有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。第3話は「蜂妖怪・ザ・不幸」です。
実は2話の次回予告では、「幸せな人、ご用心」というタイトルになっていました。「蜂妖怪・ザ・不幸」だとちょっと味気ないから、「幸せな人、ご用心」のほうが良かったんじゃないですかね。
お年玉籤付き年賀状の番号チェックに熱中する山吹家の父親・英三郎。結局、当たったのは切手シートが1枚だけなんですけど、無駄に大喜びしています。この辺の、小市民的過ぎるくらい小市民なところがいいですね。
しかし、うきうきしながら仕事に向かう英三郎ですが、すれ違った不機嫌そうな男に小突かれてしまいます。まあ、赤の他人に切手シートが当たった年賀状を見せびらかすとか、不審者もいいところですけどね。
一方、花子をモデルに写真を取りまくる、篠山、加納、荒木の三人組。しかしそこへ、さっき英三郎を小突いたおじさんが割り込んで邪魔をします。おじさんは不幸アピールをして、自分がいかに不幸なのかを聞いてもらおうとしますが、花子、加納、荒木はさっさと逃げ出してしまいます。行きずりの子どもたちに不幸話を語ろうとするこのおじさんもまた、どこに出しても恥ずかしくない不審者ですね。
逃げそびれた篠山だけは、なんとかおじさんに話を合わせようとします。幸せかと尋ねられたので、幸せだと答える篠山。なぜ幸せなのかと言えば、生まれて初めて試験で60点を取ったから。ささやか。なんとささやか。切手シートがあたったのと、どっちがささやかなのかわからないくらいささやかです。
しかし、そんなささやかな幸せでさえ、不幸なおじさんにとっては妬みの大賞になってしまうのでありました。突然、篠山に襲い掛かるおじさん。篠山も足をふんずけて逃亡します。クレーン車の待機場まで来て、なんとか逃げ切ったと思いきや、クレーンの上から蜂妖怪が登場。「こいつを不幸にしてやれ!」というおじさんの命令で、蜂妖怪は右腕に装備された注射器で、篠山のお尻に謎の青い液体を注入します。
ちなみにこの蜂妖怪、1話、2話のコスプレ的怪人とは異なり、仮面ライダーの敵怪人っぽい、無駄にスタイリッシュでかっこいいデザインとなっています。ちょっと調べてみたら、蜂妖怪のマスクは「美少女仮面ポワトリン」に出てきたお彼岸ライダーの流用で、さらにさかのぼるとスカイライダーのマスクだったのだとか。道理でかっこいいわけだ。蜂なんで、スーパー1にも感じが似ていますけどね。
篠山を探しにきた加納と荒木が、倒れている篠山を発見。すると、突然、篠山が自らの不幸話を語りだします。
「この前の試験で100点を取ろうと思ったんだけど、60点しか取れなかったんだよ」
なんと、さっきまで幸せに思っていたはずのことを、不幸に思ってしまっています。それがさっき蜂妖怪に打たれた液体の効果なんですかね。
しかしこの発言に、加納と荒木は激怒します。一人だけ偏差値を上げようとして勉強しやがって! 俺たちの友情をぶち壊すつもりだな!
