⇒西尾維新「掟上今日子の推薦文」/小説、読書感想 絵画や額縁好き、クリエイターにお勧め
同じシリーズのほかの本も読みたい。早速、「掟上今日子の挑戦状」を読んだ。
掟上今日子の挑戦状 | |
西尾 維新,VOFAN | |
講談社 |
「掟上今日子の推薦文」は数話が収録されているものの、お互いの話に関連性があって1冊かけての長編という雰囲気だった。一方、この「掟上今日子の挑戦状」はそれぞれが独立している。
「掟上今日子のアリバイ証言」「掟上今日子の密室講義」「掟上今日子の暗号表」の3本が収録されている。タイトルのとおり、それぞれ「アリバイ証言」「密室」「暗号表(ダイニングメッセージ)」がカギとなっており、忘却探偵・掟上今日子がそれぞれの謎に挑む。
どれも、掟上今日子の物おじしない性格、こだわらない物言いにものすごい惹かれた。
それは、彼女がいうには、忘却探偵だからとのこと。
掟上今日子は記憶が最大で1日しか持たない。眠ったり、なんらかの理由で意識を失ったりすると記憶がリセットされてしまう。一日しか記憶がもたないから、どんなに嫌なことがあっても翌日にはすっかり忘れてしまっている。だからトラウマにならないのが強みらしい。
そして記憶がなくなるから、依頼する側としては守秘義務の心配がない。それゆえ警察から依頼が来るという設定になっていた。
この2冊目あたりから、彼女が忘却探偵であるということに、ものすごい惹かれだした。なんというかもちろん苦労はあるわけだろうけれど、小説として楽しんで読んでいる側としては、いいなあー、こだわらない生き方っておもわせてもらったのだ。
根に持たないというか、思考の断捨離というかそんな感じ。あたしも毎日これくらいリフレッシュしたいなああ。大切にしたい思い出もいっぱいあるけれど、なんというか、少し疲れているのかもしれないね。
実際、ふとしたときに彼女の生き方を思い出したり、ちょっとしたときに、思い出したように採用したりしている。こだわっているのってたいてい自分だけだったりするからね。
そして自分が作った世界に閉じ込められている。
と、ここで文章を終わらせてしまうとちょっとどんより暗い後味とおもわれるかも。
だけど、そんなことはない。
ただ世界から出ればいいだけだよ。そして出るには力を込めて頑張る必要は必ずしもない。そう、忘却探偵のように、リセットすればいのだ。(と、自身に言ってみた。)
さて、しばしもう一度眠る~。また新しい自分になって戻ってこれたらいいな。
ではまた
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