗いところで待ち合わせ」の主人公は二人の男女。女性は目が見えない。目の見えない女性が一人で暮らしている家に、男性が忍び込む。二人は同居生活を始める。最初は男性の存在に気づかなかった女性だが、途中で気づく。男性は、線路のホームから同僚の男性を突き落として殺した容疑で警察から追われているようだ。
ネタバレだけど書いてしまうと、女性は男性のことを拒絶しない。恋人になるとかそういうセクシーな展開もないけど、お互いがお互いを受け入れ、支えあう。
詳しいストーリーはどうぞ読んでくださいませ。
目に見えない方の生活が、少し身近になった気がした。いつあたし自身も目が見えなくなるかわからない。それは誰にも言えること。けれどもやはり自分とは遠い存在のような気がしてしまう。
目に見えない女性に共感して、感情移入して本を読めたのがとても貴重な体験だった。
子どものころにヘレン・ケラーの伝記を読んだ記憶がある。素晴らしい人だと尊敬はした。でも特に共感はしなかった。まあ、、、年齢が子どもと大人というのもあったかもしれない。
丁寧に、小さな何気ない感情が綴られている。起こったのは殺人事件、そして女性は盲目。と設定は極端なのだけど、やりとりや感情の機微はとても細かい。
だれもが共感するとおもう。
乙一さんの小説に底流している空気感なのかな。「夏と花火と私の死体」を読んだときも似た空気感だった。
また乙一さんの本読みたいな。
ではまた
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