篠山に対して殴る蹴るの暴行を加える二人。そんな様子を、まるで虫けらを見るような目で眺める雪子と花子。
「げー。なんか非常に見たくないものを見ちゃった気持ち」
うん、まあ、気持ちはわかるけど、正義のヒロインが言っていい台詞じゃないよね。
そこへやってきた月子からの情報で、被害者が他にもいることがわかります。被害に遭ったのは、勝利を決めて喜ぶ少年サッカーチーム(なぜか相手チームの選手はどこにも映っていませんが)のコーチと、カラオケで彼女と一緒に加山雄三の「君といつまでも」を熱唱する男性。いずれも幸せを感じている人たちですね。
唐突に聖人君子ぶりを発揮する月子が、加納と荒木ををたしなめ始めます。おじさんが不幸だというのなら、せめて話くらい聞いてあげるものです。なのにあなたたちは、耳も貸さなかった。加納が撮ったポラロイド写真に写っているおじさんの懐に札束があることを理由に、こんなに金を持っているんだから不幸のはずがないと荒木は反論しますが、お金があるからと言って幸せだとは限らないのです。
おじさんを探して、なぜ不幸なのか聞いてみようと月子が提案しますが、雪子は明日テストがあるからと言ってさっさと逃亡。花子も嫌がりますが、無理やり月子に同行させられます。
最初はおじさんをおびき寄せる為に幸せな人を探しますが、うまくいきません。そもそも、「幸せな人、いませんか?」なんて呼びかけて、見つかるはずがないんですけどね。
仕方がないので、花子が幸せなフリをしますが、大声で「幸せ! 幸せ! もう、超幸せ!」などと叫んでいたら通行人に変な目で見られてしまい、そのことに不幸を感じた花子も去っていってします。
一人取り残された月子に、紙風船が飛んできます。その紙風船には、「すぐに蜂明神に来い!」という文字が。
月子はようやく、蜂明神というのぼりが立っている小さな社を発見します。そこへ、不意に現れるフライドチキン男。実は、紙風船をよこしたのはフライドチキン男なのでした。
社にはご神体として、巨大な蜂が祀られています。泣きっ面に蜂。実はここは不幸なものがお参りすれば、ますます不幸になるというお社だったのです。ひでーな。
でもこの社、大きな神社の裏に建てられているみたいですし、蜂明神というのぼりもけっこう新しい感じなので、普通に管理されてはいるようですね。
肝心の指令は、この社の裏で自殺しようとしている人がいるから何とかしろというものだったのですが、すぐに来いという指令だったのにも関わらず、月子が蜂明神を見つけるのに手間取っていたため、もしかしたらもう間に合わないかも……、とか言い出すフライドチキン男。この伝達システム、伝える手段も悪ければ、文面もよろしくない。もうちょっとどうにかならないの?
裏を探してみると、そこにいたのは、前半から世間を騒がせている世にも不幸なおじさんです。猛毒を持つトラフグの刺身を食べて、今にも自殺しようとしているところなのでした。しかしここで、特に説明もなく登場する月子のアイテム、シュシュリップ。その力で、トラフグをカワハギに変え、自殺を止めてしまいます。
おじさんの不幸話を聞く月子。おじさんは不動産会社の社長だったのですが、会社が買い占めていた土地が大暴落したというのです。しかしそれは、本来なら30億の儲けだったところが、実際には3億のもうけにしかならなかったというお話。期待した利益が得られなかったという意味では損ですけど、損失を出したというわけではなかったようです。
おじさんがトランクを開けると、そこには土地を売って儲けた3億円が入っていました。っていうか、3億円を現金で持ち歩いているのか、このおじさん。会社の金だろうに、よほどのワンマン経営者なんですかね。
そのほかにも、ミス日本と結婚したかったけど準ミス日本としか結婚できなかったとか、子どもを東大に入れたかったけど入ったのは慶応だったとか、まあ、ベストな結果ではなかったけど、まずまず満足すべき結果は得られていたというのが、これまでのおじさんの人生だったわけです。けして悪くは無いはずなんですけど、そこにいちいち不幸を感じてしまっては、なかなか生きていくのも大変ですね。
……しかしこれ、お話としては、たとえ3億円でも儲かったからいいんじゃないかという結論に持っていっていますけど、30億の利益を見込んでいたのに、それが3億になっちゃったら、普通なら当然責任問題になりますよね。その利益を見込んで、次の事業計画を立てていたかもしれないし。他の事はともかく、土地の売買についてはおじさんが不幸を感じるのも無理ないような……。
それはさておき、そんなおじさんの気持ちを理解できず、バカバカしいと思う月子。しかしおじさんは、あくまでも自身の不幸を強く主張します。
自分ひとりが不幸なのは不幸だから、蜂明神に祈ったところ、蜂妖怪が世の中に不幸を撒き散らしてくれるのだとか。どんな邪神だよ。祈った人をなおさら不幸にするんじゃなかったの?
再び現れた蜂妖怪。右腕の注射器に入っているのは、赤い液体です。これは一撃で即死する毒液だとか。おいおい、いきなり危険すぎるだろ。
逃げ出したものの、吊橋の上で追い詰められる月子。バルミラクルで雪子、花子を呼んで、シュシュトリアンに変身します。追い詰められた状態から二人を呼んだのに、二人が到着するまで注射針を掲げたまま攻撃を仕掛けない蜂妖怪は、お約束を守ってくれるなかなかの紳士ですね。
今回から名乗りポーズが変更。雪子が中央で両手を広げ、月子と花子がその両脇にしゃがみこむ感じです。このほうがポーズが安定していい感じですね。
なお、雪子の「酉年の平和と幸福を守るため、戦います!」という台詞は、3話にしてなくなりました。
今回のお説教ワードは、「古人いわく『足るを知らざる者は 富むといえども貧し』」。それを聞いた蜂妖怪が首を傾げますが、この言葉、本来は蜂妖怪じゃなくて、おじさんに言うべきなんじゃない?
吊橋の上での、シュシュトリアンと蜂妖怪のバトル。この辺り、蜂妖怪のデザインとも相俟って、すごく仮面ライダーっぽいです。まあ、吊橋吊橋と言っていますが、公園にある吊橋なので、ライダーの撮影で使うような高さのある吊橋ではないんですけどね。
三人とも吊橋から落とされてしまいますが、雪子、花子が腕を押さえているところに、月子が蹴りで注射針を折ったところで勝負あり。蜂妖怪は自ら赤い液体を浴びてしまい、全身から煙を噴出して痙攣しながら消滅してしまいます。これ、マジでやばい液体だったんですね。
その様子を見て逃げ出すおじさんですが、これまた説明も無く使用されたシュシュリターンという技で引き戻されてしまいます。
3億円という資金があるんだから大抵のことはできると月子に諭され、憑き物が落ちたように幸せな気分になったおじさん。3億円を手に、意気揚々と去っていくのでした。
一方その頃英三郎は、空き巣被害にあった男性宅で、当たった切手シートを見て喜び、被害者男性に怒られてしまいます。
3億があっても不幸に思う人がいるかと思えば、切手シートが当たったり、夕食に銀ダラの煮付けが付いただけで幸せを感じる人もいる。一体どっちが幸せなのか。それは誰も知らない、大宇宙の謎である。
ちなみに、英三郎が持っていた切手シートは41円切手が二枚セットになったもので、それぞれニワトリとヒヨコのイラストが描かれていますが、これは番組オリジナルのもの。実際の切手シートは、封書用の62円切手と、葉書用の41円切手の二枚セットとなっています。現在は値上げされてるので、52円切手と82円切手のセットですね。
最近は自分で郵便を出すこともめったに無いので、「当時は41円だったんだなぁ」という感慨も、実はあまり無かったりします。調べたから今はわかりますけど、現在の郵便料金も、あまり憶えてなかったりするんですよね。
それからもう一つ。当時は切手シートが5等だったんですけど、今年は3等になっていたんですね。私個人としては、切手シートすら当たった記憶がないのであまり興味を持っていなかったのですが、調べてみると、年によって結構内容が変わっているようです。知らなかったなぁ。
今年の2等のふるさと小包は昔からあるので知っていますけど、1等はギフトポイント110,000点。ギフトポイントとか、もらう人からするとありがたいけど、傍から見てる人からすると風情がないなぁとか思っちゃいますね。
作中で山吹家に貼られている当選番号表によると、1等が2泊3日温泉旅行、2等がカラーテレビ、3等がマウンテンバイク、4等がレターセット、5等が切手シートとなっています。ちょっと調べてみたのですが、1993年はどんな賞品だったのか、あまり正確な情報は出てきませんでした。年ごとにどんな賞品があったのかを網羅したサイトとか、ありそうだなぁとおもったんですけどね。
1993年は複数の賞品から選ぶ形式だったようですが、山吹家的には温泉旅行一択だったんでしょうね。旅行券とかが賞品に含まれていたのかどうかは謎ですけど。
今回ちょっと残念だったのは、「不幸」というキーワードと、「蜂」というモチーフが全然絡んでいなかったことです。脈絡がないのはいつものことですが、それでも普通なら何かしらストーリーに絡めてくるはずなんですよね。「泣きっ面に蜂」という言葉が出てきたくらいでしょうか。実際、蜂妖怪じゃなくて、妖怪不幸とかでも、ストーリー上は全然問題なかったはずです。
不思議コメディシリーズは、「美少女戦士ポワトリン」、「不思議少女ナイルなトトメス」、「うたう! 大龍宮城」と、3作連続で浦沢義男が全話脚本を担当していたのですが、今回の脚本は「魔法少女ちゅうかなぱいぱい」以来3年ぶりとなる大原清秀。久しぶりでちょっと感覚が戻ってなかったんですかね。
[次回予告]
平和に鍋を囲む山吹家に、ツーンとくる膏薬のにおい、不気味な声、不気味な体型、不気味な顔で、妖怪ヘリクツがやってくる。
次回、有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「妖怪ヘリクツ、現わる」。お楽しみに。
![](/images/clear.gif)
![](/images/clear.gif)
|